フランスの偉大な音楽家、超ミニサイズに大変身!?
「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」、そして昨秋、紫綬勲章を受章した上野水香さんがモーリス・ベジャールの振り付けで踊った「ボレロ」などを作曲した、フランスの偉大な音楽家、モーリス・ラヴェルをご存知ですか?
今年の読書はじめ、編集TFは、そんなモーリス・ラヴェルを主人公にしたファンタジー小説(!)を読みました。タイトルは『小さなラヴェルの小さな物語』。
『小さなラヴェルの小さな物語』コンガー・ビーズリーJr.著、だいこくかずえ訳、たにこのみ絵(葉っぱの坑夫刊)
アメリカ人作家、コンガー・ビーズリーJr.原作のこの小説は、モーリス・ラヴェルへのオマージュが詰まった作品。ここに登場するモーリス・ラヴェルの最大の特徴は、なんといってもとっても小さいこと。一緒にランチしていた友人のレインコートのポケットの中に落っこちたり、イタチに食べられそうになったりするようなサイズなのです。
この物語では、小さなラヴェルが、女の子の"つば"でできた泡の中に入ってぷかぷかしたり、アメリカかぶれのハトの背に乗ったりしながら、フランスから母の故郷であるスペインの国境近くの街を目指します......と、ここまで書いていて、みなさんの頭の中にきっと「?」がいっぱい浮かんでいると思います。
そんな「?」たっぷりのラヴェルの大活劇を彩ってくれるのが、大阪在住の画家・イラストレーターのたにこのみさんのユニークな挿絵の数々です。
たにこのみ作「辰」。
シュールなんだけど、愛嬌と温かみがある独特の作品を数多く生み出しているたにさん。彼女の作品には想像を180%超えてくる設定があって、解説を聞くたびに思わず「!?」となるんですが、見るととっても元気がもらえます。
小説では、たにさんの挿絵と、小さいラヴェルのぶっ飛んだヨーロッパ冒険譚が見事にマッチ。さらに読書中、モーリス・ラヴェルの音楽をBGMで流せば、いままでとは違った聴こえ方がしてくるから、また不思議。
たにさんが描くモーリス・ラヴェルは、どことなくとぼけたお顔。でもなんとなく実物のラヴェルの「シュッとしてる」感じも出ていて不思議......
旅中、小さなモーリス・ラヴェルを助けてくれるアメリカかぶれのハトのアルトー。テンガロンハットを被りたいけれど、飛ぶと落っこちちゃうので、耳当て付きの帽子をかぶっています。動物が大好きだったというモーリス・ラヴェルの実像に影響を受けた本書には、ハトのほかにもたくさんの動物が登場します。
冒険の途中でラヴェルと出会うカワネズミのイブ。大粒の涙を流す、切ない理由はぜひ本で確認してみて。
そして、この本の原画展が、1月19日〜2月4日、中目黒の古書店「dessin」で開催されることに! カラーの作品も展示されるそうです。
小さなラヴェルと、ラヴェルを乗せてくれたカメのヤンニ。
音楽、小説、そして絵画----優しく、楽しく、美しいアートの力を借りて、本年も健やかに過ごしたいと思う編集TFでした。
会期:2024年1月19日(金)〜2月4日(日)
時間:13:00 - 18:00
会場:dessin | デッサン(東京都目黒区上目黒2-11-1)
入場:無料 *「エアポートラヴェル in TOKYO」は有料
定休日:火曜日
https://dessinweb.jp/hpgen/HPB/entries/167.html
たにこのみ instagram: @konomitani
twitter: @tanikonomi
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