立田敦子のカンヌ映画祭2023 #01 マダム・デュ・バリーのコスチューム劇でカンヌ映画祭開幕!

Culture 2023.05.17

第76回カンヌ国際映画祭が5月16日(火)に開幕した。

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カンヌ国際映画祭会場風景。©︎Atsuko Tatsuta

キアラ・マストロヤンニの司会で始まった今年の開会式。アメリカのモダンソウルトリオ、ガブリエルズによる「スタンド・バイ・ミー」のパフォーマンス、審査員長のリューベン・オストルンドの印象的なスピーチ、アカデミー賞主演男優賞を受賞した『ウォール街』(1987年)や『氷の微笑』(92年)、『危険な情事』(87年)などのヒット作で知られるマイケル・ダグラスの名誉パルムドール授賞式が執り行われ、最後にはフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが登場して、ダグラスとともに開会を宣言した。ドヌーヴは、1968年に公開された『別離』の撮影時の写真が今年の映画祭のポスターなどのヴィジュアルに採用されていて、文字通り今年の“顔”だ。

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リューベン・オストルンドはじめ、今年の審査員団。©︎Festival de Cannes

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今年のヴィジュアルに採用されているカトリーヌ・ドヌーヴ。©︎Festival de Cannes

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オープニングナイトを飾ったのは、『パリ警視庁:未成年保護部隊』(2011年)で第64回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞しているフランスのマイウェンが主演、監督する『Jeanne du Barry』。ルイ15世の愛人として知られるデュ・バリー夫人の半生を描いた宮廷劇である。ルイ15世を演じるのは、元妻アンバー・ハードとの泥沼裁判により映画界を離れていたジョニー・デップ。レッドカーペットには多くのファンが詰めかけるなど、3年ぶりの“復帰”は温かく迎えられた。

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マイウェンが主演、監督する『Jeanne du Barry』より。© stephanie branchu /Why Not Productions.

デップ以外にもベンジャミン・ラヴェルヌ、メルヴィル・プポー、ピエール・リシャール、パスカル・グレゴリー、インディア・ヘアら、フランスの実力派が顔を揃えた本作だが、場外ではノイズも聞こえる。先日、マイウェンは撮影時の暴行が報道されたし、アンバー・ハードの支持者たちは、ネット上でいまだにデップに制裁を加えようと映画祭側に働きかけている。“キャンセル”されることなく、華やかな開幕を迎えたが、同日より公開が始まったフランスでの上映にはどんな影響を与えるのだろうか。

コロナ禍でリアル開催中止となった2020年以後、この2年間はさまざまなコロナ対策を講じながら映画祭を開催してきたが、今年はコロナ前の姿に完全に戻ったよう。マスクをしている人の姿はひとりも見られず、パーティも毎夜開催される予定だ。

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夜な夜な上映されるビーチシネマ、シネマ・デ・ラ・プラージュもたくさんの人が集まる。© Atsuko Tatsuta

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参加ジャーナリストの数もコロナ前と同様、約5,000人に。しかしながら、2年前からコロナ対策もあって構築されたオンラインでのスクリーニングチケットの予約システムは、今年もまた初日から「繋がらない」「繋がってもすぐにソールドアウト」という声が聞かれ、不満を訴える人の姿も多く見られた。映画祭中は、それでなくても多忙でストレスフルなので、チケットシステムのバージョンアップを求めたいもの。

今年の審査員団は、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(17年)と『逆転のトライアングル』(22年)で、2作品連続でカンヌの最高賞であるパルムドール受賞という快挙を成し遂げたスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドを筆頭に、2021年に『TITANE/チタン』で女性監督としてふたり目のパルムドールを受賞者となったジュリア・デュクルノー、モロッコ人監督マリヤム・トゥザニ、フランス人俳優ドゥニ・メノーシェ、 アメリカの女優・監督ブリー・ラーソン、アメリカの俳優ポール・ダノ、ザンビア出身の作家・監督ルンガノ・ニョニ、アフガニスタン出身の作家アティク・ラヒミ、アルゼンチンの監督ダミアン・ジフロンからなる。社会風刺に富んだ斬新な作風で知られるオストルンドとそのチームがどんな審査を下すのか、結果は5月27日の閉会式で明らかになる。

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スウェーデンの鬼才リューベン・オストルンド。© Atsuko Tatsuta

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2021年パルムドールを受賞したジュリア・デュクルノー。© Atsuko Tatsuta

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アメリカの俳優ポール・ダノ。© Atsuko Tatsuta

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映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。

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▶︎▶︎【毎日更新】カンヌ映画祭開幕! ジョニー・デップ、女性監督と手を繋ぎ登場。

 

text:Atsuko Tatsuta

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