イーストハリウッドにあるFlavors from Afarの店名を日本語にすると「彼方からの味」。通称「フレーバーズ」はLA在住の難民や亡命者のシェフたちを料理を通じて支援するレストラン&カフェで、多彩な移民文化が息づくLAでさえなじみの薄い異国の食文化が体験できる。
photography: Dylon Myers
開放的で落ち着いた店内で月替わりに行われるディナーやブランチイベントはスーダン、ソマリア、エジプト、レバノン、グアテマラなど出身のシェフが交替でディナーをホストする。郷土料理や家族に伝わる料理を時にはレシピに忠実に、時には南カリフォルニアの食材や嗜好に合わせてコースメニューに仕立て、移民ストーリーとともにゲストと共有するから毎回新しい発見がある。
不定期に開催される料理教室では、シェフと一緒に厨房で料理をしながら、異文化のフレーバーや調理法を学び、できあがった料理を全員でテーブルを囲んでワイワイと話に花を咲かせながらいただく。
Tiyya代表のメイムナ・フセイン=カタン(中央)と難民、移民のシェフたち。 photography: Jacqueline Patton
自然光がふんだんに入ってくるオープンなスペース。奥にはくつろげるソファや作業もできる大きなテーブルもある。 photography: Flavors from Afar/Tiyya Foundation
平日の営業はコワーキングスペースも兼ねたカフェで、最近ランチサービスが始まったばかり。
注文を受けてからホールスパイスをふんだんにゴリゴリとすり潰して淹れるソマリアチャイ、生姜とパイナップル、ハイビスカスがフレッシュな西アフリカのアイスティー、ビサップなどのドリンクのほか、サンブサスと呼ばれるエジプトや中近東の揚げスナック、酸味の利いたトマトソースで煮込んだ豆・米・パスタ料理のコシャリ、インド風スパイスのラムとチャツネ、ピクルスのオープンサンドなどリアルな多国籍料理がメニューを彩る。
料理は毎年ミシュランがビブグルマン認定するクオリティとおいしさだ。
ランチメニューから。 Tiyya財団とフレーバーズを立ち上げ、運営するメイムナさんの家に伝わるレシピで作るサンブサスはカラッと揚げたサクサクの食感。ヨーグルトソースでいただく。(10ドル)お腹がいっぱいになるエジプトのコシャリは2種類の豆、米、パスタをガーリック風味のトマトソースで煮込んだ料理でスパイスが特徴的。(12ドル)タルティーヌはベジタリアンと子羊の2種類があり、子羊はクミンヨーグルトの上にスパイスやオニオンチャツネがインド風のオープンサンドだ。(16ドル) photography: Dylon Myers
フレーバーズ・フロム・アファーは、料理や食を手段に難民や亡命者の自立と文化交流を支援するNPO「Tiyya財団」のプロジェクトとして発足した。難民シェフたちに厨房業務・ケータリングでの実践経験、就職活動に役立つネットワーキングや履歴書制作などをサポートし、収益はシェフとコミュニティ支援プログラムに分配される社会的起業活動の一環だ。
移民問題が複雑化するアメリカだからこそ、異文化や難民の歴史が反映された料理で人間性やコミュニティの一体感を味わいたい。
フレーバーズ・フロム・アファー
Flavors from Afar
5652 Hollywood Blvd. Los Angeles, CA 90028
イベント情報などはインスタグラムで。
@flavorsfromafar.co