Business with Attitude ファッションで創る、インクルーシブな社会。
Society & Business 2022.10.24
衣食住、そして働くという日々の暮らしを大切にしてきたフィガロジャポンの新プロジェクトBusiness with Attitudeは今年3月、日常の課題を解決し、よりよい明日に繋がるビジネスアイデアを広く一般から募るピッチコンテストを初開催。100件を超える応募が寄せられ、その中からファイナリスト6組を選出した。
暮らしをより美しく、豊かにする6組のアイデアを紹介する。
Professional Award
スタートアップ企業、および起業構想があるすべての女性を対象にした部門。メディア掲載や専門家のサポートを通して、今回のファイナリストのビジネスの成長をサポート。
#01
Contestant|ワイス三枝 ファッションバイヤー
Pitch Title|For Better Life For ALL
1970年、東京都生まれ。自身の出産を機にファッション業界に転職。クリスチャン ルブタンのバイヤーとして働く傍ら、For Better Life For ALLの設立を目指す。
ファッションで創る、インクルーシブな社会。
ファッションバイヤーとして、長年キャリアを積んできたワイス三枝。これまでの知識や経験を生かして、障がい者や病気を患う人でもファッションを楽しめるサポートサービスFor Better Life For ALLの立ち上げを目指している。彼女自身も障がいがある子どもを持つ母親で、乳がんのサバイバー。これまでの人生にさまざまな困難はあったが、周囲の人に支えられ、大好きなファッションの仕事を続けてこられたという。「すべての人にファッションのチョイスがあるべき」と語るワイスが、おしゃれで着心地がよいスタイルをすべての人に提案するこの事業を通して実現したいのは、健常者、障がい者などと区別するのではなく、多様な人が互いの違いを当たり前のように受け入れ合うインクルーシブな社会だ。
>>【ピッチを見る】すべての人がファッションを楽しみ、ベターライフを実現するために。
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ルブタンの社内の人もワイスの活動を応援してくれているという。
Q1. どんな課題に取り組んでいますか?
障がいがある人や病気の人は、自分に合う服がなかなか見つからなかったり、洋服を買いにいくのが困難だったりすることが多い。そんな人に向け、各々に似合い、着心地がよいアイテムを提案するスタイリングサービスを手軽な価格で提供したいと思っています。障がいの程度や症状、着ていくシチュエーションを細かくヒアリングし、障がいがあっても行きやすいアクセシブルなお店に同行し、お出かけしたくなるようなスタイルを提案します。
Q2. ビジネスを始めようと思ったきっかけは?
知的障がいがある自分の子どもが成長すると、身に着けられるアイテムが少なくなっていくと感じてきました。また、私自身も4年前に乳がんを患い、気に入っていた下着や服が着られなくなってしまった。この経験から、洋服で困っている人たちがたくさんいることに気が付きました。ならば、私が仕事で得た知識や経験をもとに、すべての人に、着心地がよく、似合う洋服を提案しよう、とこのビジネスを思いつきました。
Q3. 現在の課題、そしてビジネスを通じて描く未来を教えて下さい。
ビジネスはまだ構想段階。これから周りのファッション関係者やアダプティブウエアを積極的に展開しているブランドに協力を仰ぎつつ、活動を知ってもらうためにPRを進めたいと思っています。障がいがあったり病気になったりすると、日本だとどうしても“特別”と思われがち。そうではなくて、違いやダイバーシティを当たり前に受け入れられる世界を目指して、この活動を推し進めていければと思っています。
障がいがある人へのファッション提案のためお直し教室に通い、知識習得にも励んでいる。
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋