人々の善意がシリア難民の青年を救う、希望の物語。

Culture 2018.01.03

難民の青年を窮地から助ける、アウトサイダーたちの協調。

『希望のかなた』

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石炭運搬船に潜り、青年はフィンランドの首都に流れ着く。ススまみれの身体を駅で洗い、警察から入国管理局へ。元異端児の巨匠はミニマルな表現形式に彼一流のユーモアと哀感を込め、ヨーロッパの難民問題という現在の波頭にぶち当たる。シリア空爆で肉親と家を失い、国境で妹と生き別れた好青年が、難民申請をはばむ官僚組織やネオナチの襲撃によって絶体絶命となるこの世の非情さ。不法滞在者となった彼を雇う店主ら、異端児たちの連携がそこに温かく滲み出す。ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞。

『希望のかなた』
監督・脚本/アキ・カウリスマキ
2017年、フィンランド映画 98分
配給/ユーロスペース
ユーロスペースほか全国にて公開中
http://kibou-film.com

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*「フィガロジャポン」2018年1月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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