カルティエ、オニキスが目を引く特別なリング。

いいモノ語り 2023.05.26

時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、カルティエのジュエリーの話をお届けします。

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CARTIER
PANTHÈRE DE CARTIER

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イエローゴールドとオニキスの強いコントラストが目を引く、お守りのように着けたいシンプルなリング。毛並みを思わせる特別なセッティングがカルティエならでは。リング「パンテール ドゥ カルティエ」(YG×オニキス)¥2,349,600/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)


ネコ科の動物の優雅さと強さを、このリングで手に入れる。

シンプルなシルエットとほどよいボリューム感が魅力の「パンテール ドゥ カルティエ」リングは、ヒョウのモチーフを表すオニキスのスポッツが特徴的。誰もがひと目ですぐにカルティエとわかるアイコニックな美しさに思わず胸が高まるデザインだ。

このリングは細部にもメゾンのこだわりが満載。漆黒のオニキスは宝石彫刻の職人がデザインに合わせて精密にカットしたもので、それをストーンセッティングの職人が「ファー セッティング」でデリケートに留めている。パンテールの毛並みを思わせる細やかな彫金がオニキスの周囲を縁取るこのセッティングは、カルティエが独自に用いているスペシャルなテクニック。パンテールは古代から権力、誘惑、勝利をシンボライズする生き物とされているので、心強いお守りにもなってくれそうだ。

パンテールが初めてカルティエのコレクションに登場したのは、1914年のこと。記念すべきファーストモデルは、パンテールのパターンをグラフィカルにあしらったプラチナウォッチだったという。

この時代、スタイルアイコンたちの間で流行していたのは、フェリン(ネコ科の猛獣)。女優のサラ・ベルナールやジョセフィン・ベイカーはチーターをペットとして飼い、ルイーザ・カザティ侯爵夫人はチーターに宝石の首輪を着けて舞踏会にまで連れてきた。当時、パリのカルティエを率いていたルイ・カルティエも、ヒョウの毛皮のコートが似合う才能豊かな女性とめぐり会い、パンテールのモチーフをあしらったシガレットケースを彼女に贈っている。この女性こそが「ラ パンテール」の愛称で呼ばれたジャンヌ・トゥーサンだ。

メゾンのクリエイティブディレクターとして迎えられ、洗練されたセンスで次々と優れたハイジュエリーを生み出していったジャンヌ。上流社会の貴婦人はこぞってジャンヌにパンテールをオーダーし、伝説的エディターのダイアナ・ヴリーランドは「ヒョウのいない世界を誰が望むの?」とまで言うほど、パンテールの官能性はファッショニスタたちの熱い視線を浴び続けた。

誕生からはや1世紀以上。それでも「パンテール ドゥ カルティエ」コレクションの魅力は少しも衰えない。優雅さと強さ、しなやかさと俊敏さを備えたこの愛すべきフェリンは、いまを生きる女性たちをエンパワーメントする存在でもあるからだ。

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宝石彫刻など、何人もの専門職人が関わってひとつのピースを完成させる。©Cartier

*「フィガロジャポン」2023年4月号より抜粋

●問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757(フリーダイヤル)
www.cartier.jp

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photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko

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