10〜11月、オペラ・ガルニエでバレエの3プログラム。

※10/30追記
10月30日からフランス全土に導入された外出制限措置に伴い、パリ・オペラ座の劇場(ガルニエ、バスティーユ)は12月1日まで閉鎖。この間に予定されていた公演はすべてキャンセルとなりました。
www.operadeparis.fr

舞台復帰のうれしさ余ってか、正式発表前に何人かのダンサーがインスタグラムで自分が踊る10月の日程を公開。これって何?と思った人もいることだろう。

パリ・オペラ座バレエ団では、9月22日に予定されていた2020-21開幕ガラは来年1月27日に延期され、すでに紹介したようにオペラ・バスティーユで12月の公演『ラ・バヤデール』(12月4日〜2021年1月2日)から新シーズン2020-21をスタートする。それに先駆け、改修工事中のオペラ・ガルニエでオーケストラピットに蓋をして幕の前でのエプロン公演が開催されることになったのだ。

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新シーズン2020-21の開幕ガラ公演は来年1月27日に延期された。ダンスのデフィレもそれまでおあずけ!

皮切りは9月19日のコンサートで、バレエ公演は10月5日からオレリー・デュポン芸術監督による3種のプログラムが用意されている。

「Etoiles de l’Opéra(オペラ座のエトワールたち)」が10公演、「Rudolf Noureev(ルドルフ・ヌレエフ)」が10公演。この2つのプログラムでエトワールが男女ともに全員勢揃いする。そして11月は「Créer aujourd’hui(今日のクリエイション)」が17公演。配役は発表されていないがこのプログラムではコール・ド・バレエたちの活躍が見られることだろう。チケット販売は9月8日にスタート。さらにオペラ座のバレエ学校も12月6、13、19日に「Classes en scène(舞台上のクラス)」を開催する。こちらの販売は10月6日からだ。

シーズン2020-21が順調に始まっていたら見ることのできなかった魅惑の3つのプログラム。いまの時期ゆえに変更が生じるかもしれないが、現時点で発表されている内容と配役を紹介しよう。

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「オペラ座のエトワールたち」10月5日〜29日/19時30分〜

ネオクラシックのソロとパ・ド・ドゥの8作品で構成され、タイトルには含まれていないがエトワールだけでなくプルミエ・ダンスールも踊る。ピアノ、チェロなど音楽が生演奏というのがなんともうれしい。マチュー・ガニオによるソロの『月の光』は3年前にロンドンで開催されたガラで彼が踊った作品。ドビュッシーの同名曲にアラスター・マリオットが英国のバレエカンパニーのダンサーのために創作したものだが、ポエティックで優美な振り付けは彼にとても似合う。パリ・オペラ座でこの作品が踊られるのはこれが初めてとなる。この公演ではユーゴ・マルシャンは『トロワ・グノシエンヌ』『a suite of Dances』の2作品に配役されているため、『ヘルマン・シュメルマン』でオニール八菜が組むのはユーゴではなくヴァンサン・シャイエだ。プルミエ・ダンスールの彼は前シーズンはサバティックイヤーをとり、外部で振り付けやコーチなどダンスにまつわる種々の活動を行い、今年2月の『バランシン・プログラム』でオペラ座の舞台に復帰した。

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『椿姫』から白のパ・ド・ドゥ(写真)と黒のパ・ド・ドゥを踊るステファン・ブリヨンとローラ・エッケ。photo:Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

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ユーゴ・マルシャンのソロは『a suite of dances』。photo:Sébastien Mathé/ Opéra national de Paris

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『ヘルマン・シュメルマン』。今回オニール八菜のパートナーはヴァンサン・シャイエだ。photo : Ann Ray/ Opéra national de Paris

『月の光』(振付アラスター・マリオット)/マチュー・ガニオ
『椿姫』(振付ジョン・ノイマイヤー)から白のパ・ド・ドゥ/ローラ・エケ、ステファン・ビュリヨン
『トロワ・グノシエンヌ』(振付ハンス・ヴァン・マネン)/リュドミラ・パリエロ、ユーゴ・マルシャン
『ヘルマン・シュメルマン』(振付ウイリアム・フォーサイス)/オニール八菜、ヴァンサン・シャイエ
『ラメンテーション』(振付マーサ・グレアム)/エミリー・コゼット、セ・ウン・パク
『瀕死の白鳥』(振付ミハイル・フォーキン)/リュドミラ・パリエロまたはセ・ウン・パク
『a suite of Dances』(振付ジェローム・ロビンス)/ユーゴ・マルシャン
『椿姫』(振付ジョン・ノイマイヤー)から黒のパ・ド・ドゥ/ローラ・エケ、ステファン・ビュリヨン

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「ルドルフ・ヌレエフ」10月6日〜30日/19時30分〜

1983〜89年の6年間、バレエ団の芸術監督を務め、同時にオペラ座のために古典大作の新バージョンを創作したルドルフ・ヌレエフ。彼の8作品からのパ・ド・ドゥとソロをエトワールとプルミエ・ダンスールが踊る。ヌレエフ独特の複雑な振り付けを複数作品で通しで鑑賞できるというのは、珍しい機会なのではないだろうか。しかもゴージャスな配役で! ミリアム+マチアス、レオノール+ジェルマン、アマンディーヌ+オードリックといった黄金のカップルを楽しめるプログラムともいえる。なお「オペラ座のエトワールたち」に配役されているダンサーたちはこちらには出演しないため、 『くるみ割り人形』でドロテ・ジルベールは過去にはマチュー・ガニオがパートナーだったが、今回は『ドン・キホーテ』で一緒に踊ったプルミエ・ダンスールのポール・マルクと組む。

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『白鳥の湖』。この公演ではアマンディーヌ・アルビッソンとオードリック・ベザールが踊る。photo:Ann Ray/ Opéra national de Paris

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『ドン・キホーテ』のキトリを踊り、エトワールに任命されたヴァランティーヌ・コラサント。photos : Svetlana Loboff/ Opéra national de Paris

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『ロミオとジュリエット』より。ミリアム・ウルド=ブラームの愛らしいジュリエットに再会! photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

『くるみ割り人形』第一幕のパ・ド・ドゥ/ドロテ・ジルベール、ポール・マルク
『シンデレラ』スツールのパ・ド・ドゥ/アリス・ルナヴァン、フローリアン・マニュネ
『ロミオとジュリエット』バルコニーのパ・ド・ドゥ/ミリアム・ウルド =ブラーム、マチアス・エイマン
『くるみ割り人形』第二幕のパ・ド・ドゥ/ドロテ・ジルベール、ポール・マルク
『ドン・キホーテ』第三幕のパ・ド・ドゥ/ヴァランティーヌ・コラサント、フランチェスコ・ムーラ
『白鳥の湖』第二幕のパ・ド・ドゥ/アマンディーヌ・アルビッソン、オードリク・ブザール
『マンフレッド』(ソロ)/マチアス・エイマン
『眠れる森の美女』第三幕のパ・ド・ドゥ/レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

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マチアス・エイマンの『マンフレッド』も久しぶりだ。photo:Sébastien Mathé/ Opéra national de Paris

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「Créer aujourd’hui(今日のクリエイション)」11月4日〜28日/20時〜(11月11日のみ16時~)

この公演では芸術監督オレリー・デュポンが招待した4名の振付家による4つの創作が披露される。4名の中でパリ・オペラ座バレエファンに最もなじみ深いのはシディ・ラルビ・シェルカウイだろう。2019年2月に彼の『Faun(牧神)』が踊られ、また過去にはダミアン・ジャレとともに『ボレロ』をオペラ座バレエ団のために創作している。この創作は衣装がジバンシィ時代のリカルド・ティッシだったこともあり、マスコミもおおいに話題にしたものだ。今回Woodkidの音楽で創作をするというから、楽しみにしよう。

そしてダミアン・ジャレも今回のゲストコレオグラファーのひとりである。彼は名和晃平とヴィラ九条山でデュオ・レジデンス滞在をし、名和晃平が舞台美術を担当した彼の作品『Vessel』は京都で初演され……というように、日本のメディアでもおなじみだ。ひょっとするとフランスより日本のほうが創作家としての彼の知名度は高いのかもしれない。今回のオペラ座バレエ団のための創作には、ピアニスト中野公揮の音楽が使われる。

自身のインスタグラムで7月に早々とオペラ座で初創作することを発表したのは、パリをベースにするメディ・ケクーシュ。音楽は人気デュオThe Blazeのギョーム・アルリックだ。この名前からダンスの雰囲気を察することができる人もいるのでは?

NDTのダンサー&コレグラファーであるテス・ヴォルカーもオペラ座バレエ団のための創作は今回が初めて。1997年生まれととても若い彼女、亡きニック・ドレイクの名曲「Cello Song」にどんな振り付けをするのだろうか。

照明担当は4作品ともファビアナ・ピチョーリが担当。コスチュームについての情報はないが、あまり予算のかからないシンプルな衣装となることだろう。どのような4作品が創作されるのだろう……オペラ座での創作が事前に公開されることはないにしても、彼らのスタイルや嗜好をキャッチすることができるので4名のインスタグラム(@sidilarbicherkaoui@damienjalet@mehdikerkouche@tessvoelker)をチェックしてみるのもおもしろいだろう。

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21世紀の創作が踊られる19世紀末の建築物オペラ・ガルニエ。その美しさを再発見するよいチャンスでもある。photos:Mariko Omura

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大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon
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