進化する国際都市、ドバイへの旅。#07 ドバイの路地へ、ローカルの味を求めて。

Travel 2019.10.21

世界中の最先端の料理を味わえるのが、国際都市ドバイの魅力。でも訪れたからにはやはり、ローカルの食事も気になるところ。古い街並みが残るエリアでいただくアラブ料理や、ドバイの人口の約75%を占める南アジアの人々のソウルフード、そして思い出とともに持ち帰りたいお土産など、ドバイならではの味を求めて、街を散策しよう。

歴史的エリアでいただく、アラブ流の朝食。

アラビアン・ティー・ハウス Arabian Tea House

19世紀半ば頃のエミラティ(UAEの人々)の文化をいまに伝えるアル・ファヒディ歴史地区。その入り口に佇む「アラビアン・ティー・ハウス」は、1997年にオープンした、伝統的なアラビア料理をモダンなスタイルで提供するカフェレストランだ。

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「アラビアン・ティー・ハウス」はこのエリアのオアシスのような存在。旅行者やローカルで連日賑わっている。

強い日差しと天井の植物が織りなす木漏れ日のアーチをくぐると、ターコイズブルーのベンチやラタンの椅子、刺繍が施されたクッション、咲き乱れる花々……異国情緒あふれるロマンティックな空間が中庭に設えられている。

世界を旅してさまざまな食文化にインスパイアされた経験を持つ、エミラティのオーナーが提供する料理のなかでも、ぜひ試したいのがブレックファストメニュー。フムスやファラフェルなど、中東料理として広く知られる料理に、卵料理や「dango」と呼ばれる茹でたヒヨコ豆など、ドバイの人々が日常的に食べてきたメニューも加えられている。オーナーのママのレシピに基づいているというだけあり、どれも素朴な優しい味付けで、毎日でも食べたくなるおいしさ。窯で焼き上げられるアラビックブレッドに挟んで、多彩な味をゆっくりと味わうのがおすすめだ。

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スクランブルエッグやキプロスから伝わったハルーミチーズ、中東のミックススパイス「ザーター(za'atar)」、中東のヨーグルト「ラブネ(labneh)」、バラのジャム、ミックスオリーブなどで構成される「Arabic Breakfast Tray」68AED。焼きたてのアラビックブレッドと一緒に。

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こちらはフムスやファラフェル、ナスとミートソースで作る「ムサカ」、茹でたヒヨコ豆「dango」などの「Arabian Tea House Special Breakfast」68AED。ドバイでポピュラーなドリンクのひとつ、ミントレモネードもこのお店ではとびきりフレッシュで爽やか。

急速に発展を遂げたドバイにおいて、旅行者はもちろん、伝統的な暮らしを知らない若い世代にも、その豊かな文化を伝えるさまざまな施設が集まるアル・ファヒディ歴史地区。このエリアを散策する際には、「アラビアン・ティー・ハウス」で味覚のタイムトリップも体験したい。

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笑顔でポーズしてくれた店員さんたち。制服も店の色合いにマッチしていて素敵。

Arabian Tea House
Al Fahidi Street, Bur Dubai, Dubai, UAE
Tel. +971 4-353-5071
営)7:30〜22:00
無休
https://arabianteahouse.net

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この街に暮らす人々の、ソウルフードを味わう。

アラビアン・アドベンチャー
「ウォーキング・ストリートフード・ツアー・オブ・ドバイ」
Arabian Adventures "Walking Street Food Tour of Dubai"

ドバイでは、インドやパキスタンなど南アジアをはじめとする、ドバイ以外にオリジンを持つ人々が人口の約8割を占めている。そんな彼らの食文化にもスポットを当てるのが、アラビアン・アドベンチャー社が主催する「ウォーキング・ストリートフード・ツアー・オブ・ドバイ」。庶民にずっと愛されてきたストリートフードの魅力を体感できるプログラムだ。

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「Al Mallah」の看板メニューのひとつ、「Al Mallah Special」Sサイズ14UAE、Mサイズ16UAE、Lサイズ18UAE。水で戻したナッツの食感がアクセントに。「Al Mallah」ではフレッシュジュースのメニューが充実。なお、このツアーでの飲食代はすべてツアー料金に含まれている。

まず訪れたのは、レバノン料理の老舗「Al Mallah」。ここでいただいたのはものすごく甘そうなフルーツカクテル。見た目に反してそこまで甘くなく、意外とさっぱりしていて飲みやすい。お酒を飲む習慣のないイスラム教の街ドバイでは、こんなカラフルなドリンクを、伝統衣装カンドゥーラを纏ったエミラティの男性たちが楽しんでいる光景にもよく出合う。

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店内でファラフェルを揚げる店員さんたち。出来立てを頬張ると外側はサクサク、ヒヨコ豆の甘味とふわっと香るスパイスが口中に広がり、とってもおいしい!

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普段着の街の光景を眺めつつ歩く。道中、ツアーガイドがさまざまなエピソードを教えてくれる。今回訪れたのはダウンタウンに近いアル・サトワ(Al Satwa)地区。南アジア、なかでもフィリピンの人々が多く住み、商店と住居がひしめくように立ち並ぶ。

次に立ち寄ったのは「Rauf Sweets」。見るからに甘そうなお菓子がショーウィンドーにずらりと並ぶが、店内ではカレーやビリヤニなどの食事もいただける。サモサにヒヨコ豆のカレーとヨーグルト、タマネギ、トマトなどをのせた「Samossa Chat」は、身体に染みわたる滋味深いおいしさ。“ヒドゥン・ジェムズ(hidden gems=隠された宝石)”という表現があるけれど、まさにそんな一品に出合えたようで感激もひとしお。

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「Samossa Chat」はサモサ2個入りで7AED。ぶっきらぼうな佇まいに反してホッとするおいしさ。チリパウダーを利かせた辛い味と、辛さを抑えたマイルドな味からチョイスできる。ドバイの物価を考えるとこの安さも魅力。

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お菓子屋さんにしか見えない店構えだが、店内で絶品インド料理を味わえる。

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このツアーでは、ドライフルーツの量り売りの店や香水の店など、街の特徴的なスポットに立ち寄って試食したり、話を聞いたりすることもできる。途中でサフラン入りチャイの店を見つけたら、一服しながら街を観察するのもいい。一般的に知られるゴージャスなイメージとは違ったドバイの一面を肌で感じられるのも、このツアーの醍醐味。

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ドライフルーツやお菓子を売る店では、アラブの伝統食であるデーツだけでも、たくさんの種類が並ぶ。

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国際都市のご多分にもれず、街のあちこちにグラフィティアートが。エミラティをモチーフにした、クリーンなイメージのものが多い印象。

最後に訪れたパキスタン料理のレストラン「Ravi Palace Restaurant」は、朝食からディナーまで提供するカジュアルな人気店。内装も食器も気取らない、リラックスした雰囲気の中で、ローカルに混じってカレーやグリル料理を楽しめる。

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「Ravi Palace Restaurant」はグリーンと白の外観が目印。地元の家族連れから観光客まで、幅広い客層に支持される。

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カレーのように見える料理はパキスタンの街ペシャワールの名にちなみ“ペシャワリ(peshawari)”と呼ばれる。鶏肉入りの「Chicken Peshawari」20AED(手前)とレンズ豆を煮込んだ「Daal/Lentils」6AED(中)はナンと一緒に。奥は鶏肉のピラフ「Chicken Biryani」14AED

今回紹介した料理はほんの一部。このツアーに参加するうえでいちばん大事なことは、しっかりお腹をすかせておくこと! 五感をフルに使って、ローカルフード体験を満喫したい。

Arabian Adventures "Walking Street Food Tour of Dubai"
料金:1名390AED
開催時期:10月1日〜4月30日
*英語ツアーは金・日曜の午後、日本語ツアーは金曜の午後に開催。
所要時間:約3.5時間
問い合わせ先(日本語対応):land@vacation-ota.co.jp
www.arabian-adventures.com

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地元っ子気分で、お買い物&お土産探し。

ドバイの食事情をさらに身近に感じたい人には、スーパーマーケットを散策するのもおすすめ。モール・オブ・ジ・エミレーツなどいくつかの商業施設に入っているフランス発のスーパー、カルフール(Carrefour)では、レストランのメニューでは見かけないような中東のお菓子やお惣菜、チーズなど、家庭で日常的に食べられている料理や食材に出合える。

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目移りしてしまうほど種類が豊富なアラビア菓子。左からふたつ目の「shoaybeyat」(3.10AED)は、クリスピーな生地の中にカスタードクリームを包んだペストリー。左端の揚げ餃子のような形のものは「katayef walnut」(2.60AED)。katayefはパンケーキ生地でクリームやナッツを挟んだ、ラマダン(断食月)中に食されるお菓子で、こちらはクルミ入り。

スパイスやドライフルーツの量り売りコーナーもあり、見ているだけでも楽しい。アラブ流のおもてなしであるアラビックコーヒーとデーツに魅せられたなら、カルダモン入りコーヒー豆や量り売りのデーツをお土産にしてみては?

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スパイス・スークで気になるスパイスがあったけど買いそびれてしまった、という場合にも、ここではゆっくり吟味できる。

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ドバイ各地にある中東の高級スーパーマーケット、スピニーズ(Spinneys)もチェックしてみよう。ドバイで販売される食材は基本的にイスラムの教えで許されている“ハラル”フードだが、外国人居住者向けに豚肉を販売するコーナーが隔離されて設けられているのもドバイならでは。ローカルブランドのミントレモネードなど、フルーツジュースを朝食用に買って、地元っ子気分を味わうのも楽しい。

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こちらは世界最大規模のドバイ・モールに隣接するエキゾティックな商業施設、スーク・アル・バハール内のスピニーズ。

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アルコール飲料が選択肢にないためか、ドバイではフルーツジュースやフレーバーティーの種類がとにかく豊富。

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お土産選びで外せないのは、レバノンで生まれた高級チョコレートブランド、パッチ(Patchi)と、王室ご用達のデーツ菓子バティール(Bateel)だろう。どちらもドバイ・モールをはじめ主要なショッピングセンターに入っているので、ぜひ近くの店舗に立ち寄ってみたい。

パッチはチョコレートの味が秀逸なのはもちろん、そのラッピングのバリエーションの豊富さに目を奪われる。美しい包装紙にハンドクラフトのフラワーが施されていたり、ラマダンやクリスマス、バレンタインなど季節ごとの工夫を凝らしたギフトが用意されていたり……お土産にしたら、きっと贈った人の笑顔がこぼれるはず。

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パッチは中東を中心に、21カ国にショップを展開。

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バティールではサウジアラビアの自社農園で育てられた何種類ものデーツをはじめ、デーツにナッツやオレンジピールを挟んだもの、チョコレートでコーティングした商品などが人気。デーツのドリンクやデーツ入りバルサミコ酢などもラインナップ。カフェを併設した店舗もあり、ブランドの世界観を味わってみたい人におすすめだ。

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デーツはビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富な伝統食。バティールでは“ツリー・トゥー・テーブル”を掲げ、栽培から商品開発、販売まで手がけている。

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キャラメルコーティングしたピーカンナッツやピスタチオ、オレンジピールなどを挟んだデーツは、柔らかく優しい甘味と香ばしさ、食感のコントラストがやみつきになるおいしさ。デーツ自体もいくつかの種類を揃え、味わいの違いを楽しめる。1粒単位で購入でき、自由な組み合わせで詰め合わせてもらえる。試食もできるので、店員さんに気軽に尋ねてみよう。

アル・ファヒディ歴史地区や世界一の高層ビル、バージュ・カリファ、ビーチ沿いのエンターテインメント施設ラ・メールなど、ドバイの多くの注目スポットへは、ドバイ国際空港から地下鉄で約30分、車で15分〜20分ほどで行くことができる。トランジットの数時間や短い滞在期間であっても街に出れば、世界のどの場所とも違う、ドバイならではの壮大なスケール感とエネルギーを感じられるはず。ぜひ次の旅計画の参考にしてみて!

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#01 ドバイのいまと昔が交錯する、噂の新スポットを訪ねて。
#02 エキゾティックな旧市街で、ドバイの歴史散策。
#03 いま訪れたい、ドバイの最旬スポット。〈前編〉
#04 いま訪れたい、ドバイの最旬スポット。〈後編〉
#05 砂漠に囲まれた、ドバイの世界一高いビルから見えるもの。
#06 世界のグルメ最前線に触れる、ドバイの食の祭典へ!

【基本情報】
※1AED(UAEディルハム)=約29円(2019年10月現在)
※ドバイの休日は金曜と土曜です。日曜から1週間がスタートします。
※掲載店の営業時間、定休日、商品の価格などは取材時と異なる場合もあります。ご了承ください。

●取材協力:ドバイ政府観光・商務局
www.visitdubai.com
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