味わいの幅広さがワイン通の間で話題に!? 酸味が特徴的な白ワイン品種「シュナン・ブラン」とは?
知ってちょっとためになるワイン学習帖 2025.04.11
いまワインラヴァーの間で密かに話題? 注目の白ワイン品種、シュナン・ブランをワインジャーナリストの柳忠之が解説。
vol.9 シュナン・ブラン
シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランの御三家と比べるとややマイナーながら、目下ワイン通の間で人気急上昇の白ワイン用品種がシュナン・ブラン。フランスのロワール地方が原産で、辛口だけでなく半甘口から極甘口、さらにはスパークリングワインにもなるという、きわめて器用な品種である。
その大きな特徴が豊富な酸。だから甘口に仕上げてもバランス良く、フレッシュさが身上のスパークリングにも向くわけだ。
フランス以外で栽培の盛んな国は遠く離れた南アフリカ。ロワール生まれだから冷涼な気候を好みそうだが、温暖で乾燥した南アでも清らかな酸を保ち、快活な白ワインを生む。香りは白い花やカリン。熟成が進むに連れハチミツ香が際立つ。一般にロワールの方がボディがタイトで、南アはより厚みが感じられる。
クルーフ・ストリート
オールド・ヴァイン シュナン・ブラン
KLOOF STREET
OLD VINE CHENIN BLANC
国・地域:南アフリカ ウエスタン・ケープ
アルコール度数:13%

クリスとアンドレアのマリヌー夫妻は南アきってのスター生産者。上級ラインはもちろん、日常向けのこのシリーズでもいっさい手抜きがない。シュナン・ブランは樹勢が強く、多収穫になりがちだが、樹齢40年以上の古木を使用して凝縮感あふれる味わいに。オーク樽醸造したワインもブレンド。カリンに加えて洋ナシなど有核フルーツも感じられ、ボディがしっかり。酸味もすこぶる良好。本家ロワールを脅かす。
酸味 ●●●◯◯
果実味 ●●●●◯
ミネラル感 ●●●◯◯
---fadeinpager---
シャトー・ド・フェル/アンジュー・ブラン"ラ・シャペル"
シュナン・セックヴィエーユ・ヴィーニュ
CHÂTEAU DE FESLES / ANJOU BLANC "LA CHAPELLE"
CHENIN SEC VIEILLES VIGNES
国・地域:フランス ロワール
アルコール度数:14%

ロワール地方の高貴な甘口ワイン、ボンヌゾーのエリアを拠点とするシャトー・ド・フェル。甘口ワインを得意とする一方、辛口のアンジュー・ブランも秀逸。土壌はシスト、すなわち片岩土壌で、鉱物質なミネラル感が余韻を引っ張る。クルーフ・ストリート(右)と比べると、冷涼な気候を反映して酸味が一段と高く、きりっと締まった味わい。ただしアルコールは14%にも達す。これも温暖化の影響かしらん。
酸味 ●●●●◯
果実味 ●●◯◯◯
ミネラル感 ●●●●●

今月の講師
柳 忠之
ワインジャーナリスト
ワイン専門誌記者を経て、1997年に独立。専門誌、ライフスタイル誌等に寄稿。日本ソムリエ協会発行の資格試験向け教本執筆者。シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
ワインを自分らしく楽しみ、食卓や日々の生活をより豊かにしたい、そんな知的好奇心の高い人に向けた新しいコミュニティ。知識が身につくワイン講座や試飲イベントの開催、ワインアドバイザーによるコンテンツを日々発信中!
*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋