
DINANTという街。そして初めての海外のバレエコンクール。
連休の多い5月と先日書きましたが、まだまだ6月初旬まで連休続きのフランスです。
ちなみに今週は木曜日が祝日となっています。
そんな連休を利用して、バレエコンクールが盛んに行われているのですが、今回は長男初の海外遠征です。
といっても隣の国のベルギーのDINANT(ディナン)。
車で350km。
フランスとの国境の近くの街です。
詩人ランボーの生まれ育ったフランスの シャルルヴィル・メジエールから約50kmほど。
https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/5-7.html
ランボーは当時、この街から徒歩でブリュッセルまで歩いたそう。
なので、ベルギーに入る道は"ランボー道り"という名前が付けられていました。
シャルルヴィル・メジエールから続くムーズ川と断崖絶壁にはさまれた長細い街ディナン。
12世紀創立のノートルダム教会と城砦の組み合わせがこの街を代表する景色になっているそう。
サクソフォンの発明者、アドルフ・サックスが生まれた街でもある。
彼の家の前にはこんな銅像があって、観光客は記念撮影。
コンクールの開かれる街に着くと必ずする事は会場の下見。
崖の隣にありました。
柵(バーに見立てて)で、ウォームアップ(恥ずかしくないのか?)。
時間があったので、もう少し街を散策。
小さな公園も緑がたくさん。
水が豊かな街ならでは。
ノートルダム教会の中。
心を鎮めてコンクールに挑みます。
「Concours International de Danse Classique de DINANT BERGIQUE」
は国際コンクールなので、いろいろな国の子供達が集まります。
普段聞き慣れない言葉が飛び交います。
*1日目*
まずは個人の予選をシンプルなコスチュームで踊ります。
今回のコンクールは年齢順。
審査員は3名。
そのうちひとりはパリオペラ座のエトワール、そして、もうひとりはオペラ座の先生でした。
審査員のオペラ座率は非常に高い。
自分の出番が終わると、とにかく足を冷やさないように温める。
舞台以外は同じスクールの同年代の子供たちはやっぱりiPadやDSで遊ぶ事が多い。
普通の子供たちとちっとも変わらない。
夕方、審査発表が貼り出されました。
長男は無事予選通過。
次の日の決勝では衣装を着けて踊ります。
*2日目*
個人の決勝です。
年齢順に行われました。
ⓒJean-pol Sedran
1日目と同じ踊りなのに、衣装を着ると華やかさやダイナミックさが全く違って見えます。
個人が全て踊り終わる夕方まで、ディナン名物のCouque de Dinant(クック・ド・ディナン)を買いに。
着替えないでこのままプラプラしているダンサーの子たちが、この2日間街にたくさんいました。
とても不思議な光景でした。
このクック・ド・ディナンは15世紀からあって、その製法も当時のままを守っているとか。
はちみつと小麦粉だけで作った堅焼きのクッキーは100以上もの型があって日持ちもいいのでお土産にもピッタリです。
夕方から団体戦。
長男のスクールは3組出場しました。
その中の一番小さなグループはポルカ音楽で"プチ・ルウ(小さなオオカミ)"という踊りを発表。
ⓒJean-pol Sedran
男性が女性を持ち上げるのがクラシックの常ですが、たくさんの赤ずきんちゃんにオオカミが持ち上げられるという逆パターンで会場が沸きました。
ⓒJean-pol Sedran
前にも書きましたが、コンクールでは審査の妨げになるので拍手は禁止。
でも、この団体戦は"拍手してもいいですよ"と前もって言われていたので大喝采。
会場中が楽しみました。
そして、休憩1時間。
全ての審査が行われます。
大人たちは会場内のバーでアペリティフ。
ビール王国ですから、冷たいビールで"みんな良く踊ったね"と乾杯。
さて、審査発表です。
出場者の子供たち全員が舞台に上りました。
これは初めて。
今までのコンクールでは客席の前列に子供たちが座って発表を聞くスタイルでした。
小さな男の子が花束を持ってる?
2日間の長い時間、審査をして下さった審査員の方々へ、お花を渡しました。
これも初めてのスタイルです。
やっと審査発表。
まずは団体戦から。
"プチ・ルウ"は3位受賞。
次に個人。
カテゴリー別に順位が発表されます。
長男はpréparatoire (8、9歳)の3位を受賞。
同じスクールのおねえさんたちが思いっきり喜んでくれています(写真後ろ)。
前に出て挨拶。
これも、ひとりひとり違った挨拶をします。
このコンクール全体のグランプリは我がスクールのDianeちゃん。
隙のない完璧な美しい踊りで、夢の中へいつも連れて行ってくれる。
会場中、納得の結果でした。
Dianeちゃんは、今年のローザンヌ出場者(フランスからは3名)。
長男の中では"一番上手なおねえさん"
集中レッスン中に8歳の誕生日を迎えた長男のために"♪joyeux anniversaire~♪"と唄いだしてくれたのも彼女。
「Dianeが小さい声で唄いだしてくれて、そしたらみんなが一緒に唄ってくれたんだ」と嬉しそうだった。
そんな彼女もこの夏でスクールを卒業して、どこか(たくさんのオファーがありまだ決めていないとか)海外のバレエ団の研修生となる。
一緒にレッスンを受けるのもあと数ヶ月。
毎年誰かが巣立って行く。
最初のコンクールでジャックリーヌ先生が言ったひと言「メイ(長男)が踊りたいなら私が絶対に踊らせる」を思い出した。
その指導に一生懸命応えようとしている姿をみていると、感動に似たものがわき上がってくる。
まだ、バレエを始めて20ヶ月。
コンクールに向けてのレッスンを始めて9ヶ月。
まだまだ学ぶ事は山積みだ。
巣立つのもまだまだ先だ。
実は今シーズン最後のコンクールに出場するため、今フランスのリヨンに来ている。
水曜日は個人の決勝。
木曜日は団体"プチ・ルウ"を踊る。
結果はどうあれ、1年間のコンクール出場は長男にとってとてつもない財産になったという事は間違いない。
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パリのバレエ事情(5) https://madamefigaro.jp/paris/blog/maiko-matsunaga/-5-2.html
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