時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、シャネルの時計の話をお届けします。
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CHANEL
J12
「J12」(自動巻き、高耐性セラミック×ステンレススチール、φ38mm)¥704,000/シャネル(シャネル カスタマーケア)
シャネルのアイコン「J12」。その魅力をひもといてみよう。
まずはリュウズ。全体のシルエットになじむように、小さく女性らしい。ベゼルは外側に向かってわずかにカーブを描き、時計を薄く見せる効果を上げている。ブレスレットは薄くフィット感がよく、針も文字盤も洗練されて─なんと2019年に一度全体の70%以上が改良されたというから、本当に驚きだ。さらに中身はクオーツではなく、高精度の自動巻きムーブメントだ。
シャネルのアイコンは実は日々アップデートしている。
たとえば、香水「シャネル N°5」。そのボトルは1921年の発表から現在までに、ほんの少しずつディテールが変更され続けている。だが、誰もが抱くボトルのイメージは、いつの時代もそのままだ。
2000年に発表され、2019年にアップデートされた「J12」は、メゾンのフィロソフィがぎゅっと詰まった宝石のような存在。実際に手に取れば、新しさが肌にしっかりと伝わってくるはずだ。
*「フィガロジャポン」2019年7月号より抜粋
photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KEIKO HOMMA