9月24日、ガルニエ宮でオペラ座バレエ団のシーズン開幕ガラ。

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オープニング・ガラに際して華麗に装飾されたガルニエ宮の階段にて、バレエ団の芸術監督オーレリー・デュポン(中央)とエトワールたち。アマンディーヌ・アルビッソン、ヴァランティーヌ・コラサント、セウン・パクそしてオーレリーは、オペラ座バレエ団のメセナを務めるシャネルのドレス姿だ。photo:Julien Benhamou

前シーズンは2020年9月27日の予定が4カ月延期された上、無観客で行われたオペラ座バレエ団のシーズン開幕ガラ。オペラ座のプラットフォーム「L'Opéra Chez Soi」で無料配信されたので、世界中のバレエファンがガラ公演を堪能できたのは喜ばしいことだったとはいえ、リアルなステージの迫力は画面サイズとなってしまうし、デフィレではダンサーはマスクを着けての登場だったので物足りなさは否めなかった。

今年、9月24日。2021-22開幕ガラが予定通り華やかに開催され、前回の不満を見事に払拭した。アメリカとフランスの行き来も簡単になったこともありガルニエ宮内は国際性を帯び、着飾って集まった男女たちは久しぶりの優雅なイベントに興奮を隠さず。前々日には新しい音楽監督ギュスターヴォ・デュダメルによる開幕コンサートも行われて、パリ・オペラ座の新シーズンは幸先よいスタートを切ったといえる。パリ・オペラ座バレエ団のメセナを務めるシャネルは、前々回のバレエ団のガラではセルジュ・リファールの『Variations(ヴァリアション)』を踊る6名の女性ダンサーのコスチュームを担当。そして前回のガラでは『グラン・パ・クラシック』に配役されたユーゴ・マルシャンとヴァランティーヌ・コラサントのためのコスチュームを製作している。となると、さて、今シーズンは何を??と気になるのでは?

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ガラ恒例のバレエ団のデフィレ。エトワールはミリアム・ウルド=ブラーム以外、全員が揃った。photo:Julien Benhamou/Opéra national de Paris

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ルサージュの刺繍が輝いたデフィレのチュチュ

ガラは7回目の今回もダンサーと生徒たちによるデフィレからスタートした。シャネルはこのデフィレのために、女性エトワール10名のチュチュをオペラ座のクチュールアトリエとの対話で担当したのだ。フランスの歴史あるふたつのメゾンが卓越のサヴォワールフェールをそれぞれ持ち寄ってのコラボレーション。前回の『グラン・パ・クラシック』の黒のコスチューム同様に、刺繍を施したのはルサージュで、チュチュの白いサテンとチュールの上で星やクリスタルがダンサーの歩みに合わせて、きらきらと輝いていた。また、エトワールがデフィレで着用するティアラもシャネルがダンサー各人の好みに合わせて用意。このチュチュとティアラは今後もデフィレが開催されるたびに、女性エトワールたちによって着用されることになる。新しくエトワールが任命されることがあれば、新たにチュチュが製作されるという。次回のデフィレは来季のオープニング・ガラだろうか?

なお、今回のガラはデフィレのみオーケストラによる演奏だった。新音楽監督のデュダメルがおなじみベルリオーズの『トロイアの人々』第1幕からの行進曲のタクトを振った後、カーテンコールでステージ上でダンサーたちの中央に立って会場を沸かせた。

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左: ルサージュによる刺繍をクローズアップ! 右: ヴァランティーヌ・コラサント(左)とローラ・エッケ。チュチュの刺繍もティアラも、エトワールごとに微妙に異なる。photos:(左)Chanel、(右)Mariko Omura

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デフィレのカーテンコールにオーケストラピットからステージに駆け付けたデュダメル音楽監督。ダンサーたちも彼の登場に笑顔となって、和やかに終了した。なお現在女性エトワールの最古参はエミリー・コゼット(中央)、男性エトワール最古参はマチュー・ガニオ(その右)である。photo:Mariko Omura

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最新エトワールのふたりが『エチュード』で大活躍

プログラムはデフィレの後、幕間&カクテルをはさみ、昨秋にオペラ座バレエ団のために創作されたものの劇場閉鎖の憂き目にあい、有観客では公演のなかったダミアン・ジャレの『Brise -Lames』とテス・ヴォルカーの『Clouds Inside』というコンテンポラリー作品が踊られた。2度目の幕間があり、ガラを締めくくったのはハラルド・ランダーによるクラシック作品の『エチュード』。これはチュチュを纏った女性ダンサーたちの脚に照明を当て、タンデュ、フラッペといったクラシックのテクニックの披露から始まる作品だ。オペラ座バレエ団のレパートリーに1952年に加わり、最後に踊られたのは2014年10月4日に行われた前々芸術監督ブリジット・ルフェーヴルのお別れ公演とかなり前になる。この時に配役された3名のエトワールはドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト、カール・パケットで、今回はセウン・パク、ポール・マルク、マチアス・エイマン。作品が要求する高度のテクニックを発揮して、彼らはクラシックバレエ団のエトワールというタイトルにふさわしい輝きを見せた。最新エトワールということもありデフィレでも拍手を多く集めたセウンとポール。彼らはこの『エチュード』での活躍でパリ・オペラ座の未来を安心させ、さらにコンテンポラリー2作品のあとにやっとクラシックバレエが見られた!!ということもあってだろう。ポジティブな雰囲気が会場を包んでガラは終了した。

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左: ダミアン・ジャレの創作『Brise-Lames』では、衣装と舞台装置をJRが担当。音楽は中野公揮によるピアノの生演奏だった。 右: 『Clouds Inside』を踊るマリオン・ゴティエ・ドゥ・シャルナッセ(右)とアントナン・モニエ。photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

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コール・ド・バレエが大活躍する『エチュード』。ソリストのエトワールは左からマチアス・エイマン、セウン・パク、ポール・マルク。なお、マチアスを除き、10月16日から始まる新作『赤と黒』に配役されているダンサーたちは今回のガラではデフィレだけの登場だった。photo:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

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『エチュード』より。今年6月10日にエトワールに任命されたセウン・パクと昨年12月13日に任命されたポール・マルクが、クラシックバレエのテクニックを駆使して美しいステージを展開した。控えめな印象の強かったセウンだが、実に表情豊かに華やかな舞台姿を見せた。photos:Julien Benhamou/ Opéra national de Paris

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左: 『エチュード』の美しいワンシーン。 右: ガラ終了後、オーレリー・デュポンを囲んだ『エチュード』を踊ったダンサーたち、コーチ陣。photos:(左)Julien Benhamou/ Opéra national de Paris (右)©️François Goizé

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ディナー・テーブルの周囲にゲストが華やかに

この後はグラン・フォワイエとその周囲のスペースにテーブルを並べ、750名がディナー。ガラを主催するAROP(Association pour le Rayonnement de l’Opéra National de Paris)で、その名の意味は“国立パリ・オペラ座の光輝のためのアソシエーション”である。9月22日と24日のふたつのガラを主催し、AROPはパリ・オペラ座の活動を支える資金集めの成果を得た。もちろんガラのスポンサーだったRolex(ロレックス)、そしてパリ・オペラ座バレエ団のメセナであるChanel(シャネル)からの大きな支援もここには含まれている。

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左: テーブルセッティングを終え、公演の終了を待つばかりの食卓。フーディングの指揮のもと、マノン・フルリー、セリーヌ・ファム、ジェシカ・ヤング、ロベール・コンパニョンの4名のシェフが当夜のメニューを用意。 右: 卓上の花の中にひっそりとハンドジェルが。ゲストにとってCOVID-19時代の思い出の光景となることだろう。photos:Mariko Omura

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シャネルゆかりの美しいセレブリティたちが次々とガルニエ宮に到着。左はシャネルの21/22年秋冬プレコレクションのインスピレーション源となったモデルのオラ・ルドニッカ、右は女優のセシル・カッセル(シンガー名はHollySiz)。photos:(左)D.R、(右)Virgile Guinard

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左: 女優アミラ・カザール。 中: 左からアルマ・ジョドロフスキー、ジタ・ハンロ、アナ・ジラルド。 右: ベレニス・べジョーとミッシェル・ハザナヴィシウス。photos:(左・右)Dominique Maitre、(中)Virgile Guinard

editing: Mariko Omura

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