日本と西洋の様式美を同時に残しながら、時代を超えて客人たちをもてなし続けてきた、クラシックホテルの息遣いを感じて。
タイルの大階段を上ると、重厚な本館ロビーが広がっている。横浜市の歴史的建造物にも指定されたこの空間に立つと、たくさんの物語を感じずにはいられない。photo: Hotel New Grand
100年前の横浜港には、世界各国から訪れる外国人客のためのホテルが軒を連ねていたという。かつて横浜のシンボルと謳われた「グランドホテル」(1873年創業)もそのひとつで、関東大震災後に横浜市の支援を受け、「ホテルニューグランド」として新たに開業した。
本館ロビーの石柱や漆喰の装飾、神殿のような厳かさを残す宴会場、歴代の著名人がカクテルのグラスを傾けた「バーシーガーディアンⅡ」……。日本の細密さと西洋のエッセンスに満ちた空間は、迎賓館としての風格にあふれている。戦中の混乱や戦後のGHQによる接収をくぐりぬけ、今年で90周年を迎えるホテルには、数え切れない物語が残されている。
ダグラス・マッカーサーが執務室として使った部屋「マッカーサーズスイート」や、初代料理長が考案した「シーフードドリア」、GHQ接収時代に誕生した「スパゲッティ ナポリタン」など、美しい遺産のひとつ一つを、ぜひとも体験してほしい。
ヨーロピアンエレガンスを基調とした、タワーの客室。17Fに位置する「プルミエスイートダブル」からは、横浜の美しいハーバービューが楽しめる。photo:Hotel New Grand
横浜らしい落ち着いたエリアに位置するホテルニューグランド。横浜港から山下公園を挟んで佇む本館は、まるでポストカードのような美しさ。
本館1階のコーヒーハウス「ザ・カフェ」の看板メニューのひとつ、「スパゲッティ ナポリタン」(¥1,944)は、米兵たちが食べていたものにアレンジを加えて生まれた逸品。photo:Hotel New Grand
INFORMATION
Hotel New Grandホテルニューグランド
横浜市中区山下町10 全238室 本館グランドツイン¥49,896〜、プルミエスイートダブル¥130,680〜など(ともに1室2名利用時の1室料金)
045・681・1841
元町・中華街駅(みなとみらい線)
コーヒーハウス「ザ・カフェ」:10時~21時L.O. 年中無休 ※ほかのレストラン&バーの営業時間はウェブサイトでご確認を
AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA
photos: MAYUKO EBINA, réalisation: MIKI SUKA
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