Editor's Blog

映画『もったいないキッチン』の料理を食べてきました。

映画に出てくる料理がおいしそうで、観終わった後に同じものを食べに行ったり真似して作ったりすること、ありますよね。スタイリスト岡尾美代子さん、フォトグラファー高橋ヨーコさんらによる本『Cinema Table』(アスペクト刊)が愛読書の編集YUKIです。

前回は久しぶりに訪れたコンサートについて書きましたが、今回は久しぶりに訪れた映画館で観た作品を紹介します。おいしそうな料理がたくさん出てくる、そして“食”そのものがテーマのドキュメンタリー『もったいないキッチン』。

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映画監督で食材救出人(フードアクティビスト)のダーヴィド・グロス(写真右)が、旅のパートナーで通訳のニキ(左)とともに、福島から鹿児島まで、4週間で1,600kmもの距離をキッチンカーで旅します。

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訪れる先々で、世界的な課題である食品ロスに向き合う人たちと出会い、救出した食材を使って「もったいないキッチン」を開催。

日本語吹き替え版ではダーヴィドの声を、ナレーションも含め、本作のアンバサダーである俳優の斎藤工さんが務めています。エリック・クー監督による主演作『家族のレシピ』、そして自身の監督作『Life in a Box』での、いまも鮮やかに記憶に残る素敵な料理や食事のシーンから、食材とそれを作る人たちへの深いリスペクトが伝わってきました。『もったいないキッチン』を日本語で届けるのにこれ以上適任な方はいないと感じました。

日本に住んでいるとつい見て見ぬふりをしたり、正面から向き合うのを避けたりしてしまう現場も、ダーヴィドは素直に見つめて疑問を抱き、それを言葉にする。字幕で読むのとはまた違って、日本語の音声となったそれらの言葉は心にすっと浸透し、そして深く突き刺さります。

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そして映画に登場する、廃棄されるはずだった食材から作られる料理がどれも本当においしそうで魅力的。

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そんな『もったいないキッチン』のショップが現在、高輪ゲートウェイ駅前に出現中です。映画の製作・配給を手がけるユナイテッドピープルと、本作のアンバサダーのひとりでもある俳優の伊勢谷友介さん率いるリバース・プロジェクトのコラボレーション。

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この日もものすごく暑かったので……

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まずはビールを1杯いただきました。

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映画に登場する、野生の菌だけでパンとビールを作る鳥取県「タルマーリー」の野生酵母クラフトビール(¥1,000)。ダーヴィドとニキもおいしそうに味わっていたあのビールだと思うと感激もひとしお。都内で飲める場所はごく限られているので、とても貴重です。

映画では、日本の食品ロス量が年間643万トン(平成28年度推計)、それは国連世界食料計画(WFP)による食料援助量の約1.6倍にあたるという衝撃的な事実も明かされます。その量は、国民一人あたりに換算すると、毎日おにぎり1個分(約139g)。これを形にしたのが「139gのおにぎり」(¥300)。

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映画に登場する、鹿児島県で鰹節製造を手がける金七商店の「クラシック節」を使ったおかかマヨが添えられています。注文してからおいしそうな焦げ目を付けて仕上げてもらえるこのおにぎりは、どこか懐かしくてあったかい、感激する味! おかかの“クラシック”の意味はぜひ映画で。

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そして、規格外の果物や野菜を生かした「もったいないベジ&フルーツのかき氷」(¥1,000)。この日は早摘みミカン&緑茶あずき。シロップにも使ったミカンと、ローズマリーをトッピングして見た目も愛らしい。ミカンの甘酸っぱい風味と緑茶の心地よいほろ苦さ、そしてあずきの甘味が絶妙にマッチ! 身体を一気に、心地よくクールダウンさせてくれました。

レシピを手がけるのはフードコーディネーターの高橋結さん。お仕事柄、食品ロスと向き合い、食を大切に考えるからこその素敵なアイデアが生かされています。

このショップを訪れてからは、今日は食材を無駄にしなかっただろうか、と考える時、あの139gのおにぎりの重量感とおいしさが、実感とともに蘇ってきます。

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また最近、我が家で食品ロスの改善を助けてくれる頼もしい存在が、以前ご紹介したコンポスト。その愛用するLFCコンポストを手がける、たいら由以子さん(写真)が代表を務める福岡県のローカルフードサイクリング(LFC)も、映画で訪ねていました。

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猛暑日が続いて、冷蔵庫に入れていた食材や作り置きが、予想より早く痛んでしまうことも。そんな時、これまでは罪悪感に打ちひしがれながらゴミ箱に捨てていましたが、いまではコンポストの微生物たちが文句のひとつも言わずに食べてくれます。そのおかげで、家で過ごす時間が多いとは思えないほどゴミが減りました。しかも生ゴミがほぼないので扱いやすく、これはとってもありがたい、大きな変化です。

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堆肥の熟成と食材の投入を同時進行したかったので、コンポストバッグがふたつに増えましたが、それでも省スペース。

LFCではLINEによる質問も随時受け付けてもらえます。「堆肥に鶏の骨が原型のまま残っていますが大丈夫ですか?」「明太子は入れてもいいですか?」「トウガラシや黒胡椒、シナモンスティックなど刺激の強そうなものは?」といったニッチな質問にも答えてくれます。ちなみに答えは全部○で、骨はそのまま土に入れておくとリンやカルシウムをゆっくりと土に提供してくれるのだそう。狭いベランダにも循環が生まれた感じがしてうれしいものです。

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堆肥を鉢植えに入れてしばらくすると、見たことのない芽が出てきました。これは雑草なのか、自分が投入した野菜か果物の種が芽吹いたのか、しばらく抜かずに観察したいと思います。

観て、味わう『もったいないキッチン』体験、おすすめです。

『もったいないキッチン』
●監督・脚本・出演/ダーヴィド・グロス
●出演/塚本ニキ、井出留美、高橋巧一、青江覚峰、関藤竜也、ソウダルア、天人純、岩元美智彦、ほか
●2020年、日本映画
●95分
●配給/ユナイテッドピープル
●シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中
www.mottainai-kitchen.net
©UNITED PEOPLE
『もったいないキッチン』ショップ
会期:開催中〜9/6(日)
会場:JR高輪ゲートウェイ駅前 Takanawa Gateway Fest「フード&クラフトマーケット」内
営)11時〜20時30分L.O.
会期中無休
※Takanawa Gateway Festへの入場は予約が必要です。
www.takanawa-gateway-fest.com/shop

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