フィガロが選ぶ、今月の5冊

大人の女性にこそ読んでほしい、ダークファンタジー。

Culture

記憶喪失の少女が知る真実、ダークファンタジーの傑作。

『カッコーの歌』

フランシス・ハーディング著 児玉敦子訳 東京創元社刊 ¥3,564

「あと七日」、意識を取り戻した時、声が聞こえた。私の名前は「トリス」と言うらしい。記憶を失った少女は、自分を取り戻すための戦いに挑んでいく。妹は彼女を「偽物だ」と言う。切り取られた日記、いつも空腹なのはなぜか……サスペンスフルな語り口に惹き込まれる。コスタ賞の児童文学部門と大賞をダブル受賞した『嘘の木』は、女性に学問が許されなかった時代に、聡明な少女が覚醒する物語だった。英国幻想文学大賞を受賞した本作も、家族という呪縛から解き放たれるまでの成長物語でもある。大人の女性にこそ読んでほしい、ダークファンタジーだ。

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*「フィガロジャポン」2019年5月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/190518-livre-02.html