ノルマンディーで過ごす、プチヴァカンスと子羊のレシピ。

ノルマンディー北のキャンピングに出かけてきました。

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キャンプといっても、滞在スタイルはさまざまで、キャンプ場のエリアに持参したテントを張る人、キャンピングカーで来る人など、私たちはキッチン・バス・トイレ付きのコテージに。

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ほかのゲストが連れてきた猫ちゃんが時折遊びに来てくれて、一緒に過ごせるのも楽しみでした。

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到着した日の夕凪が美しい、テラスからの眺め。

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翌日は朝食の後に近所を探索。牛たちがいるのどかな牧草地、麦畑を通り、森へ入ると鹿に遭遇、そこを抜けると青い海、白い石灰岩のファレーズ(断崖)が。モネの画のPetites-Dalles(プティットダル)が、描かれた当時と同じ佇まいで広がっていました。

ここノルマンディーの海岸線には、モネ、ブーダンやピサロなど多くの印象派画家が作品を残した美しい場所が点在していて、名画スポットを歩いて巡るトレイルも人気。

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ある日は景勝地Etretat(エトルタ)へ。怪盗ルパンの『奇巌城』の舞台になった場所として有名です。

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Amont(アモン)の岬に登ってピクニックを。この風景を描いたモネ、ドラクロワ、コロー、マチスなどの作品がオルセー美術館やポンピドゥーセンターにもたくさん収蔵されています。

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白と青のコントラストとともに、強風に耐えながら逞しく咲いている草花のきれいなこと!

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エトルタの新名所は、Les Jardians d’Etretat(レ・ジャルダン・デトルタ)。
19世紀にフランスの女優によって作られた庭を、2015年に建築家Alexandre Grivko(アレクサンドル・グリヴコ)がヴェルサイユ宮殿を手がける庭師のチームを率い、再生プロジェクトをスタート。2年の歳月をかけてコンテンポラリーアートが融合した庭に蘇らせた。

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庭園内は、ジャルダン・Zen、印象派など6つのテーマで造られ、それぞれに世界中から集められたアーティストの作品が配されている。ジャルダン・エモーションのコーナーに“雨の雫”と題されたSamuel Salcedo(スペイン)の作品は、この庭の目玉。

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ランドスケープの中に、巧みにファレーズも組み込まれていて、それは見事!

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エトルタ土産はこちらで。カルバドスやシードル、塩バターのキャラメルなど、ノルマンディーの名産品はすべて揃っています。

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翌日は、魚を探しにDieppe(ディエップ)まで車を飛ばすと、そこは古くから漁業で栄えた港町でした。
漁から戻ってきた船がひしめく波止場。左手はシーフードのレストラン街で、昼になるとテラスはどこも満席。

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旦那が漁をして、元気なおかみさんが売るの図。朝の港には獲れたての魚が並ぶのでワクワクが止まりません。これぞ、旅の醍醐味!

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活きたブロ貝(小さなツブ貝)が格安。
滞在中何度も買い出しに出かけた隣町のFécamp(フェカン)もいいところでした。

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特にお勧めしたいのは、この街の人々の自慢Le Palais Bénédictine(ル・パレ・ベネディクティン)。リキュール醸造所もさることながら、中に設えた教会、ステンドグラス、中世からの美術コレクションが素晴らしい。見学の後の試飲も興味深いものでした。

 

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ここで醸造されているベネディクティンは、世界最古の薬草系リキュールとのことですが、恥ずかしながらまったく知りませんでした……が、地元のパティスリー、カフェなどで出しているお菓子やデザートを試してみて、ちょっと癖になる味! 特に、エトルタのショコラティエで作っているアイスクリームは、クラクラするようなおいしさで、パリに戻ってからも、ああ食べたいなあ、とため息。

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さて、最終日の朝は、またフェカンのマルシェへ。

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街の中心にあるサン・エチエンヌ教会前からメイン通りにかけて大きなマルシェが広がっています。

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地元農家のイチゴはあっという間に完売。

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地チーズは、Neufchâtel(ヌシャテル)というハート型の白かびタイプ。塩味きつめのしっかりした味。放牧されている牛たちが春草夏草を食んで出す生乳で造ったものは、いまがいちばんおいしい時季だそう。

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パリに持って帰る野菜を物色中……ここがいい!

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おいしそうなカブ、ニンジン、フヌイユ、新玉ネギにアスパラも。両手いっぱいに持ちきれないくらい買い込んで大満足。

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大型トラックが手芸屋さんに早変わり。地方のマルシェに行って楽しいのは、こういうスタンドでの宝探し。

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ありました。ジャック・ドゥミの映画の中でカトリーヌ・ドヌーヴのコートに付いていたような60年代のボタンがたくさん!

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最近、フランスでも人気の柴犬をよく見かけます。並んでいるときも辛抱強くいい子にしてる。

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マルシェの帰り、金曜土曜の港に立つ漁師直売スタンドに寄ります。

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鮮度も値段も申し分なし!

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買い物の後は、フェカンの海岸でピクニックを。この旅で毎日見ていた白いファレーズと青い海と空の色を目に焼き付けてパリに戻ります。

帰宅してから作ったものは、カブやニンジンをたくさん買ったのと、1週間ずっと魚ばかり食べていたので、たまにはお肉、と思いついたのは、野菜をたっぷり入れたナヴァラン。

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■子羊のナヴァラン
Navarin d’agneau

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ー材料(4人分)

子羊肉(ラム肉)又は、豚肩ロースブロック  500g
玉ネギ  1個
ニンジン(普通サイズ)  1本
ニンニク  2片
小玉ネギ(あれば)  100g
春ニンジン(または小サイズのもの) 4本
新ジャガ小 6個
トマト完熟  3個
マッシュルーム  100g
カブ小   4個
小麦粉  大さじ2
塩コショウ  適量
オリーブオイル  大さじ2
ローリエ  2枚
タイム  少々
白ワイン  100cc
水     300cc
エンドウ豆  100g



ー作り方

1.肉を冷蔵庫から出しておく。
2.玉ネギ1個とニンジン1本を粗みじん切り。ニンニクをみじん切り。小玉ネギの皮をむき、春ニンジンの皮もむいて縦半分に切る。新ジャガはよく洗い、皮付きのまま2等分。トマトは皮つきのまま粗みじん切り。マッシュルームは縦に2等分に切る。カブは皮付きのまま縦に八等分のくし切りに。
3.肉を4cm角くらいに切り分け、きつめに塩コショウをしてなじませ、薄く小麦粉を振っておく。
4.鍋にオリーブオイル大さじ1を入れ中火で熱し、肉の外側が軽く色つくまで焼いて(中は生の状態)、一旦外に出す。
5.同じ鍋にオリーブオイル大さじ1を加え、ニンニク、玉ネギとニンジンの粗みじん切りを入れて3分ほど炒めたら、肉を鍋の中に戻す。肉の上に、カブ、トマト、ローリエ、タイム、白ワイン、水を加えて強めの中火で沸騰させる。3分ほど煮てアクが出てきたらすくい、弱火にし蓋をして1時間煮る。
6.マッシュルーム、新ジャガ、春ニンジンを加え蓋をしてさらに30分煮る。その間に、エンドウ豆を2分ほど塩ゆで。(もしくは電子レンジ600wで2分加熱)
7.煮あがったら、味見をして塩コショウで味を調えてから、エンドウ豆をのせる。

余ったら、翌日はカレー粉とクミンパウダーを入れてカレーにします。これがなかなかおいしい!

パリは初夏だというのに肌寒いので、こんな温かいものを食べるとホッとします。

■Marché De Fécamp
マルシェ・ド・フェカン

Place du Général de Gaulle
76400 Fécamp
営)7時~20時(土)

今回訪れた場所
Camping Huttopia 

Les Jardins d'Étretat
 

La Rose des Vents 

Palais Bénédictine ※リキュールの詳しい情報はこちらから。 

パレ・ベネディクティン観光案内

SACHIYO HARADA
料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。16年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。近著に『LE B.A.-BA DE LA CUISINE “Ramen”』(Edition Marabout Hachette社 刊)がある。
Instagram : @haradasachiyo

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo

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