Finding Bold Colors of Life 阿部好世のNY日記 #03 街歩きの魅力とブックフェア。
Travel 2018.11.14
「フィガロジャポン」でもおなじみ、プティローブノアーのデザイナー阿部好世が、創作活動のためにニューヨークへ。1カ月にわたる滞在で出合ったものや風景、感じたことを写真と文章で綴ります。3回目は、街歩きで見つけた景色や感じたこと、そして足を延ばして訪れた「NY ART BOOK FAIR」について。
3rd week
街中でときどき見つける、シュールな一瞬を収集したくなる。
いくつかの「行きたいところリスト」をアップデートしながら、気が向くままに街中パトロールができることは幸せです。どんな街にも「エリア特有の雰囲気」が存在しますが、それを作り上げる要素とは、そこにある建物や人の感じがエネルギーになって伝心する、目に見えない五感の結果なんだな、とニューヨークの街を歩きながら感じます。
マンハッタン島の面積は、東京の山手線の内側がすっぽり入る広さとのこと。そう思うとマンハッタンの密集率は非常に濃いなぁとあらためて気付きます。数ブロック歩くだけですぐに街の雰囲気が切り替わるので、それだけさまざまな国とカルチャーが混沌と混ざり合って色濃く共存するということなのでしょうね。
街角の雰囲気が少し動いただけで変わるぶん、自分にとってのお気に入りスポットも見つけやすいのです。
ダウンタウンにあるギャラリー・ペロタン(Galerie Perrotin)に展示されている、クリスタルが埋め込まれているダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)の作品を観て、思わず2月のアリゾナの旅を思い出しました。
ダウンタウン、ローワーイースト、ソーホー、チャイナタウンのエリアは、昔、毎日出勤していたエリアだったこともあって、やっぱり歩きやすい。チェルシーとミートパッキングエリアはちょっと落ち着いていて、やっぱり可愛い人に出会う率が高くてポイントが高い、などなど、自分メモを作りながら記憶を更新しています。
自分メモといえばグーグルマップへの情報追加を一生懸命やっています。とても使いやすいので、行った場所や行きたい場所はすべてグーグルマップにマーク。お店の営業時間から、時間帯で見るそのお店の混み具合まで有効情報が満載でとっても便利です。ネット社会が進んでいるなぁ、と思わずにはいられないオススメ街歩き用ツールです。
「NY ART BOOK FAIR」エントランス入口の様子。MoMA PS1(http://momaps1.org)が期間中、ブックフェアの会場に。
滞在中にちょうど会期が重なっていた「NY ART BOOK FAIR」にも足を延ばしてみました。2009年からクイーンズにあるMoMA PS1で行われていたことは知っていたものの、実際に会場に行ってみたのは今回が初めて。30カ国370の出店者から成り立つ会場は、世界でいちばん大きなアートブックフェアとのことで、一般解放の初日オープン時間からたくさんの人で賑わっていました。ここでしか買えないアーティストブックを買えたらよかったのですが、うまく見つけることができず……ふと目に止まった素敵なヨゼフ・アルバース(Josef Albers)とアニ・アルバース(Anni Albers)、それぞれの本、中身を見たらとてもよい内容だったのでお嫁にいただいてきました。新書でしたが定価よりちょっぴりお値ごろになっていたのは、ブックフェア価格ということのようです。
セントラルパークをCiti Bikeというレンタルバイクで1周3時間かけて(休みながら)のサイクリングも気持ちよかった。季節は秋に移り変わっています。
インターネットでいろいろな情報に出合うことができても、実際に歩いて得られる情報に対してはやっぱり五感が働いて、吸収が違うものですね。意外な作品を観られた時の気持ちの揺らめきや、素敵な本を見つけたうれしさや、緑の中を自転車で走り続ける気持ちよさ。充実の散策タイムをこれからも心の隙間に持ち続けたいです。

petite robe noireのクリスマスギフト。
今年もpetite robe noireから、クリスマスアイテムが登場。人気のアクセサリーを厳選したギフトボックスや1920年代のヴィンテージパーツをあしらったスウェットやサコッシュなどスペシャルなアイテムがラインナップ。大切な人への贈り物を選びに、ぜひ訪れて。
『Gift For You』
期間:2018年11月21日(水)〜27日(火)
会場:伊勢丹新宿店本館3F/リ・スタイル
東京都新宿区新宿3-14-1
Tel. 03-3352-1111(大代表)
営)10:30〜20:00
1999年渡米。2005年WEBショップpetiterobenoire.comを立ち上げる。09年に自身のブランドpetite robe noireをスタート。「古いものと新しいものをつなぐ」というコンセプトのもと日本の職人技術を活かしたものづくりを行う。これまでに吉田カバンやロベール・クレジュリー、シチズンなど、ものづくりの姿勢に共感できるブランドとコラボレーションを行っている。19年3月には、フランスのMAISON BOINETとのコラボレーションアイテムをリリース予定。
www.petiterobenoire.com
http://yo-shi-yo.com
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photos et texte : YOSHIYO ABE