おしゃべりなうつわ

夏野菜にスタメンの芳賀龍一さんのうつわ。

250705_ryuichihaga_utuwa_01.jpg

これは芳賀龍一さんの浅鉢。我が家では枝豆の季節に特にスタメン。

芳賀さんは、栃木県の焼物産地・益子で活動、おもに自分で掘ってきた土(原土)を使い、土の特徴にあわせて作るものを決めていく。原土は、使う人が好みに応じて精製できるため、土本来の素朴な手触りや荒々しさを残しやすい。ここからは私の想像&イメージだけれど、この土が愛おしすぎたがゆえに、ざっくりかたちを与えたくらいのシンプルな状態で(実際の行程はもっと緻密なはず)薪窯に入れたからだろうか、うつわのふちが一部裂けている。その破壊的な力強さとクールなアイスブルーのコントラストがたまらない。

表面にポツポツと見える黒いドットは、土の中の鉄分が表面に現れたものだけれど、私には、チョコミントアイスか、はたまたダルメシアン柄か、最高にモードに見える。ワイルドに波打つ全体のフォルム、「ふちに亀裂入ってるやん!」というワイルドさ、すべてに一目惚れして即決したときの高揚感が、使うたびによみがえるうつわだ。

芳賀さんは「土と釉薬について極限を追究した実験の途中にできたものです〜」とでもいうような「最高の未完成」の作品と、茶碗やぐい呑みのようなうつわ然としたもののどちらも手がける。実験と実践をいったりきたりする過程としてのうつわは、見どころが多く飽きることがありません。

[ある日のうつわ]

250705_ryuichihaga_utuwa_04.jpg

夏の始まりに、まずは枝豆とビール。どっしり安定感があるのでベランダ飲みに使うのも安心。

250705_ryuichihaga_utuwa_05.jpg

パンチのあるアボカドとマッシュルームと葉野菜のサラダが生えるアイスブルー。

250705_ryuichihaga_utuwa_02.jpg

ゴツゴツした土の表情とひび割れがクールでかっこいい。


250705_ryuichihaga_utuwa_03.jpg

作り手:芳賀龍一  @ryuichihaga

購入した年:2019年ごろ

購入場所:AELU GALLERY  @aelu_tokyo

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

ARCHIVE

MONTHLY

夏の暑さへの準備はOK? 涼しいメイク、ひんやりボディケア。
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.