ウイルスと闘う世界のいま。#01 ミラノから、「Andrà Tutto Bene(すべてうまく行くよ)!」

Travel 2020.03.25

文・写真/坂本きよえ(在ミラノジャーナリスト)

イタリアの全土閉鎖が始まって約2週間。まだまだ新型コロナウイルス感染者は減らず、1週間ごとに法律が厳しくなっていきます。

2月21日にミラノ郊外で最初の感染者が見つかり、ミラノ・ファッションウィーク会期中はいくつかのショーが中止に。2月25日から学校が閉鎖され、3月11日には全国的に外出禁止になりました。ただこの時点では、外出時に書類を持っていれば公園でスポーツなどしてもよかった。まだ工事現場や会社に通っている人はいたし、マスクを着けていない人もたくさんいました。

商店や会社は3月22日から通常通りオープンするはずだったけれど、感染者が減らないため、4月15日まで延長。公園も閉鎖されジョギングも禁止になりました。違反した場合は最大5000ユーロの罰金。「外出範囲は200メートル以内」など厳しい法律を作った州もあります。

それでも増え続ける感染者。3月24日現在、6万3000人強の感染者に6077人の死者。なぜこんなに増えるのか私にもわからない。

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誰もいない静かな町。

今回のこの事件が起きて、やはりイタリア人が好きだと思いました。友人たちは回覧板でみんなの無事を確認したり、電話をしてきたり、SMSでバルコニーからのフラッシュモブを送ってきてくれたり。助け合いの精神で元気づけてくれます。

その反面、この人のよさ、人情深さが新型コロナウイルスを拡散してしまったようにも思います。ヨーロッパの人は着け慣れていないためマスクにとても抵抗があり、ハグやバッチョ(キス)ができないもの息苦しいよう。そしてそもそも、マスクが足りない。老人がこのウイルスをあまり理解できていないと思うシーンに何度も遭遇したので、それも感染者が増えた原因のように思います。

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スーパーは3メートル離れて並ぶ。

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自分が置かれた環境や日本の友人に感謝することも多いです。毎日連絡をくれる友人、食事に不便はない?食べ物を送りますよと言ってくれる友人や親戚。伴侶とこんな時でも笑い合えること、健康でいられること、おいしい物が食べられること、毎日ベッドで安眠できることに感謝して毎日を過ごしています。

トレンド予測家であるリー・エデルコートの『コロナ後の世界』を読み、賛同したことがあります。それは、「これが人間の価値や環境を大切にする契機になれば、不幸中の幸いだと思っています」という部分。いま私たちは一度立ち止まり、そして世界がよい方向に向かうといいな〜と思う今日この頃。

ポジティブなイタリア人はよく、「Andrà Tutto Bene(すべてうまく行くよ)!」と言います。いつかこの新型コロナウイルス騒ぎが終わり、仲のよい友人といつものようにわいわい食事ができる日がくるといいなと思います。

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生きている間にこんな経験をするとは考えてもいませんでした。みなさんもまるで、夢(悪夢)を見ているように生活していることでしょう。あと2週間もしたら、おかしくなってしまう人もいるかと。みなさまもどうか健康に気をつけてお過ごしくださいませ。

ミラノ市民はこの息苦しい生活のなかでも日常を失わないようにしていますが、そろそろ限界がきそうな気もします。

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レジの担当者は2枚重ねのマスク。

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マスクがない人は、、、

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texte et photos : KIYOE SAKAMOTO, title photo : alamy/amanaimages

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