ノマドワーカーが喜ぶ、エココンシャスなモブ・ハウス滞在。

PARIS DECO 2022.02.18

クリニャンクールの蚤の市があるパリ隣接の郊外サン・トゥアン。この地にできた「Mob Hotel(モブ・ホテル)」を5年前に紹介したが、今年そのすぐ近くに同系列の「Mob House(モブ・ハウス)」がオープンした。ここは1~2泊といった短期滞在ではなく、1週間以上の長期滞在者を対象に考えられたホテル。2000㎡の中庭を備え、そこには宿泊者専用の20mプールまで! 1階にはバー、ブラッスリー、ワーキングサロンが広がる。

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クリニャンクールの蚤の市の中を貫くロジエ通りの70番地。広い庭が隙間から覗ける木の扉がモブ・ハウス、ブラッスリーの入り口だ。photos:Mariko Omura

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庭に面した客室にはバルコニーがあり、地上階のブラッスリーもテラス席で食事をとれる。photo:Grégoire Gardette

モブ・ハウスがうたうのは、100ある客室の半数以上が仕事目的の旅行者にうれしい“3つをひとつに”という造りだということ。それはひとつの客室内に寝室、オフィス、ミーティングルームという3つの機能が備えられているからである。このアイデアを完成させたのはモブ・ホテル同様、シリル・アウィゼラットと彼のアソシエイツで内装も担当したフィリップ・スタルクだ。脳が快適に反応する木材、レザー、ストロー、コンクリート、セラミックなど自然素材を活用。ベッドのヘッドボードが畳というのに驚かされる。いぐさ素材の畳を垂直に使うというのは日本人にはない発想だ。全体に色もソフトにまとめられ、静けさが漂う空間である。なおモブ・ハウスと同じく環境に優しいホテルとして、バスタブを備えた浴室はなく100室すべてシャワーオンリーだ。

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客室例。手前がオフィス、右がミーティングルーム、奥が寝室という造りである。客室は10タイプあり、1泊200ユーロ〜。photo:Grégoire Gardette

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左: ミーティング用サロン。自然素材のシンプルで使い勝手のよい家具が美しい。 右: バスルーム。イレギュラーが味わいを添えるボジョレー・タイルを使用。アメニティはモブのオリジナルで、もちろんビオだ。photos:(左)Mariko Omura、(右)Grégoire Gardette

旅先で仕事のアポからアポへ移動するより、アポの相手が滞在先に来てくれるほうがどれだけ効率的か。モブ・ハウスならそれが可能というわけだ。ベッドのある空間はしっかりとした二重のカーテンで仕切ることができる。カーテンの反対側のサロン風のミーティングルームで仕事の打ち合わせをするのに、なんの支障もない。大きなテーブルは仕事もできれば、食卓にも。電気ポットやエスプレッソマシン、ミニ冷蔵庫などは、おもしろいことに木製のトランク風家具内にまとめられている。これは19世紀に貴族たちが旅に出る際に、荷造り業者に必要な品を詰めさせた大きなトランクとともに移動したことにインスパイアされてのアイデアとか。

仕事時間だけでなく、個人の時間もホテルを出ないで有効に過ごせるように計算されている。庭の奥にあるプールは静けさを大切に、携帯も音楽も禁止。ホテル内にジムも備えていて、世界中に増え続けるノマドワーカーたちを喜ばせる新しいタイプのホテルといえそうだ。

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オリジナルの木製トランク風棚を備えた客室。これに限らずホテルの家具はアルチザンの仕事によるものが集められている。photo:Grégoire Gardette

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ヴィンテージやオリジナルの家具が交じり合う1階のワーキングサロン。ブティックも備えている。photos:Mariko Omura

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長さ20m、深さ1.35m。パリ郊外ならではのサイズの温水プール。緑に囲まれたシャワーコーナーが隣接している。photo:Mariko Omura

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庭に面し、宿泊者以外にも開かれているキャベツの葉を意味する「Feuille de Chou(フォイユ・ドゥ・シュー)」は地元産の素材を使ったビオのブラッスリーだ。200席あり、半端な時間でも食事ができるのが魅力。ホテルなので朝食時間から営業。宿泊しない人も蚤の市に繰り出した時に活用できそうなので、このアドレスを控えておくといいだろう。

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くつろぎ感のあるオープンキッチンのブラッスリー、フォイユ・ドゥ・シュー。ひとり客が気軽に食事を取れるカウンター席も用意されている。photos:Grégoire Gardette

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前菜9ユーロ〜、メイン18ユーロ〜、デザート10ユーロ〜。朝食は12ユーロと18ユーロの2タイプあり。ティータイムも過ごせる。photos:Grégoire Gardette

Mob House
70, rue des Rosiers
93400 Saint-Ouen
https://www.mobhouse.com/fr/

editing: Mariko Omura

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