上質な睡眠と、腸活の深い関わりとは?

Beauty 2022.01.19

桐村里紗

日々をパワフルに生き抜くために、日常の中でもっとも大切な習慣、睡眠。
前回は、光環境やライフスタイルからの睡眠ルーティンについてお伝えしました。今日は、睡眠ホルモン、メラトニンを十分に分泌するために、必須の腸活についてお話ししましょう。

腸と心は、密接に関連しています。腸内細菌と腸と脳は、ネットワークを作り、相互に連携しています。腸内環境が悪いと、うつ病などのメンタルの不調に陥りやすかったり、ストレスに弱くなったりします。腸の乱れは心の乱れ、心の乱れは腸の乱れです。

睡眠ホルモン、メラトニンは、脳内でセロトニンから合成されます。セロトニンは、気分を安定させる神経伝達物質で、不足すると気力がなくなって、抑うつ状態になります。
この脳でのセロトニンの合成に、腸が関わっています。

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photo: iStock

セロトニンの原料は、アミノ酸のトリプトファンです。タンパク質を含む豆や魚、肉などを食べていれば、特に不足することはありません。そのトリプトファンが、腸内細菌によってセロトニンの原料に変わります。これが脳に入り、セロトニンに変わり、メラトニンが合成されます。
この反応には、ビタミンB群と鉄、マグネシウムなどのミネラルが不可欠です。
特に、ビタミンB群は、腸内でビフィズス菌などの有用菌によって作られています。
腸内でビフィズス菌などの有用菌が活躍できないと、この反応がうまくいきません。だから、腸内環境を改善する腸活が睡眠にも大切です。

セロトニンの合成には、鉄も必須です。生理がある女性は、鉄が不足しがちですが、腸内環境が悪いと悪玉菌が鉄を奪ってしまい、体内が鉄不足になります。鉄を十分に吸収できるようにするためにも、腸活が役立ちます。

セロトニンからメラトニンを合成するのに必要な、マグネシウムを補うのにおすすめなのは、前回、入浴の際にお勧めしたエプソムソルト(硫酸マグネシウム)です。不足しがちなマグネシウムを経皮吸収できます。私もエプソムソルトをお風呂に入れるようになってから睡眠の質が上がりました。

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腸内環境を改善する方法は、有用菌を取り入れるプロバイオティクスと腸内の有用菌のエサになるプレバイオティクスを合わせて摂ることです。
プロバイオティクスの中でも、脳に作用し、メンタルや性格、認知機能などに作用する有用菌を「サイコバイオティクス」と いいます。サプリメント先進国のアメリカでは、スーパーやドラッグストアに、気分やストレスに効くサイコバイオティクスサプリメントが並んでいます。
日本でもおなじみの植物性乳酸菌ラクトバチルス・ガセリには、慢性的なストレスにさらされた人の睡眠の質が改善されたという報告も。

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photo: iStock

腸内の有用菌を元気にするには、ベジをたっぷり食べましょう。野菜や海藻、豆、きのこ、芋や雑穀をいろいろと組み合わせて食べることで、腸内の多様な菌が元気になってダイバーシティ(多様性)が高まります。ダイバーシティは、腸内においても社会においてもとても大切。
ダイバーシティを高めるプラネタリーヘルスなベジライフは、睡眠にも最適なのです。

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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