時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノにある、いい物語を語る連載「いいモノ語り」。
今回は、ミキモトのピンキーリング「ディナーリング コレクション」の話をお届けします。
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MIKIMOTO
DINNER RING COLLECTION

アシメトリーにセットした艶やかなベビーパールがアクセントとして効いたピンキーリング。近年はさまざまな要因でベビーパールの生産量が減少し続けているため、こうしたデザインには特別感がある。「ディナーリング コレクション」(YG×ダイヤモンド×アコヤ真珠)¥264,000/ミキモト(ミキモト カスタマーズ・サービスセンター)
輝くピンキーリングで、ディナーを優雅に。
ミキモトからデビューしたばかりの新作は、ほっそりとしたシンプルなピンキーリング。質の高いダイヤモンドとベビーパールをあしらった、可憐な「ディナーリング コレクション」だ。特徴は、さりげなく揺れるようにダイヤモンドが側面にセットされていて、小指に着けることをしっかり意識したデザインになっていること。着けるのは右手でも左手でもOK。ただ小指に着けることで、ベビーパールと側面のダイヤモンドのあしらいが生きてくる。
リングは、いつでも自分で指にはめているのを"見る"ことができる。一方でピアスやイヤリング、ネックレスは、身に着けたら鏡でもないかぎり自分では見ることができない。でも、顔周りに近いアイテムだから、自分以外の人からは"見られる"。ジュエリーには"見る"ジュエリーと"見られる"ジュエリーがあるのだ。
そしてこの「ディナーリング コレクション」は"見る"と"見られる"の両方をあわせ持つデザイン。手元を見るとリングが目に入り、気持ちが明るく華やいでくる。そして何気ない仕草につれて小指のダイヤモンドがキラリと揺れて輝き、周囲の視線を手元に集める。身に着ける人の手をしとやかに演出する「ディナーリング コレクション」は"見られる"ジュエリーでもあるのだ。

昭和11(1936)年の御木本真珠店(現ミキモト)のカタログ『真珠』。リングを着けた手元が上品に表現されている。
でも、なぜ「ディナー」なのだろう? いまから100年近く前、昭和3(1928)年のミキモトのカタログ『真珠』には、ヨーロッパやアメリカのリングの歴史や着用のマナーを紹介するコラムにこう書いてある。「ドレスリングはご盛装の折に、ディナーリングはご饗宴の際にお用いになる真珠、または宝石入りの指環のことを申します」。和装から洋装に変わりつつあった当時の女性たちは、こうしたリングにどれほど憧れの気持ちを抱いたことだろう。
現代のミキモトの「ディナーリング コレクション」は、ディナーを楽しむ大人たちのための優雅なピンキーリング。グラスを持つ手、ナイフやフォークの動きにダイヤモンドが揺れて煌めき、"見る"と"見られる"の両方で存在感を発揮する。上質なダイヤモンドだけを厳選してあしらっているから、キャンドルの炎にもキラリと映えて、白い光を振りまく様子が本当に美しい。
もちろんディナーだけでなく、昼間の気取らない着こなしや、重ね着けにもぴったり。小指にリングを着けると仕草がきれいに見えることを「ディナーリングコレクション」は教えてくれるのだ。
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
コンテンポラリージュエリーの巨匠と呼ばれる老アーティストに会う機会に恵まれ、感激感涙。ジュエリーの新たな魅力に気付かせてもらい、元気が出ました!
*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima illustration: Sarene Chan text: Keiko Homma editing: Mami Aiko






