Editor's Blog

オレリー・デュポンさんの言葉。

こんにちは、編集YKです。
数日前に、急遽パリ・オペラ座バレエ団芸術監督、オレリー・デュポン氏の来日記者会見を行うとの連絡が入り、興奮を抑えながら会場へ訪れました。

目の前に現れたデュポンさんを見て吸い込まれそうになりました。美しい……!!
それは、デュポンさんが出演する『ボレロ』初日の前日。今年3月に行われるパリ・オペラ座バレエ団来日公演のお話を中心に、『ボレロ』について、そして彼女自身が初めて任命したふたりのエトワールについて、話は多岐にわたりました。

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2016年8月に芸術監督に就任したデュポンさん。自身のポリシーのひとつとして、ダンサーたちがコンテンポラリー作品に向かって開かれた姿勢であることに留意しているそう。彼女自身、キャリアにおいてコンテンポラリー作品に大きな影響を受けたといいます。「(古典だけでなく)コンテンポラリーに対して開かれているということは、複数の言語を操ることができるようなもの。さまざまなインターナショナルな振付家と仕事をすることはダンサーの成長につながります」。穏やかな口調で話すデュポンさんの知的な雰囲気が、彼女をいっそう美しく見せているように感じました。

パリではもうオペラ座の舞台に立たないデュポンさんが、来日公演の〈グラン・ガラ〉の演目『ダフニスとクロエ』でクロエ役を踊ることも、大きな話題のひとつ。彼女のパートナーとしてダフニスを踊るのは、昨年末にエトワールに任命されたジェルマン・ルーヴェ。「彼にとって、芸術監督と踊ることはストレスでありプレッシャーでしょう」。このエトワール任命時について、そして『ダフニスとクロエ』について、詳しくはぜひ「フィガロジャポン」パリ支局長の連載「パリとバレエとオペラ座と。」をご覧ください!

パリとバレエとオペラ座と。
>>「オペラ座で年に一度開催される昇級コンクール(後編)
そして、ジェルマン・ルーヴェがエトワールに!」

>>「ミルピエの『ダフニスとクロエ』は舞台装置も見どころ。」

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デュポンさんが考える、エトワールとして大切な資質とは、「ダンスの才能に加えて、学ぶ態度、そして知的であること。いますばらしいダンスを踊れるだけではなく、15年後にも同様に観客の前で優れたダンスを披露できるように、知性をもってキャリアを進歩させていけるダンサーであることが、エトワールとして重要です。私がいま夢見ているのは、今回日本のお客様に見ていただく新しい世代のダンサーたちが、10年後にも日本ですばらしい踊りを披露し、ヌレエフの“黄金時代”に匹敵するようなすばらしいダンサーとして輝いていることです」。静かな言葉にはっきりとした目標と、ダンサーたちへの愛情が詰まっているのが伝わってきました。

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そして、この会見翌日から踊る『ボレロ』について尋ねられると、自身にとってこの作品は“cadeaux(贈り物)”だと表現されたのが印象的でした。「踊るためにはモーリス・ベジャール・バレエ団の許可が必要であり、踊ること自体が難しい作品だからです。『ボレロ』は、踊ったことでそれまでのダンスが変わってしまうような、ピナ・バウシュの『春の祭典』を踊ったときと同じようなとても大きなインパクトを自分にもたらした作品です。音楽とともに踊るダンスで、小さな音から始まり、だんだん音楽が激しさを増していきます。最後の瞬間にダンサーはトランス状態と呼べるようなところに導かれていき、自分の身体をコントロールできないような感覚になります。ダンサーというものは身体を完璧にコントロールするために稽古を積み重ね、舞台に立っています。でも『ボレロ』ではまったく逆のことを要求され、それを受け入れていかなければならない。これはアーティストとして非常な成熟をもたらしてくれる経験です。私は、すべてのダンサーがこの感覚を味わうために、一度は『ボレロ』を踊ってほしいと願っています」

真摯で、時折ユーモアを交えながら話すデュポンさんの言葉に惹きつけられたまま会見は終了。そんな彼女が自信をもって率いる精鋭ダンサーによる3月の来日公演、さらに楽しみになりました。

パリ・オペラ座バレエ団『ラ・シルフィード』『グラン・ガラ』
『ラ・シルフィード』3/2~5、『グラン・ガラ』3/9~12
東京文化会館(東京・上野)
全席指定S席¥27,000、A席¥24,000、B席¥21,000、C席¥17,000、D席¥13,000、E席¥9,000

●問い合わせ先:
NBSチケットセンター tel:03-3791-8888
www.nbs.or.jp

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