「地中海式ダイエット」が乳がんに効果的?
Beauty 2018.06.18
山口華恵
よりよく生きるためには、クレタ島に住む人々のような食事がよいって本当? これまでの研究で、地中海料理を日常的に取り入れる食事療法(地中海式ダイエット)が脳の健康と長寿に効果的で、心臓病のリスクを下げるということはわかっていたが、今回オランダで行われた最新研究では、「地中海式ダイエット」が乳がんの中で最も深刻なタイプ(ホルモン受容体陰性のがん)に効果があることがわかったという。
乳がん全体の60〜70%を占めるのはホルモン受容性陽性のがんである。ホルモン受容体をもつ乳がんは女性ホルモンをエサとして増殖するため、ホルモン療法が推奨される。一方、ホルモン受容体を持たない陰性の乳がんはホルモン療法の効果がないとされ、悪性度が高い。
世界がん研究基金のために実施された今回の研究は「International Journal of Cancer」誌の3月5日に掲載された。55歳から69歳までの女性6万人以上を対象に食生活習慣の調査を20年間にわたって行った。研究者たちは「地中海式ダイエット」では控えるべき食材(赤肉・砂糖・パンや白米などの精製穀物)の消費量と乳がんの関連性について調査した。
リスクを40%削減
今回の研究の責任者であるマーストリヒト大学(オランダ)のピート・ヴァン・デン・ブラント教授はこう述べる。
「閉経後の女性(地中海地域の出身でない女性も含む)を対象に行った実験で、地中海式ダイエットを行うことにより、ホルモン受容体陰性の乳がんのリスクが減少するということがわかりました。ホルモン受容体陰性の乳がんは大変まれで、ほかのがんに比べて生存率が低いとされています。しかし、今回の研究で、野菜・魚・オリーブオイルを豊富に摂取した参加者は、このタイプのがんを発症するリスクが40%低いことがわかりました」
ナッツ類・果物・魚に注目
参加者の食生活を個別に分析した結果、ナッツ類・果物・魚の消費量が、この病理学的リスクの減少に関連する主な要因であると研究者らは結論付けた。「地中海式ダイエット」を行えば、ホルモン受容体陰性の乳がんの発生を32%減少させることができるという。2013年に「New England Journal of Medicine」誌に掲載されたスペインの研究によれば、地中海式の食事を日常的に取り入れると、心臓疾患(心筋梗塞・脳卒中・心臓突然死)のリスクが30%近く減少すると証明されている。「地中海式ダイエット」の効果が大変高いことがわかる。健康を維持するために、「地中海式ダイエット」に着目してみてはいかがだろう。
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texte : Sevin Rey(madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi
山口華恵
翻訳、ライター