旅するスプーン
おうちでパリの味 2008.12.11
毎年、ボジョレー・ヌーボーの頃になると、ぐっと寒さが増して冬の到来を感じます。
そろそろ、クリスマスの贈り物を考える時期ですね。
この頃はいわゆる"Design"(バリバリ工業製品)モノがあふれているけど、
やっぱり心惹かれるものは、手の温もりを感じる物。
マレのブティックMiller et Bertauxで、
"Spoons and Poems"
というテーマのインスタレーションがありました。
オーナーであるFrancisとPatrickがNYで見つけたスプーンは、
カナダ系イギリス人でヘルシンキ在住のアーティストClare Goddardの作品。
リサイクルをテーマに作品創りを続けているという。
糸の細工、インクでペイントしたもの。
スプーン姉妹、仲良く寄り添っています。
ベトナムから来た提灯が側にあると、アジアティックなものに見えてくる。
紅茶で染めたスプーン達。
ティーバックの袋をちぎって形をつくり、膠で固めてある。
紅茶で染めたもの、数字を貼りつけたもの、
糸と針の手仕事ひとつひとつの表情が異なって味わいがある。
彼女の手の動き、フィーリング、繊細な心を感じて、とっても魅了されました。
少し前からお掃除のサービスを始めた友人のHenriは、今、引く手あまただという。
やっぱりね!ここパリには、お掃除を生業にする人が山ほど居るけれど、
本当に"心で仕事する人"が少ないからだと思う。
彼の感性、細やかさ、依頼主の気持ちを考えた丁寧な様子を思うとそれも納得してしまう。
愛だわ!!
心を込めてお掃除をすると開運!というけれど、
きれいになった部屋にこんなスプーンを飾ったら、なんだか良い事が舞い込みそう!
松ぼっくりが良い香りの蝋でコーティングされている。これを暖炉にくべると更に松の香りを楽しめるそう。
オーナー達が世界中を旅して集めた素敵なものに出会える場所。
イギリスで学んだ彼女が、ヘルシンキで物創りをしてNYへ、
そこで出会いがあってパリへ。
はるばる海を渡って旅してきたスプーンは、これから更にどこへ行くのかしら?
と、そんな事を考えながら、楽しい気分になりました。
Miller et Bertaux
17,rue Ferdinand Duval 75004 Paris
tel/01 42 78 28 39
http://www.milleretbertaux.com

料理クリエイター
長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。
近著に映画の料理を紹介した本『La cuisine japonaise à l'écran』(Gallimard社)と『Le Grand manuel de la cuisine Japonaise』(Hachette-Marabout社)がフランス全土と海外県、ヨーロッパ各地で発売。
Instagram : @haradasachiyo