パリ 4月のマルシェ『春野菜のピクルス・オレンジ風味』
おうちでパリの味 2013.04.08
"すこしの事にも先達はあらまほしきことなり"(徒然草)吉田兼好の言葉通り、やはりマルシェを良く知るご近所さんと行くのが面白くて深い。
今日は、19区のPlace des fêtes(プラスデフェット)のマルシェに。
この近所に数年前から住む、グルメで料理上手な友人が案内役です。
カワイイお兄さん達のいる八百屋さんは、パリ近郊の農家からの直送。常に新鮮な露地物野菜は、友人のお墨付き。小かぶの葉がシャキシャキしています。
もう一軒のおすすめ八百屋は、メトロ入口のすぐ横。タンポポの葉は、この季節だけのもの。マルシェで見つけると、「ああ、春が来た!」と、感じるのです。これには、カリッと香ばしく焼いたベーコンと半熟卵をのせて、レモンとオリーブ油でいただきます。
みずみずしい新玉ねぎは甘みが豊か。青いところは、チジミか柚子こしょうをたっぷり入れたネギチャーハンに。
春にんじんもピカピカしています!
手前にあるのは、千切りサラダにすると美味しいcéleri-rave(セルリー・ハーヴ)=セロリの根。
友人は、ここで田舎風パンを買い・・・
馴染みの魚屋さんへ。
鯖が安い!
Eperlan(エペルラン)も旬。から揚げにすると、白ワインが進む進む。
もう一軒の魚屋さんは、ゴキゲンなおじさんとマダガスカルからの海老が買い! です。
このマルシェで気に入ったのは、美味しい物がひしめいているポルトガルのスタンド。ショウケースの上に乗ってるのは、伝統的なお菓子"パスティ・デ・ナータ"。カスタードクリームがトロリの大好物!
サラダ、ピザ、パスタなどの上にトッピングしてもおいしい小粒のオリーヴを小みかんと一緒にマリネした大粒のオリーヴを買いました。
珍しいのは、塩鱈と一緒に売られている菜の花。"ポルトガルのみそ汁"Caldo verde(カルド・ヴェルデ)=緑のスープに使うもの。ここには、気軽な発砲ワイン"ヴィーニョ・ヴェルデ"も揃っています。
ポルトガルといえば、子豚の丸焼きが食べたい!と思いつつ、肉屋にぶら下がる子ヤギと子豚を眺めながら・・・アフリカンとアンティル諸島のお惣菜屋さんへ。友人の子供たちが大好きというAccras(アクラ)=鱈のコロッケを買う。
こちらは、友人行きつけのオーヴェルニュ地方のソーセージやチーズ、パテなどを扱うスタンド。お気に入りのパテ・ド・カンパーニュを切ってもらっています。
その隣のハチミツ屋さんには"パリで採れたハチミツ"のラベルが。
「Place des fêtes で採れたハチミツがあるのよ」と友人。尋ねてみると、確かにすぐ側の公園に蜂の巣箱が有って"パリ19区産"と記されたものが売られています。
養蜂家であるスタンドの店主に、お話を伺うと「"パリ産のハチミツ"とされているのはパリ市内・ヴァンセンヌの森をはじめ12カ所に巣箱を設置してあって、そこから採取したもの」。
さらに、季節によってはパリ近郊、シャンティーの森では"菩提樹のハチミツ"、エッソンヌには"蕎麦の花のハチミツ"が。
パリの春のハチミツは、マロニエとアカシアだそうで・・・花の季節・開花、また地方にによってハチミツにも旬があるなんて、今まで知らなかった。
www.miel-paris.com
今日買ったのは、こんな野菜。
■春野菜のピクルス・オレンジ風味
春にんじん(あれば2~3色) 6~8本くらい
新玉ねぎ 5~6個
小かぶ 5~6個
フヌイユ(ういきょう)又はセロリ 1個
パネ又は大根 1本
ラディッシュ 少々
空豆 少々
☆マリネ液
酢(米酢、穀物酢、ワインヴィネガーなど) 1カップ
水 2カップ
砂糖(精製していないもの) 50g
ハチミツ(パリ産・アカシアを使いました) 大さじ2
塩 大さじ1
ローリエの葉 2枚
粒こしょう 小さじ2
コリアンダー・シード 小さじ2
*グランマルニエ 小さじ2
*オレンジとレモンの皮の千切り 少々
1.鍋にマリネ液(グランマルニエ・オレンジ・レモンの皮以外)の材料を全て入れて中火にかけ、砂糖と塩が溶けたら火から下して、グランマルニエ・オレンジ・レモンの皮を入れて冷ます。
2.ニンジンとパネ(又は大根)の皮を剥く(無農薬の物は皮付きのままで)。
3.すべての野菜を食べやすい大きさ・長さに切る。
4.大きめの鍋に湯をたっぷり沸かして、塩をひとつまみ入れて、全ての野菜をさっと湯にくぐらせて(30秒くらい)ザルに揚げて水気を切っておく(冷水に晒さない)。
5.野菜を容器またはジップロックなどの保存袋に入れて、マリネ液を注ぐ。
6.粗熱が冷めたら、冷蔵庫に入れて半日~くらいで食べごろになります。
グランマルニエ風味とハチミツが酸味を和らげて、優しい味のピクルスのできあがり。
身近にある野菜で手軽に作れますが、特に勢いのある今の春野菜は色鮮やかで、見ているだけで目からも元気をもらえそうです。
こうして、春をまるごといただきましょう!
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo