立田敦子のカンヌ映画祭2023 #02 サンローランの新映画会社、注目の第一作がプレミア!

Culture 2023.05.19

映画祭2日目の5月17日、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの新作『Strange Way of Life』(原題)のプレミア上映とトークイベントが開催された。ラグジュアリーブランド、サンローランのアーティスティック・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロ主導により新しく設立した映画制作会社、サンローラン・プロダクションの第1弾として注目されている本作は、イーサン・ホークとペドロ・パスカルがW主演する31分の短編だ。

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ペドロ・アルモドバル監督『Strange Way of Life』(原題)より。© El Deseo, photo by Iglesias Más.

ジェイク(イーサン・ホーク)は、砂漠を横断して25年ぶりにシルヴァ(ペドロ・パスカル)の元を訪ね、ふたりは昔の絆を取り戻したかに見えたが、翌朝、ジェイクの本当の来訪の目的が明らかになる、というアルモドバル流のクイア・ウエスタンだ。同監督は、本作をアン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』(2005年)へのアンサー・フィルムだと語った。

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公式上映に登場したペドロ・アルモドバル監督やイーサン・ホーク。© Festival de Cannes 

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米国から渡仏したイーサン・ホーク。©︎Festival de Cannes

上映前の舞台挨拶には、米国からこの上映のためだけに渡仏したイーサン・ホークをはじめ、若き日のふたりを演じた新進俳優たちが登壇、ヴァカレロは、客席からその上映を見守った。またカンヌ郊外のヴィラで開催されたパーティには、監督や出演者らセレブリティも顔を見せた。

また、このプロジェクトの作品として、映画祭の後半ではジャン=リュック・ゴダールの短編も上映される予定だ。ファッションが映画やアート、カルチャーなどに与える影響がますます強まる今日。カンヌの常連でクイア監督の第一人者であるアルモドバルに新しい挑戦の世界的な展開にも注目したい。同制作会社では、デヴィッド・クローネンバーグやギャスパー・ノエ、ジム・ジャームッシュなどを1年に2本くらいのペースで発表していくとされている。

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映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。

text: Atsuko Tatsuta

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