タサキと歩んで10年、メラニー・ジョージャコプロスによる新作ジュエリー。【仕事が私にくれたもの】
Society & Business 2025.09.13
いつだって、思考を動かしていることが大切。
メラニー・ジョージャコプロス/Melanie Georgacopoulos
M/G タサキ デザイナー ギリシャ生まれ。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後ジュエリーデザインの道へ。現在はドイツで家族と暮らしつつ、ロンドンのオフィスで働く2拠点生活を送っている。
ロンドンを拠点に自らのジュエリーブランドを手がける傍ら、2012年からM/G タサキのデザイナーに就任したメラニー・ジョージャコプロス。着任から10年強、挑戦の連続だったと振り返る。
「いつも私たちがまだやってないことは何だろう?と考えています。リスクを恐れず、革新的であろうとするタサキのようなパートナーに恵まれたことは、私にとって大きなギフト。彼らの創意工夫と高い職人技があるからこそ、私のアイデアが形になるのです」とメラニー。今年9月に発表される新作でも斬新なデザインを披露している。「ディスクパール」では、フェミニンなSAKURA ゴールドのディスクと上品なパールをミックスしたクリーンで幾何学的なジュエリーを展開。
上品なSAKURA ゴールドはメラニーのお気に入り。「ディスクパール」イヤリング(SAKURAゴールド×南洋真珠 白蝶×ダイヤモンド)¥1,540,000/タサキ
「パールが浮いている?ディスクの後ろに隠れている?など、視点により変化する曖昧さと独特の立体感が魅力です。一見ミニマムだけど、実は非常に複雑な構造で、その絶妙なバランスも私好み。見た目はシンプルでも驚きや発見があるものを作りたい。それは本当に熟練の技を持つ職人でなければ叶いません」と語る。タサキとの関係は、自身のブランドの仕事にも良い影響を与えている。
スクエア型のゴールドとパールを合わせたモダンなデザイン。左から「スクエアリーフ」ブレスレット(YG×淡水真珠)¥770,000、同 ブローチ(YG×淡水真珠)¥308,000/以上タサキ
「ふたつのブランドをデザインするからこそ、私の思考は常に動いている。さらにタサキは日本、自分のブランドはヨーロッパ。そのふたつの感覚が溶け合うことも重要だと思う」
真珠という素材もまだまだ可能性を秘めているとも。特に真珠を生み出す貝そのものに注目している。
「サステナビリティの観点からも真珠の貝殻を素材としてジュエリーデザインに生かすことはとても自然な流れだと思います。真珠はいまも昔も社会的、環境的に価値のある宝石のひとつだと私は信じているから」
*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami photography: ⒸTasaki