メーガン夫人、次なる舞台はファッション界。英国王室の一員となって以来の動向とその狙い。
Celebrity 2025.10.13
メーガン夫人は、いろいろなことに手を出してきた。メンタルヘルスに関するポッドキャスト、Netflixのライフスタイル番組からジャムの販売まで。次のターゲットはファッション業界なのだろうか。
メーガン夫人は何がしたいのか。パリ・ファッションウィーク期間中の2025年10月4日、バレンシアガのショー会場に突然現れ、皆を驚かせた。メーガン夫人がファッション業界に興味を抱いているとは誰も思っていなかったからだ。いったい彼女はどこへ向かっているのだろうか。女優のキャリアを捨ててハリー王子と結婚、イギリス王室の一員となって以来、いろいろ試みるものの、なかなかうまく形にできないでいるようだ。
すべては2017年に始まった。メーガン夫人はチャールズ3世と故ダイアナ妃の次男と婚約し、人気ドラマ「SUITS/スーツ」を7シーズンで降板。2014年5月から運営していたライフスタイルブログ「The Tig」やInstagramアカウントも閉鎖した。結婚式は2018年5月19日におこなわれ、彼女はサセックス公爵夫人となる。ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の義妹であり、義父は当時、まだ皇太子だったチャールズ3世だ。メーガン夫人にはイギリス王室のしきたりとルールを守り、夫とともに公式行事に参加することが求められた。しかしながら称号の重圧にメーガン夫人は精神的に参ってしまった。2020年、ハリー王子とメーガン夫人は今後、王室の活動をおこなわず、経済的に自立することを宣言した。いわゆる"メグジット"爆弾がウィンザー家で炸裂したのだ。夫妻はイギリスを離れて米国、より正確にはカリフォルニア州モンテシートで新たな生活を始めた。
財団の財政難
自由の身となったサセックス公爵夫妻は、自分たちの計画を実現しようと意気込んでいた。まずメーガン夫人は夫とともに、長男アーチー(6歳)の名にちなんで非営利財団「アーチウェル(Archewell)」を設立した。財団のウェブサイトによれば設立理念は「善を成す」と極めてシンプル。この財団は慈善活動の基盤となるはずだった。
だが財団はじきに批判を浴び、イメージダウンする。そこそも構想自体がおおざっぱすぎた。アーチウェル財団は、税制上の優遇措置がある米国デラウェア州に登録された複数の法人から構成されており、書籍出版から映像制作まで幅広い活動目的を掲げていたものの、具体的に何をするのかはっきりしなかった。寄付金の集まりも芳しくなかった。2021年には1,300万ドルを集めたものの、翌2022年には前年比おおよそ1,100万ドル減。大丈夫、メーガン夫人にはまだ計画がある。
消えたポッドキャスト
生まれた米国に戻り、彼女は元気を取り戻したようだ。もう知らない土地ではない。ハリウッドの上流社会の構造も知っている。自分もその仲間入りをしたい。しかし現実は想像以上に厳しかった。まず彼女はSpotifyと契約を結び、メンタルヘルスをテーマにしたポッドキャストを始めた。そもそもイギリス王室を離れるきっかけが自分のメンタルヘルス問題であったため、彼女にとって身近な話題だった。ポッドキャスト「アーキタイプス」は2022年9月に配信が始まったが同年11月、わずか10回で打ち切られた。もっと多くのコンテンツを期待していたSpotifyは夫人との2,000万ドルの契約を解除。Spotifyでポッドキャストのイノベーションと収益化を担う部門の責任者ビル・シモンズは、メーガン夫人とハリー王子を「詐欺師」呼ばわりした。またしてもメーガン夫人の計画は頓挫した。
だがアーチー(6歳)とリリベット(4歳)の母はこれに懲りず、2025年4月、再びポッドキャストに挑戦した。「女性起業家の告白(Confessions of a Female Founder)」というシリーズで、自ら事業を立ち上げた女性たちにインタビューするという内容だった。しかし、今回も苦戦した。「デイリー・メール」紙に関係者が語ったところによると、誰からも出演を断られてしまったそうだ。「テイラー・スウィフトもビヨンセも、ヘイリー・ビーバーすら出演してくれない。女性の自立をテーマにしているのにこれでは格好がつかない」。視聴数も目標を下回り、Spotifyはメーガン夫人との3,500万ドルの契約を終了した。
ブランドをめぐるいざこざ
このポッドキャストと同時期に、メーガン夫人の新たな計画が明らかになった。「アズ・エバー(As Ever)」というブランドを立ち上げ、ジャムやエディブルフラワー、紅茶、ロゼワインを販売し始めたのである。だが立ち上げまでには幾多のトラブルに見舞われた。2023年3月にローンチした当初は「アメリカン・リヴィエラ・オーチャード(American Riviera Orchard)」というブランド名で食器やテーブルクロス、インテリア雑貨など、インテリアグッズを幅広く扱う予定だった。ところが2024年9月、米国特許商標庁(USPTO)は商標登録を却下。ブランド名に地理的名称、具体的にはサンタバーバラ沿岸地域の愛称である「アメリカン・リヴィエラ」を使用していたためだった。そもそも「アメリカン・リヴィエラ」というフレングランスキャンドル販売サイトが既に存在していた。
さらに1万1,000ドルの国際登録料の支払いが遅れたこと、商品説明がいいかげんなことも同庁から指摘を受けた。とりわけタオルの素材や調理器具の使用説明書に不備があった。メーガン夫人は数々の修正をおこない、2025年2月にブランド名を「アズ・エバー(As Ever)」に変更することを発表する。商品の販売開始から1時間足らずで在庫が完売するなどスタートは好調だ。もっとも批判的な人は多く、アメリカのジャム界の権威、ドナ・コリンズはデイリー・メールに対し、「ジャム作りに失敗した時に出来るようなフルーツスプレッドを売るなんてがっかり」とこきおろし、水っぽすぎることを批判した。
料理番組
メーガン夫人はめげずに料理の分野で挑戦を続ける。アーチウェル財団設立当初、夫妻はNetflixとも契約を交わしていた。いくつかのトラブルを経て(たとえばメーガン夫人発案のフェミニスト系アニメ「パール(Pearl)」が制作中止になった)、2022年12月にはふたりの歩みを振り返ったドキュメンタリー「ハリー&メーガン」が公開された。その後、ハリー王子は2024年12月にポロ競技をテーマにしたシリーズ「Polo /ポロ」を公開。一方、メーガン夫人は2025年3月、料理とライフスタイルをテーマにした番組「ウィズ・ラブ、メーガン」を始めた。
内容は彼女がキッチン(ただし自宅のキッチンではない)にセレブの友人を招いて一緒に料理をするというものだ。シーズン1もシーズン2も人気は低迷した。「ザ・ガーディアン」紙の記者ルーシー・マンガンは番組が「退屈すぎ」て「あまりにも不自然」なうえに「ありえない設定」であるがゆえに「逆に愉快」と評した。「タイムズ」紙は「凡庸」「耐え難い」「ばかばかしいほど場違い」と切り捨てた。
次はファッション業界?
なかなかうまくいかないメーガン夫人は新たな分野を模索中なのだろうか。2025年10月4日、ファッションウィーク中のパリで突然、バレンシアガのショーの最前列に姿を現した。現役でなくとも王室メンバーがこのような場に登場するのは極めて異例である。メーガン夫人は確かに、クリストバル・バレンシアガが築いたブランドの新クリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリ(長年ヴァレンティノを率いていたデザイナー)と親しい。しかし、彼女が現れた理由をめぐってネット上では憶測が飛び交った。ブランドのミューズとして契約を結ぶのではないだろうかとか、ファッション業界で新たなビジネスを準備しているのではないかとか。
2025年5月、メーガンは「ファスト・カンパニー」の取材にこう答えている。「ファッションの分野には、いつか挑戦してみたい。自分にとって興味深い世界だと思っているので」。彼女の「やることリスト」にもうひとつ、加わったわけだ。問題は果たして今度こそ、成功を掴むことができるのだろうかということだ。
From madameFIGARO.fr
text: Leonie Dutrievoz (madame.lefigaro.fr)