ドキュメンタリー「ハリー&メーガン」で解決しなかった疑問の数々。

Culture 2022.12.23

息子のアーチーへの差別発言、メーガン夫人が結婚式で着用したティアラをめぐるゴタゴタ、「メグジット」の際の交渉内容など、Netflixドキュメンタリー「ハリー&メーガン」の全話配信後もさまざまな疑問点が残されたままだ。

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ドキュメンタリーは全6話で世界に配信された。photography: PA images/aflo

王室離脱からおおよそ3年経ち、ハリー王子とメーガン夫人は王室との決着をつけるためにドキュメンタリーを制作した。これは12月8日にNetflixで配信開始したが、その内容はみんなが期待していたような(そして王室が恐れていたような)暴露的なものではなかった。

2021年3月、オプラ・ウィンフリーのトーク番組に出演したサセックス公爵夫妻は王室を非難する発言をおこなった。メーガン夫人は、自分が一時期精神的に追い詰められて自殺願望まであったことや、それに対する王室の冷淡さを語った。また夫妻は息子アーチーの出生直前に、生まれてくる子どもの肌の色を心配されたことも暴露した。だから必然的に、Netflixドキュメンタリーではもっとすごい事実が登場するのではないかとみんな思っていた。ところが、メーガン夫人とハリー王子は「ザ・ファーム」の異名をとるバッキンガム宮殿や、攻撃の矢面に立つことになったウィリアム皇太子への批判をくりかえしたものの、王室を揺るがすような発言はなく、これまでの疑問点も未解決のままだ。

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2019年のメーガン夫人の結婚式前に泣いたのはキャサリン皇太子妃とメーガン夫人のどっち?

これは当時のタブロイド紙を賑わした事件のひとつで、ハリー王子とメーガン夫人の結婚式の数日前に、キャサリン皇太子妃とメーガン夫人の間でいさかいが起こったという話だ。この重大な「外交事件」の発端は、ブライズメイドの少女たちが着る服をめぐる意見の対立だったようだ。そしてキャサリン皇太子妃とウィリアム皇太子の娘であるシャーロット王女もブライズメイドのひとりだった。もっと言えば問題はタイツで、2020年5月の英「タトラー」誌によれば、子どもたちにタイツを履かせないことをメーガン夫人が強硬に主張し、キャサリン皇太子妃が泣いたことになっている。一方でメーガン夫人は2021年3月にオプラ・ウィンフリーのトーク番組で、実際は違ったと語っている。「彼女(キャサリン皇太子妃)が泣くような事態になったの?」とオプラ・ウィンフリーがたずねると、メーガン夫人は「いえ、その逆。誰かをおとしめようと言っているわけじゃない。結婚式を控えた大変な時期だった。彼女は何かに怒っていたけれど、自分の非を認めて謝ってくれた」と語った。いったい真相はどこにあるのだろう? Netflixドキュメンタリーの中でサセックス公爵夫妻はこの件に触れていない。ふたりはウィリアム皇太子を何度も批判するが、「完璧なケイト」とイギリス人が呼ぶキャサリン皇太子妃は一切攻撃しない。「彼女は不可侵な存在。とても人気があり、ウィンザー家の中で重要な存在になった。しかもメーガン夫人はフェミニストなので、キャサリン皇太子妃を攻撃するのは得策ではないことに気づいている。誰も女性同士の喧嘩なんか見たくない」と王室ジャーナリストのマーク・ロッシュは分析している。

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メーガン夫人とエリザベス女王の専属ドレッサーとの間に起きたとされる「ティアラ事件」の真相は?

結婚式の準備段階からメーガン夫人とハリー王子の態度は批判されていた。タイムズ紙の記者、バレンタイン・ローの著作『廷臣:王冠の裏に隠された権力(原題:Courtiers: The Hidden Power Behind the Crown)』で紹介されたあるエピソードが最近注目を浴びた。それはメーガン夫人のティアラをめぐる話だった。エリザベス女王は、キャサリン皇太子妃の時と同じように、ハリー王子の婚約者にもティアラを貸すことにした。式の数ヶ月前、メーガン夫人とハリー王子は女王の専属ドレッサーで宝石の管理も任されているアンジェラ・ケリーと一緒に選ぶようにと指示を受けた。問題はアンジェラ・ケリーのスケジュールが、メーガン夫人のスケジュールといつも合わないことだった。ハリー王子はメーガン夫人が歓迎されていない証拠だと怒った。最終的にはエリザベス女王の耳にこの一件が入り、女王は愛する孫に説教をした、と複数の関係者が語っている。

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差別的な発言をしたのは誰?

メーガン夫人はオプラ・ウィンフリーとのインタビューで、息子アーチーの肌の色について「懸念」を表明されたと衝撃的な告白をした。王室メンバーが「赤ちゃんの肌色がどれだけ濃いか」気をもんでいたそうだ。黒人であるドリア・ラグランドを義理の母にもつハリー王子は、誰がそのような「懸念」を表明したか明かさないと宣言した。しかし憶測が飛びかっている。イギリスのマスコミは、エリザベス女王の夫であるフィリップ王配か、アン王女のどちらかではないかと言う。約束通り、ハリー王子の口は固い。意外なことにドキュメンタリーでもこの件は一切触れられなかった。ハリー王子とメーガン夫人は、王室にはびこる構造的な人種差別について語り、(エリザベス女王の遺した)「コモンウェルス」に批判の矛先を向けたが、それ以上踏み込むことはなかった。

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サンドリンガム会議で本当はどんなことが話しあわれたのか?

ドキュメンタリーの第5エピゾードでは、ハリー王子が2020年1月13日にサンドリンガムで父チャールズ国王、兄ウィリアム皇太子およびエリザベス女王との緊急会談をしたときのことを振りかえっている。これは「メグジット」を踏まえてハリー王子の王室内での将来を話し合うための会議だった。非常に緊迫した雰囲気の中、ウィンザー家から厄介者扱いのメーガン夫人抜きでおこなわれた。ドキュメンタリーではリズ・ガーバス監督のカメラの前でサセックス公爵が語る。「会議では5つの選択肢を提示された。1番目は「現状維持」、5番目は「完全に引退」で、自分は3番目の選択肢、「半分ずつ」を選んだ。自分の仕事をするが、女王もサポートするという選択肢だ」。ところが会議はじきに険悪な雰囲気になった。ハリー王子は詳しく述べないが、この会議が「話し合って決める」ためのものではないことは明らかだった。「兄が怒鳴りちらし、父がいいかげんなことを言い、祖母がそれを聞きながらなにも言わずに座っているのは恐ろしい光景だった」とハリー王子は言う。それ以上、ハリー王子もメーガン夫人も語らない。ふたりは王室となんらかの金銭的な取引をしたのだろうか? ウィンザー家はサセックス公爵夫妻を引き留めようとしたのだろうか? いまのところ謎のままだ。いつの日か会議の内容が明らかにされるかどうかは、誰にもわからない。

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ハリー王子は本当にウィリアム皇太子と仲が悪いのか?

数年前から仲が悪かったと言われている。そして、メーガン夫人が王室に入ってから悪くなったと言う人もいる。しかし、兄弟仲が本当に悪いのかどうかは実のところ誰も知らない。確かに、公の場で一緒にいてもふたりが言葉どころか、視線すら交わさない。しかも、Netflixのドキュメンタリーでハリー王子は、兄が自分を裏切り、王室とイギリスのタブロイド紙との「汚いゲーム」に加担したと厳しく非難した。兄が「体制側」の味方をするのを見て「悲しくなった」とも語っている。また、「ハリー&メーガン」の第6エピゾードでのワンシーンも、チャールズ3世の2人の息子同士の仲を物語る。映るのは、2021年3月7日のオプラ・ウィンフリーとのトーク番組を終えた直後のサセックス公爵夫妻だ。ハリー王子がメーガン夫人に携帯電話を渡し、ウィリアム皇太子から送られたテキストメッセージを読むように促す。メーガン夫人はびっくりしたように「ワオ」と言いつつも、怒っている様子はない。一方ハリー王子はショックを受けた様子だ。「どうすりゃいいんだ」とつぶやく夫をメーガン夫人は抱きしめ、何かを決める前に一息ついて、外の空気を吸うようにとアドバイスしている。怒りのメッセージだったのだろうか、和解のオリーブの枝だったのだろうか? ウィリアム皇太子からのメッセージの内容を我々が知ることはおそらく永遠にないだろう。いずれにせよ、兄弟仲は良くないのではないかと思わせることばかりだ。

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サセックス公爵夫妻のこれからは?

メーガン夫人とハリー王子は現在カリフォルニアで、ふたりの子どもアーチーとリリベットに囲まれ、イギリスのタブロイド紙の見出しで胸をえぐられることもなく、とても幸せそうに見える。それにしても、この先、ふたりはどうするのだろう? 「デイリー・メール」紙が指摘するように、王室専門家のなかには、Netflixのドキュメンタリーを最後に、ふたりが王室を攻撃しなくなるだろうと考える人もいる。ハリーの回顧録(1月発売予定の『スペア(原題:Spare)』 )の発売がまだあるとしても。その先、メーガン夫人とハリー王子がどのように暮らしていくかは誰も知らない。もっともメーガン夫人はポッドキャスト「アーキタイプ(Archetypes)」の第2シーズンを録音するかもしれないが、いまのところSpotifyと契約更新の話はまだない。

夫妻はインヴィクタス・ゲーム(ハリー王子が創設した戦争帰還兵、負傷兵、障害者のためのスポーツイベント)に関わりながら、2020年に1億ドルの高額契約を結んだNetflixで新しいドキュメンタリーなどを制作することもできるが、これまた何も発表されていない。今後の発表を待つ......。

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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