仏企業、10人に1人が経験する流産に休暇制度設ける。

Society & Business 2022.06.22

フランスの企業Critizr(クリティズール)では5月1日以降、流産した女性社員が5日間の休暇を取ることが可能になった。パートナーも2日間の休みが取れる。

【関連記事】「子を亡くした悲しみ」、どう向き合う?

20220614-congépourfaussecouche-01.jpg

10人に1人の女性が流産を経験している。photo : Getty Images

カスタマーインタラクション管理を専門とするフランスの企業Critizr社は、フランス、イギリス、オランダ、スペイン、日本で働く100人の社員を対象に、5月1日以降流産休暇を取得できる制度を設けた。5月17日にプレスリリースで発表したとおり、22週目までの初期段階に妊娠が自然な原因で終了してしまった場合、女性社員は5日間の休暇を取ることができる。流産した女性がこの会社で働いていない場合でも、パートナーは2日間の休暇が取れる。

---fadeinpager---

証明書は不要

「つらい状況にさらなる負担をかけないため」休暇を取得する際、許可の申請や医師の診断書などは不要であるとプレスリリースに書いてある。フランスのマダム・フィガロの電話取材では、メールあるいは電話で流産休暇を取得したいと会社側に伝えるだけでいいことが確認された。同企業は信頼と“簡素化”の原則に基づくと説明する。

この制度に踏み切ったのはCEOである二コラ・アメール。Critizr社は自然に妊娠が終了してしまった後の休暇を設けた初のフランス企業だ。「私たちは、これからの社会を切り開く立場にあり続けたいと思っている」と人事部長のグザヴィエ・モリニエはプレスリリースで述べている。「このような措置を取ることで、つらくて仕事をするのが困難あるいは無理な状況でも企業として法的、ないし慣習的な義務を越えて社員を支えていきたいと考えています」

並行して1日、必要であれば2日間の生理休暇も設置された。

---fadeinpager---

タブーを破る

この措置は、これまでオープンに語ることがなかった流産を沈黙から解放しようとする一連の動きのひとつだ。しかしここまで来るのに困難がなかったわけではない。2021年11月、フランスのポーラ・フォルテザ議員は妊娠初期の3カ月間、および流産に対する社会保障の充実を図る17の措置を議会で提案した。自然に妊娠が終了してしまった場合、病気休暇が自動的に取れる制度などが盛り込まれていた。しかしすべて否決された。

フォルテザ議員は今年3月末にも、流産に対する社会保障を改善するための改正案を提出した。この中に流産した場合の3日間の特別休暇設置が盛り込まれている。「このような出来事が起こること、そしてそれがもたらす喪の悲しみがあることを正式に認めてもらうことが大事です。流産は病気ではありませんが、精神的ダメージがあり回復に時間がかかります。女性にとっても、パートナーにとってもです」と彼女は3月30日付のL'Obs誌のインタビューで語っている

フランス以外では、ニュージーランドがすでにこの問題に取り組んでいる。2021年3月24日以降、流産や死産の場合、3日間の休暇がカップル双方に与えられることになった。同年4月に医学雑誌『ランセット』に掲載された報告書では、1割の女性が流産を経験しているのに「この問題はあまりにも長い間、軽視されてきた」と訴えている。より多くの支援、特に精神的な支援の枠組みが必要だと主張している。

text: Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories