パリ 10月のきのこ狩り『セップ茸のパルマンティエ』
おうちでパリの味 2013.10.17
そういえば"きのこは買うものじゃなくて山や森に探しに行くもの"だったと思い出した。
「ああ、セップ食べたし。でもお高いんですもの......」と呟きながら。
そんな訳で、去年と同じくパリ南西・ヴェルサイユ近くの王様の森La forêt de Marly le roi(ラフォレドマルリールロワ)に出かけてきました。
さて、森の中に分け入ってセップを探す。しばらく雨が続いた後にちょっと汗ばむような陽気のこんな日は、きのこの成長には好条件。セップの旬は9月初旬から10月末頃まで。「ある、ある、きっとあるはず!」と念じながら......。
う~ん、これは強敵登場"きのこハンター"ご近所のこんなおじさまも歩いています。
面白いきのこ発見! そっくりなオブジェがポンピドーセンターにありましたなあ。
テクテクとしながら「やっぱり森はいいなあ」と思ったり......。
風情の良いきのこは沢山あれど......
あっ!と小さく叫ぶ。ありました~セップ!!
数時間歩いて、こんな収穫。傘が開き穴だらけで、あまり上等とは言えませんが、虫が食うのも美味しい証拠。とにかく嬉しい!!
これは友人の収穫。大きなセップと森の奥で採った小さめのBolet(ボレット)はきれいな状態です。
家に戻って早速きのこのお掃除。ナイフで土をこそぎ落して枯葉を取り除き、念のため流水でさっと洗い、ザルの上でしばし乾燥させます。
さて、何を作ろうか?と思案。セップの香りを味わうには、やはりニュートラルなものがいいなあ、とジャガイモを合わせてみました。
■『セップ茸のパルマンティエ』
材料(2人分)
セップ(しいたけやマッシュルームでも) 150~200g
ジャガイモ(中) 4個
タマネギ 1個
にんにく 1片
パセリ(みじん切り) 1/4束
飾り用のにんじん、黄色いパプリカ 少々
オリーブ油 適量
塩、コショウ 適量
生クリームか牛乳 大さじ3(お好みで、入れても入れなくても良し)
1.ジャガイモの皮を剥き1cmの厚さにスライスし、大き目の鍋に水から茹でる。柔らかくなったらザルに揚げて水気をきり、鍋に戻して潰す。そこにオリーブ油大さじ2杯、塩少々、好みで生クリームか牛乳(入れなくてもよし)を入れてよくかき混ぜる。
2.セップを飾り用に薄切り。にんじんの薄切りと黄色いパプリカを型抜きし(今日はイチョウともみじ)フライパンにオリーブ油を入れて弱火でさっと焼き、塩少々を振る。
3.にんにくとタマネギをみじん切り。残りのセップも大き目のみじん切りにして、フライパンで炒めて塩・コショウで味を調えてから半量のパセリを加えて混ぜる。
4.3.を耐熱の容器の底に敷いてから、1.を入れて平らにのばす。オーブンに入れ、180度で15分ほど焼く(お好みで焼かなくても良し)。
5.上にパセリを散らし、その上にセップ、イチョウ(黄パプリカ)、もみじ(にんじん)を飾り、最後に挽き立てのコショウを一振り。
底には、このようにセップの旨みが詰まっています。
今日使った、友人から貰ったコショウはパリ2区のl'épicerie de Bruno(レピスリー・ド・ブルノー www.lepiceriedebruno.com)のもの。封を開ける前から驚きの香り !!!
花山椒、ジロール、ナツメグが混ざったような華やかさで、味のほうは微かな辛みとドライフルーツのような甘み、噛むとさらに香りが弾けるようなマダガスカルの黒い粒。
友人が「これはマジックよ!」と微笑みながらくれた訳が解りました。
テーブルの上に森で拾ってきた宝物、色のきれいな葉っぱ、栗や木の実を広げてみる。こうしているだけで、草木や苔の匂い、枝や枯葉を踏みしめて歩いた感触が蘇えってきます。
■La forêt de Marly le roi
パリSNCF St-Lazare(サンラザール)駅から30分。
Saint-nom-la-Bretèche行、終点で下車。

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo