花で紡ぐパリの日常。

花の命と向き合う、花と太陽のプロジェクト。(後編)

前回のブログでは、自分が選んで手に取った、いただいた花の命を、責任をもって見届けられるような取り組みはないだろうかと、日々模索しているということを書きました。
花と太陽のプロジェクトは、そんな中、友人のフォトグラファーであるNathalieが提案してくれたもの。ロスフラワーを使って、太陽の光だけで写真作品にするという彼女の話に友人揃って興味津々で、後日、彼女の家で一緒に撮影させてもらうことになりました。

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よく晴れた日の午後。花をフィルムペーパーの上に固定して、窓からさしこむ太陽の光をつかって花の影をうつします。

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ペーパーの上に、すずらんなどを置いてみました。その後暗室に入れたり、Nathalieのプロの手腕をもって出来上がったのは、この作品たち。

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太陽と花が生んだ化学反応は予想外の部分も多くて、アリウムやエピデンドラムなど、個性的なシルエットの花たちは、影になってもより一層生き生きとして、動き出しそうにも見えます。すずらんは根っこの部分がまるで燃え盛る炎のようで、花からは想像もつかない生命力や逞しさ、荒々しさを感じて、新しい姿を見るかのようでした。

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この写真たちを、アート作品として部屋に飾って眺めていると、花の第二の人生がそこにあるように感じます。

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また、別の友人フォトグラファーとの仕事現場で話していたとき、彼は「生き物の命は短いけれど、良い写真は永遠に残るから、たとえ一日の命であってもこの花は幸せだと思う」と言っていました。花を愛し、モチーフとして向き合うことの多い彼だからこそ、きっと覚悟を持ってシャッターを切っているのだと感じました。
その言葉で思い出すのが、2016ssのDiorのランウェイで、ルーブルの中庭に、真っ青のデルフィニウムで丘を製作していたセット。一度限りのランウェイのために、おそらく数万本、いや数十万本のデルフィニウムが使われていたのではないかと思います。
私は息を呑むほど圧倒され、美しいと思いましたし、写真作品ではありませんが、確かに私の記憶に一生残るクリエイションだと思います。

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規模の大小に関わらず、花の命をいただいて仕事をしている以上、覚悟と責任を持って花に向き合うことを心に刻んだ瞬間でした。ただ、もちろん、今後はランウェイをはじめ大規模なイベントなどに使用された生花がただ廃棄されるのではなく、再利用されたり持ち帰られたりといった流れが出てくるはずです。
まだまだ、明確にこれといった答えがあるわけではありませんが、「仕方がない」とは言わず、今後も自問自答し続けたいです。

【関連記事】
花の命と向き合う、花と太陽のプロジェクト。(前編)

守屋百合香

フラワースタイリスト
パリのフローリストでの研修、インテリアショップ勤務を経て、独立。東京とパリを行き来しながら活動する。パリコレ装花をはじめとした空間装飾、撮影やショーピースのスタイリング、オンラインショップ、レッスン、コラム執筆などを行う。
Instagram:@maisonlouparis
www.maisonlouparis.com

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