パリ 12月のマルシェ『かぼちゃのヴルーテと手長海老のビスク』
おうちでパリの味 2013.12.17
モンパルナスタワーを望むマルシェ、ここは14区のエドガー・キネです。
ご近所のグルメな住人たちでいつも賑わっています。
もう年末ですね。ノエルのモミの木が出ています。
夏以来、久々に来てみると、やはりスタンドも食材もすべてがボリュームアップしていて、この時期のおいしいものがすべて揃っています。
ここは近所に住む友人が十数年来のご贔屓という 、パリ近郊農家のフランソワさんのスタンド。野菜の中には珍しいもの、日本の大根、シソなど気の利いたものが多い。食べ方を聞くと、作り手がひとつひとつ丁寧に教えてくれながら、食べごろなものを選んでくれたりと、親切で信頼できる八百屋さんです。
かねがね友人から聞いていた、ジビエのスタンド。羽根の色の綺麗な鴨、七面鳥やうさぎが吊るされています。帽子を被った店主は、なかなか素敵な風情で、野鳥を手早くさばいていく手つきも鮮やか。
下処理された鴨は、どんどん売れていきます。
友人お薦めの魚屋さんは、ノルマンディーの若いふたりのお兄さんたちが地元の漁師たちから直接買い付けてくる。気の良さそうな彼らは、お馴染みさんたちと和気あいあいです。
大きなヒラメにびっくり。
蟹、オマール、ウニも"活"ばかり。
この日は、お昼用に注文の入った大量の牡蠣むきに大わらわのお兄さんです。
こちらのブルターニュの牡蠣のスタンドも大繁盛。
「本当においしいのよ!」と言って、ひとつ殻を開いて見せてくれました。
こちらは、"きのこ専門店"。すべてフランス国産のきのこは、中央部の森やヴォルビックの水で有名なDôme(ドーム)山で、店主友人のきのこ狩りのプロたちが採ってくるもの。
もう旬が終わりかけのセップ(右)とジロール(左)。
"死のトランペット"と呼ばれるきのこ(左)とChanterelles(右)は、独特の風味と歯ごたえがいい。
Pieds de mouton(羊の足)は、濃厚でおいしいダシが出る大好きなもの。セップと入れ替わりに出てくる晩秋から初冬のものですが、これを見ると、さぁ、冬の足音が聞こえてきます。
ここは珍しい野菜があるスタンド。
親切に説明しながら、ナイフで切って味見をさせてくれます。左の白いのは、Capucine tubéreuseという球根のような根野菜。わさびのようにピリッときます。
奥はCrosnes、お節の黒豆に添えるチョロギです !! これは2年くらい前からたまに見かけますが、こちらでは茹でてマリネやサラダ、煮物にしています。左の鮮やかなのは、ペルーのOca(オカ)。
今日は、本当に寒いので(-1℃)、温かいスープが食べたい!と、かぼちゃを。
■『かぼちゃのヴルーテと手長海老のビスク
(Velouté de potiron et bisque de langoustine)』
材料4人分
●ヴルーテ
かぼちゃ(皮を除いた部分) 300g
玉ねぎ 1個
豆乳 200cc
固形ブイヨン 1個
オリーブ油 大さじ1
塩・こしょう 少々
赤粒こしょう 少々
コリアンダー 少々
●ビスク
手長海老(海老でも可) 4個
にんじん 100g
玉ねぎ 100g
セロリ 100g
にんにく 1片
固形ブイヨン 1/2個
トマトピュレ 大さじ1
ローリエ 1枚
タイム 少々
塩・こしょう 少々
<ヴルーテ>
1. 鍋にオリーブオイルを入れ、薄切りにした玉ねぎを炒める。しんなりとしてきたら、薄めに切ったかぼちゃを入れて軽く炒めてから、ヒタヒタになるくらいの水と固形ブイヨンを入れ、軟らかくなるまで中火で煮る。
2. 豆乳を加えてミキサーで撹拌。滑らかになったら、鍋に戻して塩・こしょうで味を調える。
<ビスク>
1. 海老の頭を取り、殻をむいて、塩を少々入れたお湯で茹でて取っておく。頭と殻はすべて取っておく。
2. 鍋にオリーブオイルを入れて海老の頭と殻を入れ、ヘラで潰しながらやや強火でカラカラになるまで炒める。そこに、みじん切りにしたにんにく、にんじん、玉ねぎ、セロリを入れて炒め、しんなりしてきたら、水1カップと固形ブイヨン、トマトピュレを入れて煮詰める。野菜が軟らかくなって1/4くらいの量になったら、軽くミキサーで撹拌して網で濾す。
3. 器にヴルーテを注ぎ、ビスクを少々入れて、刻んだコリアンダー、赤こしょうを振って海老を飾る。
Velouté(ヴルーテ)とは、ヴェルベットのような舌触り、とろみのある滑らかなスープ。温かくて優しい味が冷えた体に沁みるようです。海老の頭のミソが入った濃厚なビスクはアクセントになって、混ぜながらいただくと最後まで飽きずに味わえるもの。
ノエルのごちそうの前菜にぜひ、1品加えて楽しんでください!
■Marché Edger Quinet(マルシェ・エドガー・キネ)
メトロ:6番線 Edger Quinet
営)水曜・土曜 8時~13時
──お知らせ──
ご好評をいただいた夏に引き続き、東京・代官山のキッチンスタジオで料理教室を開催いたします。
いつも、このコラムを見ていただいている皆様にお会いできるのを楽しみにしております!!
■原田幸代の料理教室「パリ・スタイルで"ノエルと新年のおもてなし"」
日程:12月21 日(土)昼・11時~14時/夜・16時~19時の2回
会場:AL 2F Kitchen Studio
東京都渋谷区恵比寿南3-7-17 2F
www.al-tokyo.jp
※お申し込みはこちらから!

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo