仕事が私にくれたもの:チャールズ・レオン ショーメの新CEO、チャールズ・レオンが語るメゾンのこれから。
Culture 2024.08.28
ショーメらしい控えめなデザインは、
クワイエットラグジュアリーを体現する。
「顧客のオーダー内容からやり取りの記録など、ショーメには1780年のメゾン設立以来の資料が豊富に残っています。それらは生きた文化遺産として、ショーメのスタイルがどのように進化してきたかを理解するのにもとても役立ちます」と語るのは、ショーメのCEOチャールズ・レオン。2024年1月に就任し、パリの老舗メゾンの舵取りを担っている。
「アーカイブを見ても240年以上にわたって大切にしていることは、卓越性と伝統の継承なのだとわかります。そして、いまでもその起源に忠実であることもショーメの強い個性です。我々は職人技を守りながら品質が高く、非常に抑えめなスタイルを重要視しています」
その高い品位を兼ね備えた控えめなスタイルは、トレンドが継続しているクワイエットラグジュアリーに通じるものがある。
「ショーメは、昔から世界各国の王族たちの宝飾品を手がけてきました。今年はパリ五輪のメダルも製作します。それはメゾンのものづくりやノウハウをリスペクトしてくれているからこそ任せてもらえること。私は責任を持ってこのメゾンを次世代に伝えていかなくてはいけないのです」
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レオンは、香港の大学とパリのビジネススクールで学び、卒業後にカルティエにてジュエリー業界でのキャリアをスタート。その後、06年にショーメに入社し、中国市場を中心にアジア太平洋地域のビジネスを牽引してきた。さらに18年からは、フランスのジュエリーブランド、フレッドのCEOも務め、現在も兼任中だ。
「フレッドに専任中、外から見るショーメはまだまだ可能性があるメゾンだと思っていました。伝統だけではなく、パリらしいテイスト、そしてエレガンスなど、日本の顧客が求めるものを我々は持っている。『ショーメ=王室のティアラと結婚指輪』というイメージを変えていけたら」
アジアとヨーロッパに精通しているレオンだからこそ、ショーメに新風を吹き込んでいくはずだ。
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*「フィガロジャポン」2024年8月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami