ボローニャ「森の家」暮らし

新しい季節のはじまり。自然を愛で意思を固めた9月。

記録的に乾燥して暑い夏がすぎ、ひと雨ひと雨秋めいてきた。9月中旬、3カ月半の長すぎる夏休みが終わるころには日に焼けて茶色だった庭もすっかり緑色に。

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長女のゆまは中学生になった(イタリアでは小学校は5学年。中学は3学年、高校は5学年)。体育館を挟んで左側が小学校、右側が中学校。中学は7時55分~8時に門が開く。小学校は8時から8 時5分。それでゆまを降ろして、次女みうを降ろし、少し離れた幼稚園に8時15分までに三女のたえを見送る。

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入学式もなければ卒業式もないイタリア。中学入学の初日、校舎の前でみんな集まり、ふたつあるクラス分けの指示に従い、ぞろぞろ入って行っておしまい。日本じゃ初めて制服を着たりお弁当を持って行ったり、親も子もドキドキするものだ。私がドキドキしたことのひとつは、中学校の教科書。小学校までは無料だったけれど中学からは各自が取り寄せる。ここの学校の子たちはみんな町で唯一の文房具屋兼小さな本屋のモニアの店でオーダーする。びっくりしたのは、一年の教科書代が3万円以上すること。教科書によっては次の年も使うというが、家庭によっては本当に難儀な出費だと思う。

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イタリアの中学校は午後1時か2時に終わる。ウィークデーが1時までの学校は土曜日も授業があり、2時まである学校は土曜日が休みなど、学校によってさまざま。ここでは毎日2時まで。休憩は2度あり、お昼は学校が終わってから。ゆまは午後に音楽を専攻したので週2度は4時過ぎまで。小学校、中学校、幼稚園と終わる時間が違うので、ゆまは帰りはスクールバス。

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このスクールバス、朝は7時にうちの前を通る。学校が始まるまで1時間ほどあちこちの村を巡っていく。帰りも同じルートなので、うちは早く降ろしてもらえるけれど、降りるのが最後の子は昼食も当然遅くなる。

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小学校も中学校も休憩中に飲む水と「おやつ」を持参。ボローニャにいたころはおにぎりを持って行く日もあったけれど、今では「恥ずかしい」と、持って行ってくれない。友だちが遊びにきて夕方になるとおにぎりを作ることがあるけれど、その時はみんな喜んで食べるのに。とりあえず毎朝おにぎりは作っていて、夫のパオロには持たせている。建築物の修復をするパオロ、ボローニャ界隈でさまざまな現場が始まり、現場を見て回ったり役所巡りや打ち合わせでお昼を食べる時間がまちまち。それならばとお弁当を持たせるように。おにぎりにはアワや麦などの雑穀と、炒って擦った麻の実など入れて、一口でたくさんの品目が食べられるようにしている。ちなみに学校に持たせる「おやつ」は野菜スティックや果物、ナッツやフムスサンドなど。お弁当はパスタ、キッシュ、ニョッキなど。

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朝摂っているサプリメント。ビタミンD、C、K 12、亜鉛、セラニウム、植物性オメガ3、マグネシウム、スピルリナ。みうはDとK12以外は食べたがらないけれど、たえはビタミンC以外は喜んで飲みたがる。これから太陽光に当たる時間が少なくなるので、少なくともDとCは北半球に住むみんなに摂るようおすすめしたい。また必須アミノ酸をすべて含む藻類のスピルリナは、免疫力を高め、抗酸化作用も高い。さらに有害重金属のデトックス作用も知られている。これも欠かせない。さらに先月作ったエルダーベリーシロップ。ちょっと風邪気味かな、という子にはこのシロップも。

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古くから家や人、動物を守る魔法を持つ木としてヨーロッパ各地で愛されてきたニワトコ。毎年の初夏にはマスカットのような甘い香りの花で爽やかなシロップを作っている。今年は初めてこの実でシロップを作ってみた。

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熟した実をカゴいっぱい集めて、茎と実を分ける(茎や熟していない実には毒がある) 。

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これをひたひたの水で煮詰めて漉して、冷めたらハチミツを加えて出来上がり。

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ハチミツの成分を壊さないようにその後加熱はしないので、保存は冷蔵庫や冷凍庫。

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抗炎症、鎮痛、粘液の浄化などさまざまな作用があり、インフルエンザ予防や症状の緩和にも効果があると知られている。ドイツやベルギーの友だちは子どもの頃から摂っていたと聞いていて、今年こそ作ろうと思っていた。

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スプーンでシロップを飲ませるときは、いつもメリーポピンズの映画を思い出す。いろんな味の魔法のシロップの美味しそうなことと言ったら。うちのシロップにもきっとエルダーベリーの妖精の魔法があるよと言っている。

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夏の間に森から毎晩やってくる動物の被害によって、散々だった畑。倒されたボラジの下からは、2世代目の若いボラジが生えてきていた。7月にグリーンハウスに植えたポロ葱も外に植え替え。

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零下にならなければ収穫し続けられるボラジ。こんな肉厚な葉っぱを毎日少しずつ摘められれば嬉しい。

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去年の秋に仕込んだコンポスト。ホットコンポスト方式で、窒素が多い緑の材料(草、ロバの糞、コーヒーのカスも)、炭素が多い茶色のもの(枯れ草、ダンボール、ウッドチップなど)を重ね合わせて水をかけ、数日に一度ひっくり返し、空気を循環させることで一カ月強で堆肥になるというものだった。(詳しくは2020年10月の記事に。)ただ、大きめなウッドチップをたくさん使ったので、分解されるには予想より沢山の時間が必要だった。一年経って、下の方は良い感じの堆肥になってきた。ここにいたたくさんのミミズは、モグラやヤマアラシ、ニワトリに食べられてしまったけど、きっとまた戻って来るだろう。この肥沃なコンポストは、ノーディッグガーデニング方式に従って、冬になったら畑の表土に2センチほどまく。畑の追肥は基本的にそれだけ。それにイラクサを発酵させた液を使うくらい。動物の被害がなかったらきっと素晴らしい畑になっていただろうなぁ。

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秋から春にかけてイノシシが来ることもあり、電気柵を準備中。友達の畑では電気柵も突破されたというけれど、お下がりのこのセットで試してみる。

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この柵が設置できたら植えたい野菜の苗をすでに入手した。ケールの一種、トスカーナの黒キャベツ、芽キャベツ、サラダ菜や苦味のあるイタリア野菜、ラディッキオなど。まだ野生動物は来ていないようだけど、ときどきニワトリが入って土を引っ掻き回すので要注意。

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雑草生え放題(といっても食べられる草も多いのと、土は裸にするより草が生えて表土がカバーされているほうがいいので放っておいた)だった畑は、涼しくなってから草むしりして一掃した。気温が下がり日照時間が減ってトマトも赤くならなくなって来たので、みんなまとめてコンポストに。まだコンパートメントを分けたコンポスト小屋を作ってもらえていないので、簡易版を手元にあるもので組み立てた。

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雑草も野菜の端っこもロバの糞も枯葉もみんな土に帰る。そしてミミズや微生物や細菌たちの働きで良い土ができ、美味しい野菜ができるのだ。

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畑で過ごす時間は幸せな時間だ。

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先日近所にあるドナートのブドウ園でブドウの収穫をした。ドナートは、ルドルフ・シュタイナーが提唱したバイオダイナミック農法で畑作りをしていたことがあり(今は自己流)、大抵の自然農法は経験済みなので、たびたびアドバイスをもらっている。電子柵を貸してくれたのもドナート。

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50年ほどのブドウ園、ドナートは5年前から借りていて、自分でワインを作っている。ブドウは主に白で、ピニョレットを中心に、シャルドネやピノ・ビアンコなど4種類、それに生食用のブドウ2種類。ワインは生食用をのぞいてみんなミックスで作る、まさに農家のワイン。

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途中で雨が降って来て、退散。午後には晴れたので、様子を見に戻ったら、もう除梗機で果梗を取り除き、果汁を搾ってあった。

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向こう側は先週収穫したサンジョヴェーゼ。1日2度かき混ぜて発酵させたら、圧搾機にかけて果皮と種を取り除き、樽に詰めて熟成させる。手前は今日収穫した白ブドウ。

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潰したばかりのこのモストは甘いブドウジュース。発酵が始まったら別物なので、収穫した時だけの特別な代物。

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季節ごとにありがたく口にする自然の恵みは、細胞に染み入り大地のエネルギーで満たしてくれ
る。愛と感謝が満ち溢れる。

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帰り際に今朝の雨で収穫しそびれたブドウを沢山くれた。ブドウの葉の木漏れ日にキラキラ光っ
て宝石のよう。

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週末、友だちの家を訪ねたときのこと。ランチの後、庭を通っているトレッキングのルートをひとり思い立って登って行った。標高1000メートルの森の中、落ち葉をザクザク踏みながら歩いて行く。

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標高が高くなるにつれ、落葉樹から常緑樹が増え森の雰囲気は変わる。そして思考も静かになる。苔に覆われた岩や幹の表情にも聖なるものがある感じが強くなるのは、自分の精神状態が変わって来たリフレクションでもあるのだろう。

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トレッキングルートが分岐点に来たところで折り返すことに。陽が当たる丘に誘われて獣道を登って行くと、そこには太陽が。靴を脱いで、枯葉の上にしばらく静かに座っていた。何度か深呼吸して、感謝と祈りを捧げた。

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世界は今、大変なことになっている。オーストラリアではマスク不着用の無抵抗の市民に武装警官が非道な暴力を振るって病院は大怪我をした人たちで溢れている。カナダでは陽性の人たちを「安全に」隔離するための施設が各地に出来ている。(周りには有刺鉄線が廻らされている。) イタリアでは10月15日からすべての労働者に注射済み証明書、あるいは48時間有効の陰性証明書「グリーンパス」が義務付けられると政府は発表した。それを持たない人はレストランやジムなどに入れないということは各国で行われてきたが、このレベルの義務付けはイタリアが初めて。これは違法であり、各地で大規模な反対運動が起こっているが、主要メディアはほとんど報道しない。テレビやラジオでコメントをする医師やセレブリティ、ジャーナリストたちは都合の良いことしか言わないという契約書にサインし、お金を積まれていることはインサイダーの友だちからも聞いている。

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「今、世界は強力で感染力の高い病に犯されている。その名は『恐怖』という。」こんなスピーチを、先日行われた思考と発言の自由を訴えるデモで、ローマ警察県庁副局長が私服で一国民として、心に響くスピーチをした。彼女も引用していたガンジーの言葉。「国家が無法または腐敗した場合、市民的不服従は神聖な義務になる。」この平和的デモをレポートした数少ない新聞の見出しは、caos no vax(ワクチン反対のカオス)だった。ワクチン支持者と反対者を分離させ、混乱のシナリオを作ろうとするメディアの思惑だ。

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今他の国で起きていることは明日には自分が直面することになるかもしれない。今世紀ナチスがユダヤ人に黄色い星を貼ったり、原住民や黒人が差別、虐待を受けたり、気づけば同じようなことが永遠に繰り返されてきた。それでも渦中にいなければ他人事だった。今回の騒動は世界中で起きていて、明日は自分の問題にもなりかねない。視点を変えれば、人類覚醒のチャンスが来たともいえる。

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今、人類は進化の時を迎えている。私たちは生まれた時からプログラミングされ、ほとんどの人が何も問わずに生きて来た。一握りの貧欲で情の無い人たちが、人々に恐怖を与え、憎しみをあおり、宗教、信仰、見た目、政治で分離し、制御、操作、マインドコントロールをして来た。歴史は都合の良いように書き換えられ、操作された情報を押し込むように与えられて来た。人は恐怖やパニックに陥ると、クリティカルシンキング(批判的思考)ができなくなる。そして安全のために、とコントロールシステムに陥るように誘導し、そこから出られないようにされる。「安全のため」と言われたら、疑問を持つのが身のためだ。

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自由は何かと引き換えに手に入れるものでは無い。これをしたら自由を与えよう、というのはコントロールシステムで、この交換条件に乗ったら終わりはない。自由は生まれ持った特権だということ、自分に主権があることを、今こそ思い出す時だ。

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母なる大地に帰る。大地のエネルギーに周波数を合わせると、内なる声が聞こえて来る。ネガティブや保守的な考えが浮かんだら、それはエゴ。「エゴは絶対に運転席に乗せてはいけない。後部席に乗らせて、安心させて、自分が主権をもってドライブする」という誰かの言葉にハッとした。以来、何かあるとエゴを制御し、真の自分の声に従い行動するよう心掛けている。

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繰り返されてきた歴史のパターンを崩すには、愛と同情心、人の気持ちを思いやるエンパシーを持つこと。他人も自分も許し、地球人として団結すること。同じ意識を持つ者同士のコミュニティを作ることも、今とても大切だ。もう周りの誰とも同じ考えを共有できなくなって心細くなっていたという新旧友だちの輪がどんどん大きくなっている。この先まだまだいろいろありそうだけれど、世界中に同志がいると思うと心強い。

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今までの「普通」に疑問を持ったり、主流とは違うことをすること、声をあげることを恐れず、自分の真の声を聞き、主権をもって今を生きようと覚悟した。大袈裟なようだけれど、ここ数週間自分だけでなく社会のエネルギーから危機感のようなものを感じるなか、そう心に決めた。家族だけでなく、未来の子どもたちに、愛に満ちた世界を残せるように。
 

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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