今季大ブームの「ナポレオンジャケット」、セレブ達の着こなしは?
Celebrity 2025.11.22

昨年6月、ジョナサン・アンダーソンが初めてディオール・オムのショーを行って以来、ナポレオンジャケットはオンラインで最も検索されるアイテムとなっている。その歴史は19世紀初頭からファッション界に根ざしている。
このジャケットは「将校のジャケット」や「ナポレオンジャケット」などともよばれるが、歴史的にはこの象徴的な衣服は「フサールジャケット(騎兵ジャケット)」とよばれてきた。厳格なスタイル、タイトなシルエット、金色の飾りひもや精巧なブランデブールが特徴で、この軍服に由来するジャケットは、ナポレオン軍の騎兵部隊であるフサール連隊の兵士たちが着用していた服にインスパイアされている。
ナポレオンジャケットスタイル














ロックスターたちのお気に入り
1960〜70年代には、ロマンティックなヴィクトリアン風スタイルを好む人々のワードローブにこのジャケットが登場した。歴史的なアイテムを取り入れ、他と差をつけるコーデアイテムとして楽しまれていたのだ。多くのセレブ、特に音楽界の著名人がすぐにそれを取り入れた。
実際、1967年に発売されたビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットでは、メンバーがカラフルなミリタリージャケットを着ていた。その後、ジミ・ヘンドリックスはビートルズのオーラに影響を受け、ノッティングヒルのヴィンテージショップで、後に彼のスタイルを象徴することになる伝説のナポレオンジャケットを購入した。
また、マイケル・ジャクソンもこのジャケットを取り入れた。1981年5月、ロサンゼルスのグリーク・シアターでのライザ・ミネリの公演後、マイケルは彼女と並んでナポレオンジャケットを着用して登場した。これが彼にとって初めてのミリタリージャケットだ。その後も2009年に亡くなるまで、キャリアを通してさまざまなジャケットを着こなし続けた。ラインストーンがちりばめられた赤いフロッギングがついたジャケットや、ロイヤルブルーのジャケット、さらにヴィクトリー・ツアーでは白のジャケットも披露していた……。
ミリタリースタイル
2005年、インディー・スリーズブームの真っ只中、グラストンベリー・フェスティバルでケイト・モスが着用したのを皮切りに、その後もビヨンセ、リアーナ、シェリル・コールらの歌手たちが取り入れた。さらに2008年以降、このナポレオンジャケットは大きな注目を集める。バルマンのアートディレクターを務めていたクリストフ・デカルナンが、2009年春夏コレクションでジャケットを再解釈し、ランウェイに登場させたのだ。
しかし、このスタイルは20世紀初頭にすでに大物デザイナーたちによって再解釈されていた。パリ装飾美術館で2026年1月11日まで開催されている『ポール・ポワレ』展では、1900年に当時の人気デザイナー、ポール・ポワレが手がけた美しい女性用ナポレオンジェケットも展示されている。長く忘れられていたポワレが、この冬、再び脚光を浴びているのだ。
2026年春夏シーズンでは、ミリタリースタイルが復活を遂げている。昨年10月にジョナサン・アンダーソンが初めて発表したウィメンズコレクションでアメリカ人女優ジェナ・オルテガが着用したディオール オムに加え、アレキサンダー・マックイーン、アン ドゥムルメステール、ジョハンナ・オーティズ、バーバリーといった大手ファッションブランドもミリタリースタイルを復活させている。ナポレオンジャケットはいまも進化中だ。
From madameFIGARO.fr
text: Ségolène Wacrenier (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi






