睡眠不足の身体が発する、8つのSOS。

Culture 2020.03.24

人は1日のほぼ3分の1を眠っているけれど、それでも睡眠不足になることがある。睡眠の質の低下がもたらすさまざまな兆候について、専門家に詳しく解説してもらった。

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あくびはしていなくても、睡眠不足の兆候はほかにもいろいろ。photo : Getty Images

「この1世紀で人間の睡眠時間はかなり短くなりました」と嘆くのは、パリ・アンリ=モンドール病院睡眠専門医のフィリップ・ボーリユだ。フランス公衆衛生局が実施した最新の調査によれば、フランス人の3分の1は1日の睡眠時間が6時間未満。睡眠時間が少なければ、当然、疲労回復の効果も低下する。自分でも気づかないうちに睡眠負債が溜まって、身体に負担をかけている人もいるという。質の良い睡眠が取れているかどうかは、どうしたらわかるのだろうか。『Dormir sans médocs ni tisanes(薬やハーブティに頼らずに眠る)』共著者のフィリップ・ボーリユと、時間生物学者クレール・ルコントの解説を参考にして、身体から送られるSOSのサインを読み取ろう。

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SOSサイン①:なかなかエンジンがかからない

睡眠専門医のボーリユによると、目覚めてすぐに元気いっぱいかどうかの感覚をチェックすると良いという。「普通は眠気が少しぐらい残っていても、すぐに解消します。起きて身体を動かせば、もう眠気は消えているはず」。
そうでないなら、夜ぐっすり眠れていないということ。寝不足の症状は起きるとすぐに感じられるはずだ。「全身の機能が低下します。特に影響を受けるのは運動機能で、歩いたり階段を上ったりすることが普段よりつらく感じられます」と、ルコントは語る。

SOSサイン②:温かいシャワーから出られない

ベッドから出るのがつらい時、気分をすっきりさせるにはシャワーを浴びるのがいちばん。ところが、そう思ってシャワールームへ行くと、温かいシャワーがあまりに気持ちよくて出られなくなるーーこれも睡眠不足のシグナルのひとつ。ルコント曰く、「人間の体内時計は、目が覚めてから身体の中心部の温度が徐々に上昇するにつれて機能し始めます。きちんと睡眠が取れていないと、朝起きた時にこのプロセスの始動に時間がかかり、身体を目覚めさせるために温かいシャワーが必要になるのです」。

SOSサイン③:日中にうとうとする

まだ朝の9時30分だというのに、もうあくびが。「あくびのメカニズムには、退屈や空腹、眠気などの生理状態に対する脳の反応が関係しています」とルコントは言う。食後や会議中以外に、1日に何度もあくびが出る時は、強い疲労感に身体が反応しているということ。これは睡眠専門家たちの間で「日中の過度の眠気」と呼ばれる症状だ。「質の悪い睡眠が続くと、身体的にも精神的にも疲労が溜まります。その結果、日中に眠くなってしまうのです。電車での移動中や、会議や映画の最中など、身体を動かさずにいると眠り込むほど、強い眠気に襲われることもあります」とボーリユは解説する。

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SOSサイン④:脂肪分の多いものや甘いものが食べたくなる

まさにいま甘いお菓子が食べたいとつぶやいているあなた。コーヒータイムにまたチョコレートを1粒つまんでしまうのでは?ボーリユによると「睡眠リズムの乱れは食欲をコントロールするホルモンの分泌に影響を与えます」。
お腹が空いたら、サラダや野菜を食べればいいのだが、残念ながら私たちを誘惑するのはきまって、脂肪と砂糖。「砂糖には注意力を高める効果があります」とルコントは言う。これは砂糖の唯一の利点だが、効果はすぐに消えてしまう。また、砂糖には二型糖尿病などの疾患を誘発する危険性もある。ボーリユは「アメリカの研究では、アメリカ人に肥満が多いのは、バランスの悪い食生活だけでなく、生体リズムの異常も一因であることが証明されています」と加える。

SOSサイン⑤:頭痛がする

「休肝」を実践中のあなた。昨晩もモヒートの代わりに炭酸水を飲んで我慢した。ところが朝起きると、こめかみのすぐ脇で食洗機が鳴り響いているかのように、頭ががんがんする。「睡眠不足の時は、脳の神経やニューロンの活動が活発になるため、不快な頭痛が起きることがあります」とルコントは指摘する。頭痛を和らげるには、暗く静かな場所で10分間休むのがいいという。

SOSサイン⑥:筋肉痛がする

ジョギングしたのはたしか1週間前。なのに、バスに乗るためにちょっと走っただけで、太ももが痛い。「寝ている間は、細胞組織を再生させるために全身が休息モードになります。その際、筋肉の弛緩が不十分だと、前日の筋緊張が翌日まで持ち越されてしまう」とボーリユは言う。また、ルコントによると「不安症の人は、こうした筋肉のこわばりが原因で、無意識にまぶたがピクピク痙攣する眼瞼痙攣が起きることもある」

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SOSサイン⑦:注意力が散漫になる

脳には毎日、数え切れないほど情報が保存される。睡眠中でも脳は活動を停止するどころか、些細な記憶に至るまで、ストックされた情報の選択、分別、整理に大忙し。しかし疲労が蓄積すると、このメカニズムがスムーズに稼働しなくなる。「睡眠障害は集中力に悪影響を及ぼします」とボーリユは指摘する。「集中力が低下すると、いま読んだものや聞いたばかりの話を覚えていないということも起こります」

SOSサイン⑧:イライラする

睡眠中に消化されるのは食べ物だけではない。感情もまた夜間に消化されるという。ルコント曰く、「夢はレム睡眠中に無意識を解放するための重要な安全弁です」。熟睡していない時は、この消化作用が阻害されやすくなる。加えて、「感情の自己制御は、健康状態に左右されます。体調不良の時は感受性が過敏になり、攻撃的になってしまいます」とルコントは言う。

身体からのこうしたサインを感じたら、睡眠の質や生活リズムを見直すチャンスだ。

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texte : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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