新しいミス ディオールの香りへ、 俳優ナタリー・ポートマンからメッセージ。
Beauty 2024.04.21
凛とした美しさと知性あふれる存在感で輝き続ける俳優、ナタリー・ポートマン。ミューズを務めるミス ディオールの香りの世界を体現する彼女が、香りについて、女性の生き方について、家族について、独占インタビューで語ってくれた。
Natalie Portman
1981年6月9日生まれ。『レオン』(94年)で映画デビュー。『ブラック・スワン』(2010年)で米国アカデミー賞主演女優賞受賞。トッド・ヘインズ監督の注目作『May December(原題)』が24年公開予定。プロデューサー業のほか、社会活動家としての側面を持つ知性派として知られる。2児の母。
世界中を魅了した子役の時代から、いまなお変わらないみずみずしさと一層の輝きを放ち続ける俳優ナタリー・ポートマン。強い信念を持ち、凛と生きる彼女に接していると、「いまがいちばん美しい」は永遠に更新し続けられる、と勇気づけられる。ナタリーの美しさの秘密、そしてパワフルに生きる原動力とは?
「情熱的に活力に満ちた生き方をしたいといつも思っています。感情を高らかに表現したり、愛を全身であふれさせることができる人でありたい。童心にかえって大笑いをしたり、人間らしくある瞬間を大事にしています。そして、新しい役柄に挑戦することや、行ったことのない土地へ行ってみること......。一歩踏み出す勇気や冒険心も持ち続けたいと思っています」
愛を謳歌し自由に表現する――ナタリーが語る言葉はまさに"ミス ディオール"のスピリットと重なる。1947年に誕生した"ミス ディオール"もまた、時代とともにイメージを更新し続けてきた愛と自由を賛美する香りだ。
「新しいミス ディオール パルファンは、"ミス ディオール"がいままでと違うステージへ進む象徴的な香りだと感じました。これまでのイメージをいい意味で裏切るマチュアさが印象的。ジャスミンのフローラル感に圧倒される美しい香りです」
時代を捉えた香りを創作したのは、2021年にディオール パフューム クリエイション ディレクターに就任したフランシス・クルジャン。彼と会った時の感想をナタリーはこのように語ってくれた。
「彼は詩人のよう。香りのことを知り尽くしていて、香りにまつわるエモーションを言語化する天才。五感のなかでも嗅覚は無意識化で働く感覚で、言葉にするのが難しいと思うのですが、クルジャン氏は香りそのものを説明する言葉を紡ぐことができる。香りに関する特別な才能の持ち主だと思うわ」
よりフルーティに、より濃密に。"ミス ディオール" の新章を予感させるミス ディオールパルファンは、甘みのあるふっくらとした輪郭を持つリッチな香り立ちが魅力。「濃密でいて主張しすぎず、自信をもたらしてくれる。新しい女性らしさを発見できるような香り」とナタリーも表現。核となるジャスミンに潜むストロベリーやアプリコットのフルーティさの虜になる、モダンなシプレーノート。ボトルに施された千鳥格子のデザインや、ジャカード織りのリボンも特別な装いだ。ミスディオール パルファン 35ml ¥13,200、50ml ¥18,040、80ml ¥23,110(店舗限定発売)/パルファン・クリスチャン・ディオール
現代を映し出す香りとの出会い。
ーいまの時代を映し出すミス ディオール パルファンの香りの第一印象を教えてください。
ジャスミンが香り立つ美しさに圧倒的されました。20代にモロッコやチュニジアで多くの時間を過ごした私にとって、ジャスミンは思い出の花。花々の香りが漂う風を感じながら幸せな気持ちになれる、特別なフローラルです。
ー美しい花々が生まれる場所として、南フランスもキーワードです。南仏はムッシュ ディオールにゆかりの深い場所で、ナタリーさんもカンヌ国際映画祭を含め何度も訪れていますが、この地に対してどのような思いを抱かれていますか?
南仏グラースにある農園を訪れた時は、そこに立っているだけで空気に花の香りが漂っているのがとても印象的でした。何度も訪れていますが、南仏に降り注ぐ光はロマンティックで特別だといつも感じます。
ーイメージフィルムで纏われたマリア・グラツィア・キウリのドレスが素敵でした。
まるでひとつのアート作品のような美しいドレスで、身に着けることができて光栄です。いままではフローラなイメージのドレスが多かったので、ブラックのドレスを着るのが楽しく新鮮でした。これまでとは違う"ミス ディオール"の魅力を表現したドレスだと思います。
デニム姿で明るく笑うナタリー。マリア・グラツィア・キウリのコレクションは、デニムも大切な素材。
Makeup: カプチュール トータル ヒアルショット、ディオールスキン フォーエヴァー グロウ ヴェール、ディオールスキン フォーエヴァー フルイド グロウ 2N、ディオールショウ オン セット ブロウ ウォータープルーフ 03、ディオールショウ サンク クルール 559、ディオールショウ 24H スティロ ウォータープルーフ 091、マスカラ ディオールショウ アイコニック オーバーカール 090、ディオールスキン ルージュ ブラッシュ100、ルージュ ディオール 000、ディオール ヴェルニ 108
ー"ミス ディオール"は、第二次世界大戦中に生きたムッシュの妹、カトリーヌと深く結びついています。
カトリーヌは美しく勇敢、"正義"の女性で、レジスタンス活動家でもありました。現代を生きる私たちも彼女のように、間違ったメインストリームと戦う勇気を持っていたい、と強くインスパイアしてくれる女性です。
ーディオールは、グラースの花農家の支援など、美しいものづくりをしながら社会貢献にも熱心なメゾンです。
環境への配慮ももちろんですが、女性の活躍を積極的にサポートするメゾンの姿勢を誇らしく感じています。マリア・グラツィアはまさに象徴的な存在で、女性アーティストやアトリエで働く女性たち、農園の生産者など、さまざまな立場の女性を支援していて、本当に尊敬しています。
ー社会における女性のエンパワーメントについて、現在思うことはありますか?
女性の立場は、昔に比べて向上したと思いますし、そのことについて語られる機会も増えたことは大きな前進だと思います。ですが、真のエンパワーメントまではまだ道のりは長いとも感じています。
ー『レディ・イン・ザ・レイク』では、俳優業とプロデューサー業の両方を務めました。どちらが楽しいと感じますか?
『レディ・イン・ザ・レイク』は私と仲間の会社がAppleTV+のために製作したシリーズで、米メリーランド州ボルチモアを舞台にした社会派ドラマです。女性監督のアルマ・ハレルも素晴らしかったです。プロデューサーとして、こうして才能あふれるスタッフや俳優、思い入れのある原作を世に送り出すことは大きな喜びです。俳優として役が来るのを待っているのとはまた違って、タスクも多く大変ですが、やりがいを感じます。でも時折、シンプルに演じる女優業に集中したいと思うこともあります。トッド・ヘインズ監督の最新作『May December(原題)』では、純粋に俳優として楽しみながら演じました。
マリア・グラツィア・キウリがデザインしたドレスを纏ったナタリー。
ーパンデミック後、日常が戻りましたが、どこかへ旅に出かけましたか? 昨年インタビューした時は、日本にも行きたい、とおっしゃっていましたね。
昨年はフィンランドに行きました。残念ながら曇っていてオーロラを見ることはできなかったけど......。日本への旅も叶えたい。昨年お話しした長野県の地獄谷温泉につかるサルは、いまも見に行きたいと思っているわ!
ー娘さんと花のある生活を楽しんでいるとか。
娘は花が大好きで、外で摘んでブーケを作ってきてくれたりするの。私も花は大好きで、ジャスミン、ピオニー、チュベローズ、オレンジブロッサム......それにローズ。家に花は欠かせないわ。
ーあなたが調香師ならどんな香りを創りますか?
ジャスミンがピュアに香るシングルノート。
ー以前インタビューで、初めての香水は『レオン』で共演したジャン・レノから贈られたものだと語っていました。ナタリーさんご自身も、香水をギフトで贈ることはありますか?
友人の娘さんに"ミス ディオール"をプレゼントすると、刺繍のリボンが可愛いので、とても喜ばれます。
いままで明るい地のドレスが多かったミス ディオールのイメージ。今回は黒地に小花を、フランス式ガーデンのように花の種類を分けて刺繍を施した。制作に400時間を費やした逸品。
>>次のページ
香りの創造者フランシス・クルジャンが語る、
新ミス ディオールの誕生秘話。
*「フィガロジャポン」2024年6月号より抜粋
【合わせて読みたい】
新作フレグランス「ニュールック」は、クリスチャン・ディオールの創造へのオマージュ。
「香りとは心に届くお守り」と語る山下智久、ディオールの新フレグランスへの想いとは?
フランシス・クルジャンが手がける新生ジャドール ロー、輝く花のブーケ。
「ミス ディオール」にオマージュを捧げた、ディオール24-25年秋冬コレクション。
photography: Felix Cooper for Christian Dior Parfums text: Naho Sasaki