100年美容で、ウェルエイジング。 美しさの寿命も延ばすために始めること。

Beauty 2020.01.04

 人間は老化をどう受け入れるのか? これは、100年時代をこれから生き抜く全人類のテーマだろう。元気に自立した生活が送れる「健康寿命」をいかに延ばせるか、が社会的・経済的課題になっているけれど、女性にとってはもうひとつ大きな命題がある。それは「美しさの寿命」も同時に延ばすこと。「健康」という土台の上に「美しさ」はあるのだから当たり前、と思われそうだが、こと女性に関してふたつは相関関係。たとえば、疾患や痛みがあって歩くことがままならなければ、外へ出なくなり、見た目を構わなくなる。健康が失われると美が失われる、という現象だ。逆もまたしかり。日々のお手入れ不足で実年齢以上に見た目が老けてしまうと、自信喪失に繋がり、外出が億劫になる。しだいに頭も身体も動かなくなってくる……実際こうした高齢者の女性は多いという。気持ちは若いのに外見は実年齢以上。このギャップは女性にとって辛いものだ。だから、健康×美容×社会との繋がり、この3つのバランスがウェルエイジングのためには絶対必要。

 そこで、健康と美容の両方に関わる部位――自律神経筋肉と骨。さらに見た目年齢を左右する髪と肌に着目。

 まず、“第二の脳”といわれる腸は、生きるために最も重要な消化と吸収を担う臓器だ。免疫物質やホルモンをつくる体内の要でもあり、幸せホルモンのセロトニンについてはその約8割を分泌していて、メンタルの幸福感にまで関わっている。しかも女性のがん死亡率1位は大腸がん。腸の健康は、人生100年時代のビッグテーマだ。この腸と関連する自律神経は、頭から爪先まですべての血流や臓器を動かすコントローラー。ここが乱れると心身のバランスがあっという間に崩れてしまう。そして筋肉や骨。寝たきり人口の8割弱は女性! 丈夫な骨と筋量をキープして、怪我なくいつまでも美しい姿勢で歩ける身体でいたい。見た目に大きく関わる髪や肌、歯も、「健康」という視点も持ってケアしていきたいパーツだ。

---fadeinpager---

「私たちは人生50年時代の臓器を持って、人生100年時代に臨もうとしている」と言うのは、とあるアンチエイジング専門家。戦後間もない時代の男女の平均寿命はせいぜい50歳ちょっと。いくら医療の進歩が目覚ましいといえど、この肉体を100年持たせるということは人類史上、前人未到のチャレンジ。私たちはそんな時代に生きているのだ。

 しかも豊かで便利な時代は、“不健康”をも生み出した。「飽食+運動不足=生活習慣病」という方程式が言われるようになって久しいが、これに利便性という要因も加わり、あらゆる「未病」が生まれている。エアコンのつけすぎやブルーライトはサーカディアンリズム(体内時計)を狂わせ、自律神経を乱し、睡眠障害を招くことも。歩くことが少なくなった生活は腸の動きを悪くし、筋肉や骨の弱体化を加速。便利なコンビニ食に含まれる酸化した油や添加物は、腸やホルモンバランスに悪しき影響を与えている。最近話題の糖化も、砂糖や果物が贅沢品だった時代では起こりにくく、飽食の時代だからこそ生まれた問題といわれている。未病の行き着く果ては「病気」。生活習慣病=高脂血症・高血圧・糖尿病など名のある疾病だけを意識するのではなく、病気の芽は日々の生活で摘んでおくことも必要だろう。

 身体を医者任せにせず、自分に合った対処法を見つける知力や情報収集力、つまりヘルスリテラシーもこれからはおおいに重要。老化を遅延させるアンチエイジング医学の研究も進んでいるし、いっぽうで自由診療や未病検査、サプリメントなどの選択肢も増えている。美と健康への知識と意識を常にアップデートし、取捨選択していくべき。

 今回取材した医師のほぼ全員が口を揃えて言っていたのが「適度な運動」「規則正しい食生活」「良質な睡眠」が何よりも大事、ということ。当たり前のことが難しい現代だからこそ、30代40代をいかに丁寧に生きるかが、その後の健康と美しさを決めると言っても過言ではない。そのどちらも一発逆転は通用しないから、いま、すぐ、心を入れ替えて、「100年美容」をスタートしよう。いつまでも外へ出かけて、おいしいものを食べて、おしゃべりを楽しんで、ハッピーに生き抜く準備を! 万全に!

女医が考える、100年美容に大切なこととは?

心身ともに健全で、社会との関わりを持って生きられること
中村格子(Dr.KAKUKOスポーツクリニック 院長)

柔軟性と寛容性を持ち合わせていること
山﨑まいこ(まいこ ホリスティック スキン クリニック 院長)

毛細血管の隅々まで、いかに質の良い血液が行き届いているか
小林暁子(小林メディカルクリニック東京 院長)

生物学的な 年齢と外見に差がないこと
浜中聡子(ウィメンズヘルスクリニック東京 院長)

※『フィガロジャポン』2019年7月号より抜粋

texte : NAHO SASAKI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories