未来のオランダ女王のアマリア王女、犯罪組織から脅迫を受ける。

Culture 2022.10.18

ウィレム=アレクサンダー国王の18歳の長女が誘拐や襲撃の脅迫を受けている。これまでも世論を賑わせてきた未来のオランダ君主の肖像。

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オランダのアマリア王女が大学に入学。(アムステルダム、2022年9月5日) photography: Abaca

10月13日、オランダ王室は、王太子であるカタリナ=アマリア王女が、襲撃や誘拐の脅迫を受けたため、厳重な警護下に置かれたことを発表した。18歳の王女は現在、アムステルダム市内から両親の住むハーグのハウステンボス宮殿に戻り、大学に通うときだけ護衛をつけて外出している。脅迫しているのはオランダのモロッコ系麻薬組織のようで、ベルギーの法務大臣ヴァンサン・ヴァン・クイッケンボルネも最近脅迫された。

ウィレム・アレクサンダー国王は、スウェーデン公式訪問中の記者会見で、「本当にとても難しい」状況だと述べた。マクシマ王妃は、大学に入学して政治・心理・法律・経済学(PPLE)を学びはじめたばかりの王女の生活に、脅迫が「大きな影響」を及ぼしていることを語った。「娘は家にいます。つまり、アムステルダムで暮らしておらず、外出もできない。本人にとって非常につらい状況です」と王妃は感情を抑えきれない様子で言った。「これでは学生生活とは言えません」と国王夫妻は付け加えた。

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公立校に通う

オランダのカタリナ=アマリア王女(家族の間では単にアマリアと呼ばれている)は、12月7日に19歳の誕生日を迎える。2003年、ウィレム=アレクサンダー国王とマクシマ王妃の長女として生まれた。妹にアレクシア王女(17歳)とアリアーネ王女(15歳)がいる。2013年4月30日に父親が国王に即位したことで、若い王女はオランダ王位継承順位第1位となり、オラニエ女公の称号を与えられた。

未来の女王であるものの、アマリア王女は普通の少女として育てられた。その証拠に、両親は迷わず彼女をハーグから10キロほど離れた街、ワッセナーにある児童数400名の公立小学校Bloemcampschoolに通わせている。オランダ王家のオラニエ=ナッサウ家としては前代未聞の選択だった。その後、2015年にハーグの私立校Christelijk Gymnasium Sorghvlietに入校。生徒数は730名で、2007年には「オランダの最優秀中等教育機関」に選ばれている名門校だ。当時はなんと自転車通学をし、ピンクのバスケットが前についた自転車で紫の花柄リュックを背負い、学校へ向かう姿が見られた。

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世論を賑わす

月日は流れ、アマリア王女がオランダの新聞ネタになることも増えた。2021年の誕生日には21人招いてパーティーを開き、のちに公に謝罪する羽目に。当時はまだコロナ禍の制限措置が適用されており、13歳以上の人は4名までしかプライベートな集まりに招待してはならないと定められていたのだ。

その前年、2020年10月には国王一家のギリシャ旅行が批判の対象となり、一家は旅行を途中で切り上げた。当時は部分的なロックダウンが行われていたため国民の不満が高まり、国王一家は慌てて宮殿に戻ると謝罪した。

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「女王になる心構えがまだできていない」

2021年11月、王室公認の自伝に載ったアマリア王女のいくつかの発言が物議をかもした。自伝の著者、クラウディア・デブレイに王女は、自分が父ウィレム=アレクサンダー国王の後継者としてまだふさわしくないと感じていること、「女王になる準備ができていない 」ことを告白した。2013年に戴冠した54歳の国王が急死した場合、暫定的に母に王位を継いでもらいたいとも。「父には 『健康的な食生活をしてスポーツを続けてね』と言いました」と茶目っ気まじりに語っている。

自伝ではまた、即位後、オランダ国民が王制廃止の決定をしたらそれを受け入れることも語った。「そうなる可能性もあるし、それでも私の人生は続いていくわ」と王女。本人が歌手に憧れていることとも相まって、オランダ国民は王女の熱意のなさに不安を覚え、ややショックを受けた。

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慣習を覆す

その半年前の2021年6月、アマリア王女は王室の慣習を覆す行動を起こしていた。マルク・ルッテ首相に手紙を書き、18歳になった際に支給される約200万ドルの年間手当の受け取りを辞退したのだ。この手当は彼女が戴冠するまで支払われることになっていた。「2021年12月7日に私は18歳になり、法律に基づいて手当が支給されることになります」と手紙にはある。「しかし、私はこの手当に見合うようなことをしておらず、特にコロナウィルスのパンデミックで、ほかの学生がもっと大変な思いをしている時に、そのような金額を受け取ることには違和感を覚えます」と続いた。

アマリア王女は、「オラニエ女公としての役割」を果たすことで「なんらかの収入を生み出すことに」ならない限り、これまで受け取った40万ドルを返還し、残りの金額も放棄すると付け加えた。これは前例のないことだと当時「ガーディアン」紙は報じている。オランダの王室メンバーが手当の受け取りを辞退したのはこれが初めてのことだった。2012年に発表された調査で、オランダ王室はヨーロッパで最も維持費がかかると指摘されている。アマリア王女の強い意思表示は、ヨーロッパの王族の新しい世代がもっとシンプルで今日的な王制を志向して模索していることに通じるのかもしれない。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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