斎藤工と板谷由夏が語る、映画とファッションについて。

Culture 2018.10.29

今年も東京国際映画祭(TIFF)が開催中。その一環としてWOWOWで放送中の「斎藤工×板谷由夏 映画工房」公開収録が行われた。番組パーソナリティを務める斎藤工板谷由夏、映画解説者の中井圭らが登壇。その後オールナイトで上映されるファッションドキュメンタリー4作にちなんで、映画とファッションについてのトークを繰り広げた。

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板谷由香(左)と斎藤工(右)。

映画とファッションと関連性の深い映画として、『ブレードランナー』(82年)や『花様年華』(00年)、『マーズ・アタック!』(96年)などのタイトルが挙がると、「北野武監督『Dolls』(02年)とヨウジヤマモトのコラボレーションはありましたが、邦画ではまだあまりそういうイメージがないですね」と斎藤がコメント。

“ファッションと映画”と聞いて個人的に思い浮かぶ作品として、板谷と斎藤は次のように語る。

「 『男と女』(66年)の女性のトレンチコートの着方や、『フラッシュダンス』(83年)では主人公の女の子が肩を出してビッグトレーナーを着ていて、あの 80年代のトレーナーの着方とか。それから、『わたしはロランス』(12年)の衣裳が大好き」(板谷)

「『仁義なき戦い』(73年)など深作欣二映画で、サングラスがすごく未来的だったりするんです。あのサングラスや、『ドライヴ』(11年)のスコーピオンのスカジャンは探しました」(齊藤)

それに関連して斎藤が、自身の監督作『blank13』でもさまざまな過去の作品をスタッフとのやりとりの中で引用したことを明かす。

「お母さんの貧しさを表現するために、『浮雲』(55年)のパッケージを衣裳合わせに持って行き、ヘアメイクさんに、この高峰秀子さんの髪の “ぼわぼわ感”を出せませんか、と伝えたり。それからファッションではないけれど、『浮雲』の中に立ち食い蕎麦のシーンがあって、お蕎麦がすごく長く感じられるんですよ。蕎麦をすするのは日本人的でいいなと思って、長い蕎麦を発注して(笑)、お蕎麦のシーンを自分の作品にも取り入れました」

そして、トーク後に上映される4作品についてもそれぞれコメント。

『クリスチャン・ディオール 華麗なるモードの帝国』

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『クリスチャン・ディオール 華麗なるモードの帝国』
監督/マイケル・ウォルドマン
2017年、イギリス映画

Photo : © Finestripe Productions

「クリスチャン・ディオールという人はもういないのに、いろいろなデザイナーが、ディオールという大帝国を作り上げている。こうして脈々と続くブランドは、ほかになかなかないですよね。ディオールのレースは、すごく綺麗」(板谷)

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

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『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』
監督・製作・脚本・撮影/ライナー・ホルツェマー
2016年、ドイツ・ベルギー映画
配給/アルバトロス・フィルム
©2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE

DVD ¥4,104 アルバトロス・フィルム

「大好き! 90年代からドリス・ヴァン・ノッテンを追いかけている人ってたくさんいるんです。90年代のドリスの勢いがいま復活してきていて、20年前のドリス・ヴァン・ノッテンの服を引き出しから出して着ちゃおうかな、って。このドキュメンタリーを見て、そうだよね!って私、膝を打ちました(笑)」(板谷)

「花を愛する男、と副題にありますが、まさにお花とデザインとファッションの関連性に彼はずっと、ある意味固執して服を作り続けている。職人に見えましたね。僕、昔服屋で働いていたんです。イギリス人のバイヤーがコレクションに連れて行ってくれて、バイイングにもたまに同行して。その店はセレクトショップなので、いろんなブランドの服が届きましたが、ドリスはすごく特徴的で、見ただけですぐに分かる」(斎藤)

『メットガラ ドレスをまとった美術館』

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『メットガラ ドレスをまとった美術館』
監督/アンドリュー・ロッシ
2016年、アメリカ映画
配給/アルバトロス・フィルム
©2016 MB Productions, LLC

DVD ¥4,320 アルバトロス・フィルム

『オーシャンズ8』(18年)の舞台にもなったメットガラは、毎年5月に開催されるファッションの企画展。その前夜祭としてメットガラディナーが行われ、美術館とともにディナーを主催する米「ヴォーグ」編集長アナ・ウィンターが強烈な存在感を発揮している。
「映画人のバズ・ラーマン、ウォン・カーウァイが出ていたり。今日の作品の中ではいちばん映画ファンにとっても、いろいろな裏が見える1本じゃないかなと思います」(斎藤)

『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』

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『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』
監督/マイケル・ロバーツ
2017年、イギリス映画
配給/コムストック・グループ
©HEELS ON FIRE LTD 2017

DVD ¥4,104 バップ

この日、板谷が履いていたのが、マノロ・ブラニクのブルーの光沢が美しい靴だった。
「マノロ・ブラニクの靴は、お迎えがないと履いちゃだめ。素敵なジェントルマンがお迎えに来てくれる、もしくはちゃんと送り迎えの車がある女子が履く靴。かかとがすごく細くて繊細なんです。歩けないけれど(笑)、履くと気持ちが上がって、姫になった気分」(板谷)
「なるほどね。分かる。伝説のフィギュアを手にした少年と一緒だなと。作らないけど、パッケージ込みであるっていうことに意味がある、みたいな」(斎藤)
「でも自分の足をすっと入れるのと、見るだけとはちょっと違うのよ。それは女性の特権だと思う」(板谷)

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当日のドレスコードは“ドット”。トーク後のフォトセッションでは、皆に促されて、背中が開いたデザインのドレスを板谷がくるりと回って客席に見せてくれた。

このトークイベントはWOWOW「斎藤工×板谷由夏 映画工房」11月12日(月)、19日(月)に放送予定。また、当日上映された4作品も、WOWOWにて2019年1月に放送予定だ。

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