生命のリズムを取り戻す、自然の中でのリトリート。

Beauty 2023.04.25

桐村里紗

心地よい環境の中に身を置けば、私たちの心身も健康になる。
当たり前のことに感じますが、ヘルスケアを考える時、環境のことって意外に抜け落ちていませんか?
食事、運動、睡眠がもちろん大事ですが、身の周りを整えることも忘れるわけにはいきません。

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photo: iStock

私たちは、環境の中に生きています。
日々呼吸をして、生きるために何かを食べている限り、必ず周囲の環境からのものを体内に取り込んで、自分の命を養っています。
目や耳、皮膚、口、鼻から入るモノや情報は、全て私たちの中に取り込まれて、私たちの身体や心を形作っていきます。
日常生活を送る中で、心や身体に不調を覚えたら、もちろん食事や運動、睡眠を見直すことは大事なのですが、いまいる環境をポンと変えることが最も効果的だったりします。

だから、リトリートをおすすめしたいのです。

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リトリートとは、都会の喧騒や日々のストレスから離れ、自然の中に身を置き、静かな環境で自分を整えたり、見つめ直したりする滞在型のプログラムのことです。
自然に囲まれて過ごす中で、自分と環境が一体であるという感覚を取り戻すことができます。

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photo: iStock

心を整えるためのヨガや瞑想、ヒーリング、マインドフルネスなどに加えて、食事も重要。
オーガニックな食材を使ったプラントベースメニューや体質に応じたオーダーメイドのメニューなど、リトリートで提供される食事は、健康的で栄養価が高く、環境にも配慮したものが多い傾向があります。

私が提案しているプラネタリーヘルスは、人と地球は一体であるという考え方に基づいていますが、なかなか都会の生活ではその実感は持てません。
でも、リトリートを体験すると、その感覚がすんなりと身体で分かります。

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太陽の運行とともに暮らすことは、普段は難しく感じられます。
建物の中、昼夜問わず蛍光灯の灯りの下にいると、自然環境との一体感なんて皆無。
地球の時間と自分の時間がずれてしまいます。

前回ご紹介した奄美群島の徳之島への滞在前、私は忙しすぎて生活が乱れて不眠気味になっていましたが、島のゆったりしたリズムに身を委ねると、ひさしぶりに熟睡。
夜はカーテンを閉めずに寝ました。
朝、ベッドルームに太陽が差し込むと、自然に瞼が明るくなって少しずつ目が覚めます。
朝日を浴びながらヨガプログラムに参加し、波の音を聞きながら身体を動かすことで、すっかりバイオリズムを取り戻すことができました。

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photo: iStock

一度、日常を離れて大自然の中で地球のリズムを感じてみると、自分もそのリズムで生きることが心地よいと体感できます。
こうした当たり前の感覚を取り戻すことで、硬くなっていた心身が解放され、再び躍動しはじめます。
心身が窮屈だなと思ったら、いまの環境を離れて、リトリートへ出かけてみませんか?

text: Lisa Kirimura

桐村里紗

医師 / tenrai株式会社 CEO
臨床現場において、最新の分子栄養療法や腸内フローラなどを基にした予防医療、生活習慣病から終末期医療、女性外来まで幅広く診療経験を積む。食や農業、環境問題への洞察を基にした人と地球全体の健康を実現する「プラネタリーヘルス」や女性特有の悩みを解決する「フェムケア」など、ヘルスケアを通した社会課題解決を目指し、さまざまなメディアで発信、プロダクト監修などを行なっている。また、東京大学工学系研究科道徳感情数理工学・光吉俊特任准教授による社会課題を解決する数式「四則和算」の社会実装により人と社会のOSをアップデートすることを掲げたUZWAを運営。現在は、東京と鳥取県米子市の2拠点生活を送り、土と向き合う生活を送っている。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」には腸内環境評論家として出演するなどメディアでも活躍し、新著『腸と森の「土」を育てる 微生物が健康にする人と環境』(光文社新書)が話題。
https://tenrai.co/

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