アズディン・アライアへ、モード界が捧げるオマージュ
Fashion 2017.12.05
アズディン・アライアのミューズ、モデルのファリダ・ケルファ photo : Getty Images
11月18日土曜日の昼前、アズディン・アライア死去のニュースがモード界を揺るがせた。彼をよく知り、愛した人々のメッセージを一挙紹介します。
クチュリエ、
ジャン=ポール・ゴルチエ
「偉大なマスター! 彼は技術とクチュールのノウハウ、伝統とモダニティを見事なまでに融合させた! 世界中の女性たちの美しいボディラインは、アズディン・アライアによって崇高なまでに美しく描かれた」
モードクリエイター、
ジャンシャルル・ド・カステルバジャック
「アズディンの死によって、1枚のページがめくられるのではなく、ひとつの章が終わりを告げた。名匠クチュリエとフェミニニティというふたつの関係が神秘的な対話を交わしていた時代が終わった。アズディンは、まるで女性という信仰に捧げられたカテドラルを建設するかのように、ドレスを構築した。彼の手のなかで、女性は女神となり、征服者となった。アズディン・アライアを身にまとったグレイス・ジョーンズを、ファリダ・ケルファを、ナオミ・キャンベルを、カーラ・ブルーニを見ればそれがわかる。
私がもうひとつ敬服していたのは、彼の他者の仕事に対する好奇心と愛情。偉大な人物だけが、他者の仕事を愛することができる。彼は唯一無二、比類のない存在だった。彼が去ったことで、私たちは大きな喪失を感じるだろう」
アライアのミューズ、
ファリダ・ケルファ
「アズディンは友達でした。彼は自由人で、思う通りの人生を送った。モードの偉大なマスターでした。大クチュリエとなって、自分の名前のメゾンを持つこと、という自分の夢を生き抜いたのです」
モードクリエイター、
シモン・ポルト・ジャックムス
「アズディンとは何度も会っているけれど、いつも驚かされたのは、彼が本当にハートフルで子どものような微笑みを浮かべていたこと。それが僕を導き、僕の心を打ちます」
ガリエラ宮パリ市立モード美術館館長(2013年にアライア展を行った当時)、
オリヴィエ・サイヤール
「アズディン・アライアは、モードの歴史の中の直系といもいえる、クチュリエ、彫刻家、建築家の系統に属していた人。つまり、バレンシアガやマドレーヌ・ヴィオネと同様、モードの机上の論理にとどまらず、コンセプトとその実現、パターン、縫製といった服のすべてを知っていた。モードの歴史とその立役者についてのある種の概念が、彼の死とともに消えたと思う。彼が体現していたのは、今日のモード界から完全に消えてしまった、完璧な独立の領域。彼が綿密に、厳しさをもって築き上げてきた孤独な道は、将来の模範になるはずだ。
アライアは単に、布切れから美しいドレスをつくることを知っていたクチュリエではない。たくさんの人にとって忠実でこの上ない友人、時に面食らわされることがあっても、常に愛すべき友人だった。身近な人たち全員と本物の情熱を培ったアライアは、愛情も時間も惜しむことはなかった。彼のキッチンのテーブルで、これからは、誰もが孤独を感じることだろう」
モードクリエイター、
イネス・ド・ラ・フレサンジュ
「消えてしまうなんて想像もできない人がいるとしたら、それがアズディンでした。彼は熱狂とエネルギーいっぱいの人だったから。アズディンは別格な人物。彼の歩み自体が別格だったとはいえ、モード界の中で本質的な人物を失ったことは間違いありません。それに、たいていの場合、彼は苗字ではなく、ファーストネームで語られていました。それは、彼が本当の意味で比類のない人物だったから」
モードクリエイター、
ブシュラ・ジャラール
「ムッシュー・アライアの訃報に大きなショックと悲しみでいっぱいです。彼はあらゆる可能性を広げてくれた人。クリエイティビティと、美しいものや、きちんとした仕事のノウハウを愛する情熱を育もう、という私たちの思いを膨らませてくれた人です。次の世代の私たちは、彼の意思を受け継ぐ、フランス・モード・ファミリーの一員です。この偉大なクチュリエがフランス・モードの歴史に残した足跡はダイアモンドで刻まれたもの。ムッシュー・アライア、ありがとう。私たちは、生涯あなたを愛し続けます」
「メゾン ソニア リキエル」アーティスティックディレクター
ジュリー・ド・リブラン
「偉大なマスター・クチュリエの訃報に大きな悲しみを覚えます。私は彼と知り合い、彼のキッチンでともに夕食をとるチャンスに恵まれました。常に私たちにインスピレーションを与え、感動をもたらした彼のクリエイションを身に着ける機会にも恵まれました。彼は私たちみんなの模範であり続けます。彼の服は情熱にあふれ、技術と素晴らしいノウハウでつくりあげられたもの。素晴らしい思い出と、時代を超えた彼の作品は私の中にも残っています。今日、私たちは非常に愛された人物を失ったけれど、彼は私たちの心に残り、決して忘れられることはありません」
texte : Marion Dupuis,Clara Dufour(madame.lefigaro.fr)