メラニア夫人が大きな帽子で顔を隠すように......カメラを避けるような姿に込められたメッセージ。
Celebrity 2025.10.15
夫のドナルド・トランプが米国大統領に就任してから、アメリカのファーストレディは大きな帽子で顔を隠すようになっている。それは一体なぜなのだろう。
ドナルド・トランプの就任式に臨むメラニア・トランプ。(ワシントン、2025年1月20日)photography: The Washington Post / The Washington Post via Getty Im
9月17日、イギリスのウィンザー城の芝生を歩くメラニア夫人を見て、なんだかミステリアスな雰囲気だなと感じなかっただろうか。この日、ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の出迎えを受けたメラニア夫人は米国大統領専用ヘリ「マリーンワン」からゆっくり降りてきた。ディオールのウールスーツを着た大統領夫人は大きな紫のカプリーヌハットをかぶっており、顔がほとんど見えなかった。
すぐさまファーストレディのファンがX上で彼女のルックの感想を投稿。メラニア・トランプのビッグファンアカウント「Flotus Report」でも賞賛の声が相次いだ。「彼女は高貴なるアメリカの宝として際立っている。今こそふさわしい栄誉を受けるべきだ」、「メラニアは最高にエレガント」、「彼女はエレガントで優雅。いつもちゃんとした装いをしている」、「彼女はいつも完璧に見える!政治家によるファッションの活用についてのコナー・ドレイクの分析が頭に浮かぶ。 彼女はよく理解している」
いずれにせよ、メラニア夫人のモダンで隙のない装いは、キャサリン皇太子妃の着ていたエミリア・ウィクステッドのトレンチ風ドレスとはひと味違った。皇太子妃のワインカラーのドレスもエレガントだが、とても無難な感じだ。皇太子妃がかぶっていたワインカラーの帽子はロンドンのブランド、ジェーン・テイラーのもの。とてもシックだが、これまた米国のファーストレディに比べればはるかにおとなしい感じだった。
ますます巨大化する帽子
こうしてこの日、ウィンザー城ではメラニア夫人の紫の巨大ハットが存在感を示し、キャサリン皇太子妃もかすむほどだった。その大きさもさることながら、顔の半分が隠れていたことから、この日の公式写真で正面を向いたメラニア夫人の目が見えず、なんとなくミステリアスな雰囲気が漂っていた。
55歳になったメラニア夫人は帽子をますます愛用しているようだ。振り返れば2025年1月20日、トランプ大統領の就任式の日もそうだった。メラニア夫人はアメリカ人デザイナー、アダム・リペスによるニューヨークファッションに身を包み、米議会議事堂にやってきた。ネイビーウールのコートにペンシルスカート、アイボリーのクレープシルクのブラウスのすっきりしたデザインの服だ。しかしながらこの日の主役は帽子だった。エリック・ジャヴィッツの紺&白のカンカン帽が終始メラニア夫人の目を隠していたことから、多くの憶測が飛び交った。
存在証明
夫が米国大統領に就任してからは、大きな帽子が元モデルのメラニア夫人のシグニチャーとなりつつある。2017年の夫の初任期中にはそれほど大きな帽子をかぶっていなかった。2018年のマクロン仏大統領夫妻の米国公式訪問時には真っ白な大きなステットソン帽を、また同年、ギザの大ピラミッドを訪れた際につばの広いフェドーラハットをかぶっていたものの、いつも笑顔を浮かべ、顔がカメラに映るようにしていた。だが今やそうではないことは明白だ。
マクロン仏大統領夫妻をホワイトハウスに迎えるトランプ大統領とメラニア夫人。(2018年4月24日、ワシントン)photography: Bloomberg / Bloomberg via Getty Images
一体なぜなのだろう。夫の政治活動で自分が重要な役割を担いたくないと思っていることと関係があるだろうか。2024年6月、メディア「ページシックス」は、夫が大統領になった暁に「24時間365日、ファーストレディとして行動しなくてもいい」という合意書にメラニア夫人が署名したと報じた。それ以来、メラニア夫人はいるけれどいないようなスタンスだ。2017年から2021年にかけての第1期トランプ政権時には、カラフルなドレスやケープで見事なボディを披露し、「トロフィーウーマン」として振る舞っていたのに、2025年の今日はドレスはまだカラフルながら、普段はウェストが強調されたすっきりしたラインのダークカラースーツを纏い、小物で身を防御している。
大きなサングラスも大きな帽子も、目を見られないためのバリアであると同時に自分の魅力を演出する武器でもある。つばの広い帽子は、トランプ大統領が体現する保守的な米国における控えめな女性らしさの表現だ。夫の横で美しくあり続けながら、夫から主役を奪うこともない。支持者から愛される「夫の美しい妻」として振る舞いつつ、夫のスキャンダルから距離を置く姿勢とも言える。いずれにせよ、感情や弱さが露呈してしまう視線をカメラから隠すのに、大きな帽子ほど効果的なものはあるだろうか。
















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text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr)