アラン・ミクリタリアン、自身のブランドに復活。最新コレクションも!【仕事が私にくれたもの】
Society & Business 2025.09.11
年齢とキャリアを重ねても進化、挑戦していきたい。
アラン・ミクリタリアン/Alain Miklitarian
アランミクリ デザイナー 1955年、フランス生まれ。眼鏡に携わる家に生まれ、幼い頃からアイウエアに興味を持つ。パリの専門学校で眼鏡について学び、ブランドを設立。ファッション性も備えたデザインで注目を集める。
1978年にパリで生まれたブランド、アランミクリは"見るため、そして見られるためのアイウエア"をコンセプトに、オリジナリティあふれるコレクションを発表してきた。フランスの眼鏡技師でありデザイナーであるアラン・ミクリタリアンはこの数年ブランドを離れていたが、現在はデザイナーとして復帰。再びものづくりを牽引する立場に。
「10年前の僕は仕事に情熱を持てなくなっていたんだ。もう戻ることはないと思ったけど、少し前に縁があってデザイナーとして再び活動することになった。現役復帰は僕の人生において幸せなサプライズだったけど、仕事はハードだからどうして僕は復帰することを承諾してしまったのか?と思うこともあるね」と笑う。でもアイウエアの業界はとても特別で、素晴らしいと語る。
「アイウエアはとてもパーソナルなものだから、通りを行き交う人々が着想源になることも多いな。かける人が快適で、自信が持てて、さらに自己表現ができるものを作っていきたい」
長時間かけても快適に過ごせるように、素材選びから鼻パッドやテンプルまで細かい配慮が。
アイウエアデザイナーとして長いキャリアを持つ彼だが、いまでもものづくりの難しさに直面することがあるとか。
「僕は過去のやり方だけにとらわれず、新しい技術や革新を積極的に取り入れていきたい。そのためにはさまざまな段階で困難や問題を解決しなくてはならないんだ。自分のスキルや年齢を重ねて得た知見を生かして、新しい技術やプロセスを生み出していくことにも注力している」
常に前を向いている彼が今夏発表した新作が、新しい色合いを正確に配置した「バイオピックコレクション」だ。
フレームのデザインが均一になった新作「バイオピックコレクション」は模様を正確に配置して立体感を演出。アイウエア(上)¥98,230、(右)¥114,400、(左)¥79,200/以上アランミクリ(ルックスオティカジャパン カスタマーサービス)
「フレームの模様を完全に操作することは難しく、どれも唯一無二のものだった。それはそれで素晴らしいのだけれど、僕が描いたとおりの模様に仕上げたいとずっと思っていたんだ。今回5層のアセテートを重ねた加工に挑戦することでそれが可能になった。重ねることで模様をコントロールした頑丈なフレームにやっと辿り着いたんだ! 僕は技術の進化とともにまだまだ成長したいし、もっとアイウエアの職人としての熟練の技も向上させていきたいね」
*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami photography: Midori Yamashita