パリ春のマルシェ『復活祭のブランチは定番惣菜をアレンジ』

フランスは、3月最後の日曜日から時計の針を1時間進めて夏時間になり、これから1年のうちでいちばん気持ちの良い季節の始まりです。
今日は久々に郊外のマルシェをご案内します。

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マルシェに向かう道すがら通った公園のマグノリアの見事なこと! 隣にある市役所で結婚式を挙げた幸せそうな人たちが記念撮影中、満開に咲いた花も2人を祝っているようです。

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1879年に建てられたというエッフェルスタイルの屋根付きマルシェに入ると、土曜日は物凄い活気。おおよそ140のスタンドがひしめくここは、クオリティの良い食材が豊かで素晴らしい!

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いつもマルシェに行くと最初に覗くのは魚屋。南側の入口にあるここが数ある魚屋のスタンドの中でも種類が多く鮮度、回転も良し。

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鯖の目が活き活きしていて充分買う気にさせてくれます。

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自家製のパテやフランスのサヴォア地方のもの、イタリアのパルマのハムがおいしそうだ。

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ここはキノコ専門店。シイタケは、すでにフランスでも良く知られていますが、マイタケやシメジも並んでいます。

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長蛇の列が出来ているチーズ屋さん、ここではブナの木で燻した南西部のものを一切れ。

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パリ市内のマルシェではほとんど姿を消したChevalineシュヴァリーヌ(馬肉屋)があるのは、郊外や田舎のマルシェならでは。昔は貴重なたんぱく源だった馬肉は、お年寄りには根強く人気があるそうで、これもフランスの食文化ですね。

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ポルトガルのエピスリーには、もちろんタラの塩漬けが欠かせません。

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鶏肉専門店La ferme de Christopheラ・フェルム・ド・クリストフに並ぶのは、鶏のあらゆる部位と新鮮な卵。自家農場で栽培した麦やトウモロコシを与えてるという家禽はどれも良し。仲買を通さないので、良心的なお値段据え置きはインフレに苦しむこのご時世には有難い。

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外に出ると、19世紀に建てられたというサン・アーバイン教会前の広場にスタンドが広がっていて、ここも大繁盛。

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バルコニーを彩るパンジー、クロッカス、水仙などが揃っていて、春の花屋は目が楽しい。

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アスパラが出てきました! 毎年のことながら、やっぱり初物は嬉しいもの。

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南からのイチゴも出てきて、八百屋がいっそう華やかに。

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ここに来ると買い物帰りに必ず立ち寄るのはマルシェ広場の横、この街のスターパティシエNicolas Bernardé二コラ・ベルナルドの店。

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毎週土曜日だけ特別に作られるお菓子“La pâtisserie de samedi ”ラ・パティスリー・ド・サムディを楽しみにしている常連さん達がいるようです。この日はアーモンドベースのチョコレートビスキュイの上に、パンナコッタのクリームとナッツ、チョコ、柑橘のコンフィーをあしらったタルト。こんなに美しいお菓子がある週末って素敵ですね。

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広場の周りにはインテリアショップ、花屋、パン屋にワインカーヴ、そして数軒のカフェがあります。
まだ早春の寒の名残はあれど、陽が差すカフェには地元の人たちが集って、ゆったりとした時間を愉しんでいる様子。買い物帰りのパパと女の子が手をつなぎながら歩く姿を見ると、ほのぼの。

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そして私たちもカフェで一息。ふと空を見上げると、街路樹の花の蕾が少しずつほころんで……週末の朝の賑わいの中で、春を感じてうれしくなりました。

さて、今日は農場の産みたて卵が手に入ったので、フランスのお惣菜屋さんの定番の卵料理を作ってみました。もうすぐPâques パック(復活祭)なので、たまにはこんな前菜を休日のブランチに作ってみてはどうでしょう?

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■卵とハムのゼリー寄せ
Œuf en gelée au jambon et cerfeuil

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<材料2人分>(グラス直径8cm、高さ6cmを使用)
卵 2個
ハム薄切り 2枚
パセリなどのハーブ
適量(レシピにはセルフィーユを)
ニンジン 少々
【ゼリー液】
水 250㎖
コンソメ顆粒 小さじ1
塩 少々(コンソメだけで味見をして足りなければ加えて、お吸い物くらいの濃さに)
板ゼラチン 7g

<作り方>
  1. 茹で卵ーー沸騰した湯に卵を入れて(お玉の上にのせて湯に入れるとスムーズに)7分茹でてから冷水に入れて冷めるまで待って皮をむく。これは半熟ですが、好みの硬さにしてください。(固ゆでは10分ほど)
  2. ゼラチンを冷水に浸して柔らかくなったら、ザルにあげて水気を切る。
  3. 小鍋にゼリー液の材料をすべて入れてから、火にかけて温める。かき回してゼラチンが溶けたらボールに入れて冷ます。
  4. その間にハムを千切り、ニンジンを薄切りにして、あれば型で抜く(花や♡など)。
  5. グラスに③の冷めてきたゼリー液を大さじ1くらい流し入れて、にんじんとハーブをのせる。
    冷凍庫に2~3分ほど入れる、又は氷水にグラスを浸けてゼリーが固まるまで待つ。固まったら、中心に茹で卵をのせて、グラスの周りにゼリー液にさっとくぐらせたハーブを貼り、卵の周りにハムを入れていく。上から静かにゼリー液を流し入れてから冷蔵庫で30分~1時間くらい冷やして固める。
  6. 固まったら、お湯(手が浸けられる程度45℃くらいの温度)に、さっとグラスを浸けて温めてからグラスの上に皿をのせてひっくり返す。
■Marché La Garenne Colombes(marché du centre)
マルシェ・ラ・ガレンヌ・コロンブ
Place de la Liberté , la Garenne Colombes 92250
営)水・土 8〜13時
St-Lazare駅からSNCF線で15分 La Garenne Colombes駅下車徒歩10分
Sachiyo Harada/料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。16年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。近著に『LE B.A.-BA DE LA CUISINE “Ramen”』(Edition Marabout Hachette社 刊)がある。
Instagram : @haradasachiyo

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo

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