【篠原ともえ連載Vol.11】版画作品で"絵のドレス"をつくる。

近年新たに挑戦していること、それは自分で刷った版画作品をテキスタイルにし、その生地で衣装製作をすることです。テキスタイルデザインのお仕事はこれまでにもさせていただく機会があり、そこで得た生地製作のスキルを、新たな展開へと進化させてみました。

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先日開催された「ショートショート フィルムフェスティバル」の審査員として参加した際のセレモニーにて着用。“絵のドレス”のきっかけは、今年から通い始めた版画教室。普段から形にしたいアイデアを小さなメモにスケッチしているのですが、版画作品はそうしたスケッチを元にして、下描きをせず一気に仕上げてゆきます。集中して何かに没頭するこうした時間が好きで、仕事の合間などにも、感覚にまかせ手を動かすことが私の喜びの一つになっているんです。

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毎日こつこつ刷り上がりを想像しながら彫っていると、教室に通う日が待ち遠しくてたまりません。子供の頃、習字、水泳、バレエ、新体操など曜日ごとに習い事を楽しんでいたのですが、まるでその時のワクワク感が蘇ってくるようです。版画の面白さは、刷ってみるまでどんな作品になるかが未知数なところ。版は片面が樹脂加工された特殊な紙を使っているのですが、真っ白なので彫ってはみても、どんな風に仕上がるかは予想ができず、そんなところも魅力的なのです。

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削った版にインクを詰めるとだんだんと作品の全貌が浮かび上がってきます。このインクをどのように残すかというのも自分で加減ができるので、トーンを調整するのも腕の見せどころ。あまりインクを拭き取りすぎないようにして全体的にグレーぽい作品にしてみようかな、それとも思いっきり拭き取ってモノトーンがくっきり出るようにしようかな、なんて考えながら手を動かしています。

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紙凹版で創作した作品たちが増えてきました。刷り上がりの瞬間は何度体験しても「おお〜っ!」と声が出てしまいます。予想と違った表情で現れてくれる作品との対面は嬉しくもあり、なるほど、こう出るのであれば次はこういう風に表現してみようと、つくればつくるほど、別の創作アイデアが生まれてくるのです。版画教室では、作品は一枚絵として完成させることがほとんどですが、やっぱり私にとってファッションへの展開が切り離せないんですよね。ここから版画作品を服へと変身させてゆきます。

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衣装のデザインは近年取り組んでいる四角いパターンで。今回はブラッシュアップのためにも、大学時代の恩師を訪ね、アドバイスをいただきながらパターンを形にし、ドレスライクなワンピースを作りました。版画ならではの風合いも生地へときれいに反映でき、四角パターンのシルエットとも相性が良く、仕上がりにとても満足しています。版画でも服でも、何かを学ぶことはいくつになっても刺激的で創造的。次はどんな表現にチャレンジしようか、日々アイデアを膨らませています。

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こうした私の創作におけるこれまでのインプットやアウトプットを、今回初めてオンライン講座でお話しさせていただきます。7月4日(日)NHKオンライン講座にて、「創る」をテーマに、日々の生活や様々な職業にも活かせるデザインの楽しみ方を、これまでに制作した作品のお写真や動画とともにお伝えする予定です。(期間限定アーカイブも実施)今までご紹介したことのない作品のプロセスなどもお話しさせていただこうと思っておりますので、是非皆さんオンラインでお会いしましょうね。

NHKオンライン講座『篠原ともえの「創る生き方」』お申し込みはこちら
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1228559.html

photography: Aya Kawachi Hair & makeup: Masayoshi Okudaira

1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。歌手・ナレーター・女優活動を通じ、映画やドラマ、舞台、CMなどさまざまな分野で活躍。現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなど企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートやアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。
篠原ともえ公式サイト:www.tomoeshinohara.net
公式インスタグラム:www.instagram.com/tomoe_shinohara/

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