可愛いだけじゃない! ボッテガ・ヴェネタの「カンパーナ」バッグ。
Love it ! 2025.10.02
編集者たちが見つけたお気に入りの逸品を紹介する連載。今回は、ボッテガ・ヴェネタの「カンパーナ」について、編集ATが語ります。
半世紀にわたり、脈々と受け継がれる職人技に惚れて。
モノを買う決め手は"可愛い"だけじゃなくなった。新作展示会訪問やリサーチの日々。この職に就いてからバッグを見る機会がぐんと増え、素材や制作工程、歴史、デザイナーの思想など、見た目以外に入ってくる情報も増えた。可愛いのは当たり前。その先の背景に共感した時に、欲しい気持ちが一気に高まるのだ。
"クラフト・イン・モーション"というブランドの哲学を体現した、立体的でモダンな新作。2本のハンドルを備え、開口部は中央にマグネット、サイドに結べるレザーストラップが付いた仕様。15mm幅の太めのフェットゥーチェ(革ひも)で編み込んだ「カンパーナ」(H43×W31.5×D13cm)¥715,000/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
そんな私のウィッシュリストに最近加わったのが、この夏新しく登場したボッテガ・ヴェネタの「カンパーナ」。2004年スプリングコレクションのアーカイブピースを再構築したもので、ころんと丸みを帯びたミニマルなフォルムに釘付けに。そしてなんと言っても、ブランドを象徴するこの歴史ある編み込み技法、イントレチャートが魅力だ。「カンパーナ」はあえてライナーを施さず、編み目の美しさを内側からも堪能できるようにしたのだそう。パズルのピースがはまったかのような気持ちのいいぴったりとした編み目、引っかかりのないナッパレザーのなめらかな手触り......イタリア語で"工房"を意味する"ボッテガ"という言葉にそのアイデンティティが映し出されているように、緻密で繊細な職人技はいつ見ても心揺さぶられる。
ロゴマークを持たないボッテガ・ヴェネタにとって、イントレチャートこそがブランドの象徴となった。写真は1995年のレザー製品のカタログビジュアル。
イントレチャートは、切れ込みを入れたレザーのベースにレザーのフェットゥーチェを編み込んでいく技法。一般的な格子状に編むのではなく、45度の斜めに編むことによって、ボッテガ・ヴェネタならではの柔らかくしなやかな手触りになる。
あらゆる形や色に変化し続け、私たちをときめかせてくれたイントレチャートは、なんと今年50周年。いつもはダークカラーを選びがちな私だが、この祝福すべき節目に、思い切って明るいホワイト(シーソルト)をお迎えしたい。(編集AT)
「カンパーナ」ミディアムサイズは全4色。このほか、ラージサイズや編み込みを用いないグレインレザーのタイプもある。
*「フィガロジャポン」2025年11月号より抜粋

フィガロジャポンのエディター。怪談系YouTubeを聞き流すのにハマっていて、怖さに鈍感になってきた今日この頃。好きな食べ物はじゃがいもと餃子とアイス。コーヒーよりも断然お茶派! 最近の目標は、読書量を増やすこととちゃんと健康に生きること。
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