10年後も必要とされる人材になるための、5つのルール。

Culture 2018.06.14

世界ではジョブ・ホッピング(転職を繰り返すこと)がビジネスライフの新標準となっている。キャリアを通して市場価値を維持し、10年後も第一線で活躍するためにはどうしたらいいのか。フランスの事情を紹介する。日本はまだ転職が当たり前とはいえないものの、キャリアアップのヒントを見出せるかもしれない。

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キャリアを通して、常に求められる人材になるにはどうすべき? Photo: iStock

1ヵ所に留まっていることが苦手という人はご安心を。米「フォーブス」誌の調査によると、3年に一度職場を変える人はひとつの職場で働き続ける人に比べて、生涯年収が1.5倍多いそうだ。

フランスはまだその段階に達していないが、こうしたことが現実になるのも間近だ。アメリカの労働省によると、アメリカ国民は平均して 4.2 年に一度転職するという。2年前、その数字は 4.6 年に一度だった。この傾向は、ミレニアル世代が大挙して労働市場に参入して以降、さらに加速している。

長い間、不安定の源と見なされてきた転職が、いまや珍しいものではなくなっている。それどころか、競争力の高い企業ほどポジティブなことと受け止めている。「ネットフリックス」の元人事部長で、現在は複数の企業に文化とリーダーシップに関する提案を行っているコンサルタントのパティ・マッコードは、新しく企業にやってきた人材がクリエイティブである理由を3つ挙げている。

ひとつ目は、彼らは“快適領域”の外側にいるから。ふたつ目は、すぐに強いインパクトを与えてやろうという意欲があるから。三つ目は、次に移る前に会社の実績に貢献しようという意識があるから。

自分を査定し、学び、適応する。

ジョブ・ホッピングが当たり前になりつつあるとしても、テクノロジーが加速度的に進歩する世界で、雇用者にとって魅力的であり続けるにはどうしたらいいのだろうか(ほんの10数年前には、スマートフォンもアプリもクラウドも存在していなかったことを忘れてはならない)。『Stretch : How to Future-Proof Yourself for Tomorrow’s Marketplace (明日の労働市場に備えて、未来に通用する自分になるための方法)』の著者、バーバラ・ミスティックによれば、キャリアを通して市場価値を失わずにいるには、常に自分自身を査定し、学び、適応していく姿勢が大切だという。10年後も最前線で活躍する人材であるために、次の5つの法則を肝に命じておこう

1.専門領域の動向を常に把握しておく。

動向を把握するには、なにが最良の情報源かを見分ける必要がある。セミナー、出版物、ウェブサイト……あらゆる媒体をチェックして、最先端かつ最新の情報がどこで得られるのか知っておこう。しかし同時に、他の業界の動向を追うことも重要だ。ある分野での技術革新があなたの業界に大きな影響を与えることもある。たとえば人工知能とマーケティングは、急速に近づいている。

2.使えるスキルかを定期的に点検する。

健康維持のためには定期健診を受ける。車も定期的に車検をしなければならない。新しいテクノロジーに対する私たちの知識や適応能力も、同じように点検すべきではないだろうか? 前述のミスティックは、2~3年先にあなたの専門ジャンルに影響を及ぼす社会変化を想像してみるといいと語る。「あなたがいま活用している能力や知識は、この先も必要なものかどうかを定期的に確認してください」と、ミスティックはクライアントに必ず勧める。じきに消滅する運命にある分野やテクノロジーに関して、これ以上能力や知識を深めるのは非効率的。発展にフォーカスしよう。

3.自分の能力を発展させる方法を見つける。

キャリアにおいて、ある段階に達したらぜひ気をつけたいのが、惰性や自己満足。これは致命的な罠だ。「あなたが業界で活躍する人材であり続けるために、会社がお膳立てをしてくれるわけではありません」とミスティックは断言する。「なによりもあなた自身の努力にかかっています」。そのためにはたとえば、新しい技術の習得や、新しいやり方を発見することが求められるようなプロジェクトを探してみることだ。「あなたの目標を、上司や助言者に相談してみるのもいい」とミスティックは言う。

4.仕事での成長を裏づける証拠を揃えておく。

『Voice of Job Seekers(求職者の声)』の著者、マーク・アンソニー・ダイソンは、ブログでもポッドキャストでもなんでもかまわないから、デジタル空間に発信の場をもつよう勧めている。業界の専門家として自分の考えをアウトプットするためだ。転職時の面接で活かせば、多いに考慮されるポイントとなる。ブログでなくても、セミナーや討論会に参加するのでもいい。要は、自分の声を発信し、存在を示すこと。

5.快適領域からは抜け出す。

相談に来るクライアントに対してミスティックは、自分の成長の妨げになるような思考をしないよう注意を促している。たとえば「自分にはテクノロジーのことはまったくわからない」とか、「何度挑戦してもプログラミング言語が習得できない」といった考えをもたないように。このような固定観念こそ、私たちの成長を妨げる鎖であり、とりわけ快適領域から出られなくしている原因なのだ。テクノロジーは社会の中で少しずつ重要な位置を占めるようになっており、以前にも増してテクノロジーを使いこなすことが重要になってきている。「未来に備えることは、やりたくないことや、やるつもりのなかったことをすることでもあります」とミスティック。恐怖や躊躇で、未来のために学ぶべきことを学ばなくなってしまった瞬間、あなたの人材としての価値は衰え始める。哲学者ジョージ・バークリーの有名な言葉を引用する。「 なにも恐れてはならない。恐れるべきは、恐れそのものである」

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texte:Jean-Sébastien Stehli (madame.lefigaro.fr)

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